ソニー、CMOSイメージセンサー特有の歪みを解消

2018年2月13日 22:29

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左:接合部断面構造/右上:画素基板/右下:ロジック基板(写真:ソニーの発表資料より)

左:接合部断面構造/右上:画素基板/右下:ロジック基板(写真:ソニーの発表資料より)[写真拡大]

 ソニーはCMOSイメージセンサー特有の画像の歪みを解消する機能を開発したと発表した。

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 ソニーは13日、新開発のA/D変換器を画素毎に配置し、全画素同時に露光したアナログ信号を各々即座にデジタル変換することで、グローバルシャッター機能を実現。有効画素数146万画素の裏面照射型CMOSイメージセンサーを開発した。

 技術の詳細は、11日から米国サンフランシスコで開催されているISSCC(国際固体素子回路会議)において発表した。

●グローバルシャッター機能とは

 グローバルシャッター機能は、画素信号を1行毎に読み出す為に起こるCMOSイメージセンサー特有の画像の歪み(フォーカルプレーン歪み)を解消する機能だ。

 新開発のA/D変換器を画素毎に配置することで、全画素同時に露光したアナログ信号を各々即座にデジタル変換し、デジタルメモリーに保持する。有効画素数は、1632×896だ。画素毎にA/D変換器を配置するには、従来に比べて896倍のA/D変換器を搭載することになる。

 約3桁のA/D変換器搭載数の増加は、超小型でかつ超低消費電力のA/D変換器が必要であり、加えて画素とA/D変換器の接続数も困難さを極める。

●グローバルシャッター機能の特長

 低電流動作可能で小型の画素並列A/D変換器を開発。サブスレッショルド領域での動作により、業界最高性能の低電流動作を実現。14ビットの分解能を持つ小型のA/D変換器という。

 全画素並列のA/D変換を実現する為、約300万個もの「Cu-Cu(銅)接続」を可能とする技術を開発。画素基板とロジック基板を導通させ、有効画素数と同じ146万個ものA/D変換器、およびデジタルメモリーの搭載スペースを確保したという。この積層技術はCuのパッド同士を接続することで電気的導通を図る技術。東芝などがフラッシュメモリーで採用するTSV(Through Silicon Via、Si貫通Via)に比べて、設計の自由度が高い。

 メモリーに格納されたデータの転送のためリピータ回路を新たに開発。全画素のデジタル信号を高速に読み書き可能にしている。

●CMOSイメージセンサー(ソニー、グローバルシャッター機能)のテクノロジー

 100万画素以上の高感度な裏面照射型CMOSイメージセンサーでは、業界で初めて画素並列A/D変換器によるグローバルシャッター機能を実現。

 Cu-Cuのチップ積層技術、小型かつ超消費電力14ビットA/D変換器を開発。896倍のA/D変換器を搭載したことは驚きである。

 このグローバルシャッター機能の優位性を不動のものにするかは、上位の有効画素数のCMOSイメージセンサーへの展開に依存するのであろう。(記事:小池豊・記事一覧を見る

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