ANA、退役ボーイング737-500型を整備訓練用に投入

2018年5月13日 10:18

印刷

整備訓練専用機 ボーイング 737-500型機。(画像:全日本空輸発表資料より)

整備訓練専用機 ボーイング 737-500型機。(画像:全日本空輸発表資料より)[写真拡大]

 全日本空輸(ANA)は、退役したボーイング737-500型を整備訓練機にすると発表した。退役した大型ジェット旅客機を1機まるごと整備訓練専用機材とすることは、日本の航空会社としては初の試みであるという。もろもろの準備のあと、2018年7月より整備訓練に実地投入予定だ。

【こちらも】世界的なパイロット不足 今後20年で63万人が新たに必要

 従来、ANAでは、整備士の新人訓練にあたっては、システムや整備方法を講義の形で教えたり、モックアップ(模型)と呼ばれる航空機の一部を模した基材を用いて整備作業の基礎訓練を行い、しかるのち格納庫で集合訓練として、実機に対する整備実技経験を積む訓練を行っていた。しかし、お分かりかと思うが、こういったやり方では実機に対する実技経験を習得するために相応の時間が必要である。そこで、整備訓練機による実機訓練を早期から導入する形に切り替えようというわけだ。

 航空運送事業は拡大している。ANAの保有航空機も増加傾向にある。しかし整備なしで飛ばせられる飛行機はない。そこで、より俊敏な技術系新入社員の訓練のため、訓練専用機を用いることで実技経験を積む機会を多数確保させる。この方法ならば、運行用の機材の生産や稼働に影響を及ぼすことなく、ANAの整備品質のさらなる向上をはかることができるという。

 具体的には以下のような点が重要だ。まず、従来には困難であったが、実機に対する整備経験を積むこと。次に「失敗」を経験すること。運用中の実機では失敗を経験させるわけにはいかないが、整備訓練専用機なら「失敗」という大きな経験を早い時期から経験し、今後に活かしていくことが可能である。

 また訓練生は空き時間などに、訓練専用機に関わることで現物の知識を積むことができる。さらに、モックアップよりも多くの人間が同時に実技訓練を実施できるため、効率的な訓練が可能となる。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事