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西シベリア上空のメタン濃度、高度により上昇度に差異
ノボシビルスク周辺の観測に使用していた航空機。(写真:国立環境研究所発表資料より)[写真拡大]
大気汚染の指標の一つに、大気中メタン濃度がある。国立環境研究所、海洋研究開発機構(JAMSTEC)、東北大学、ロシア科学、アカデミー、ロシア水文気象環境監視局の共同研究グループは、西シベリアの2カ所において20年以上に渡って航空機による観測を続けてきたが、そのメタン濃度上昇幅は、同じ地点上空においても、高層と低空において異なる、という事実が明らかになったという。
【こちらも】人為起源メタン排出地域では周辺よりもメタン濃度が高いことが判明
シベリアは世界最大の森林を擁する地である。つまり、大規模な木々の呼吸、そして光合成が行われているわけで、二酸化炭素濃度の変動が激しい。また、世界最大の湿地帯もここにあり、湿地はメタンガスを放出する性質を持つ。
さらには、西シベリアは、化石燃料の産地である。石油や天然ガスが採れる。その産出過程において、漏出したメタンガスは、大気中に汚染物質として広まることが知られている。
メタン濃度は、全地球的に上昇を続けている。当然、西シベリアの上空もそれに含まれる。ただ、いくつかの観測データから、高度によって多少の、濃度増加程度差異があったのだ。観測は西シベリアの複数地点において行われ、メタンの濃度の分析は、GC-FID法によって行われた。
そして今回の測定結果からの分析によれば、これは、ヨーロッパ起源のメタンが低層においてより減少したためである、と考えられるという。この分析は、大気化学輸送モデルの計算に基づいたものだ。
今後の研究展望としては、中国や東南アジアでも観測を行い、メタン放出量の分析のためのさらなるアプローチを行っていく必要があるのではないかと考えられる、という。
なお、研究の成果は、米国地球科学連合(AGU)の学術誌「Journal of Geophysical Research:Atmospheres」に掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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