愛知県蒲郡市のスーパーで猛毒のフグを誤って販売 保健所が注意を喚起

2018年1月17日 08:01

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フグ(画像はトラフグ)。

フグ(画像はトラフグ)。[写真拡大]

 愛知県蒲郡市のスーパーマーケット「スーパータツヤ」で、猛毒が含まれるフグの「肝臓」が誤って同梱されたフグが販売され、保健所が「絶対に食べないように」と注意を呼び掛けている。

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 当該の商品はプラスチックトレイの上にフグの身などが乗せられたもので、ラベルには「ふぐ サービス品 鍋物・煮物用」と表記されている。5パックが販売され、1パックは回収されたが、残り4パックが販売済みで未回収となった。フグの毒は猛毒であり、死亡の恐れがあるため、繰り返しとなるが強調すると保健所より「絶対に食べないように」との注意喚起がなされている。

 フグの毒はテトロドトキシンという。テトロドとはふぐという意味であり、トキシンは有名だが直訳で「毒」、つまり、フグの毒を横文字にしただけである。その性質は研究されてはいるが、今日なお謎が多く、未解明の部分が残っている。ただ、神経系に作用し、呼吸器などを麻痺させて死を招く事実は古くから知られている。また、加熱調理でも生食でも毒性は変わらない。

 ちなみに、余談に近いが「フグに当たったら土に埋めると毒が地面から吸収されて助かる」というのは古い迷信であり、科学的事実ではない。

 フグの毒だが、フグ自身が生成したり、あるいは生まれながらに持っているのではなくて、餌を経由して体内に蓄積されるものであるらしい、という知見はある。これを利用し、無毒の餌を与えて特別に養殖したフグの肝を食用に流通させようと研究している業者・研究者も存在するが、現在のところ法的な許可は下りていない。

 内臓を含むフグのいくつかの部位は極めて危険な猛毒の廃棄物であるため、その取扱いには特別な法規による規定がある。昔、昭和の時代に料理店が裏口の外に置いていたフグの残骸を路上生活者が持ち帰って食べ死亡したという事件の例なども知られており(なお、少なくとも今日の法律では外に出しておく時点で違法となる)、本来、フグの肝臓は厳重な管理が必要とされるものである。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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