ジェイテクト、作業支援用「パワーアシストスーツ」開発へ 18年販売予定

2017年5月30日 16:47

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製品のイメージ(ジェイテクとの発表資料より)

製品のイメージ(ジェイテクとの発表資料より)[写真拡大]

 自動車部品大手ジェイテクトは29日、作業者の負担を軽減する「パワーアシストスーツ」の開発を開始したことを発表した。身体に装着することで重い荷物の持ち運びを実現し、製造業を始めとする作業者の腰の負担を軽減できる。工場や物流倉庫などにおける使用を想定している。

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 18年に販売開始予定、製品名称は今後決定する。同社は少子高齢化による労働者不足でそのニーズが高まることを期待、開発に着手した。既に4月に新規事業推進部を立上げ、新規事業としての製品開発を実施していた。今製品がその第1弾となる。

 ジェイテクトはトヨタグループ主要13社に属する大手自動車部品メーカー。2006年に光洋精工とトヨタ工機が合併して誕生した。世界で初めて開発・量産化に成功した電動パワーステアリングを始め、工作機械やメカトロ事業など人と機械が調和する技術や製品を数多く手掛けてきた。

 少子高齢化や労働人口不足を見据えて、同社の強みであるアシスト技術やロボティクスなどを生かした「パワーアシストスーツ」は、後発でも勝機があると判断したようだ。自動車部品以外の新たな領域に参入することで技術力をさらに強化、従来型の経営モデルからの脱却も図る。

 パワーアシストスーツは進行する少子高齢化や老老介護の分野において、労働力不足への懸念から民生分野での開発が進んでいた。2008年にはサイバーダイン社が開発をしたロボットスーツHALの下半身タイプが大和ハウス工業からリース販売開始。介護現場にてその活用が大いに期待された。

 ただ現時点ではその普及に課題が多いのも事実。まずは価格面の問題、介護現場に安くて数十万、高くて数百万のロボットは大変ハードルが高い。また介護の現場ではスーツを着用する一人ひとりの動きが異なるため、機械として変則的な動きが必要とされることから、業務の効率化が図りにくいという課題もある。

 その点において工場や物流倉庫、農業など単純な重労働作業のほうが親和性が高い。現在、成田空港ではチェックイン時に係員がHALを着用、ベルトコンベアーへのスーツケースの持ち上げに実証実験として使用され、その評判も上々である。

 パナソニック社内ベンチャー、アクティブリンク社もリュックを背負うように装着する運送用パワーアシストスーツを開発。既に港湾運送作業に活用されるなどその導入件数も増えている。その他、農機メーカーのクボタも農作業用ロボットを発売、各業界メーカーからの参入が相次いでいる。パワーアシストスーツは介護から工場、農業へと多分野において高い汎用性を望めることから、今後の動きには注目である。

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