修学旅行先が海外の高校生、2016年度は約14万人 トップは台湾

2018年1月30日 17:17

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 全国修学旅行研究協会の発表によると、海外へ修学旅行に向かう高校の数が回復しつつあり、公立高校を中心に台湾を目的国とする学校が増えていることが分かった。

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■海外への修学旅行が回復に

 26日、全国修学旅行研究協会が、2016年度の全国の公私立高校における「海外修学旅行・研修実施状況」の調査報告を発表した。

 2016年度において、修学旅行で海外に行った高校は、公立が375校(参加生徒数6万3,065人)、私立が467校(同8万2,879人)の合計842校(同14万5,944人)だった。これは2015年度の790校(同13万8,097人)を上回っており、ここ数年増加する傾向にある。

■様々な情勢が修学旅行に影響

 ただし過去を振り返ると、もっと多かった年もある。例えば2002年度には874校、16万5,255人が、2008年度には944校、15万975人が修学旅行で海外に行っていた。しかし2009年度には586校、8万7,883人と大きく減少している。これは新型インフルエンザの流行によるもので、当時は海外だけでなく国内向けの修学旅行でも中止や変更が相次いだ。

 その他に、2012年に中国で起きた反日暴動や2014年の韓国のフェリー転覆事故などで旅行先(国)が変更されたり、2011年の東日本大震災では修学旅行自体が中止や延期となったりしたこともある。

■トップ3は台湾、アメリカ、シンガポール

 国や地域別で最も多いのは台湾で、262校、4万1,878人が訪れている。以下、アメリカ(254校、3万6,661人)、シンガポール(142校、1万9,286人)、オーストラリア(127校、1万8,254人)、マレーシア(100校、1万4,864人)など。

 ただし2位のアメリカは、アメリカ本土が67校、8,611人、ハワイが78校、1万1,435人、グアムが102校、1万6,056人、サイパンが7校、559人と、目的地によってばらつきがあり、台湾が飛び抜けて多いのが分かる。

 かつては韓国や中国を旅行先に選ぶ高校が多かった。2008年度では、韓国には201校、2万5705人が、中国には100校、1万929人が修学旅行の目的国としている。しかし2016年度の修学旅行先を中国としたのは28校、3,398人、韓国は42校、3,246人に過ぎない。両国の国民性や国内情勢が影響しているのは言うまでもない。

 その反対に近年人気となっているのが親日としても知られる台湾で、2008年には57校、7,763人と韓国や中国だけでなく、シンガポール(2008年度は155校、2万2,871人)、マレーシア(同143校、2万4,485人)よりも少なかったが、そうした国々をあっさりと抜いている。

■公立高校と私立高校の傾向は?

 公立高校と私立高校で旅行先の傾向は異なっている。公立高校では台湾が最も多く、東南アジア、北アメリカ、オセアニアと続き、ヨーロッパを目的地としているのは9校、371人に過ぎない。一方、私立高校では北アメリカが最も多く、東南アジア、オセアニア、台湾、ヨーロッパの順で、ヨーロッパには71校、6,084人が行っている。

 そのためか、旅行日数と費用の平均は、公立高校が4.9日、13万9,637円。私立高校が6.7日、23万705円で、私立高校の方が旅行期間が長めで旅行費用も多めだ。費用を負担する保護者の懐は痛むだろうが、景気が回復しているのであれば、今後も海外を目的地とした修学旅行は増えそうだ。(記事:県田勢・記事一覧を見る

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