『君の名は。』DVDがAmazonランキング独占も、「映画」としての弱みは?

2017年5月12日 19:14

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日本で爆発的ヒットとなった『君の名は。』だが、予約の時点でもその人気ぶりは健在(c)東宝

日本で爆発的ヒットとなった『君の名は。』だが、予約の時点でもその人気ぶりは健在(c)東宝[写真拡大]

■『君の名は。』のDVDがAmazonランキングを独占

 2016年8月に公開され、興行収入200億円以上を記録した『君の名は。』だが、2017年5月にDVD発売のニュースが流れた。5月10日にはAmazonでの予約もはじまったが、DVD部門の予約ランキング1~8位を『君の名は。』が独占する形となった。

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■大人気の『君の名は。』はDVDでも健在

 『君の名は。』は男子高校生の立花瀧と女子高生の宮水三葉が入れ替わり、それぞれ夢と思いながらも日常を送るストーリーだ。その過程でお互いが本当に生きている人間だと知り、さらにお互いが生きる時間も違うことを知っていく。

 斬新な設定とRADWIMPSの楽曲がふんだんに使われた本作は、10~20代を中心に大ヒットを記録する映画となった。観客動員数は1,900万人を突破し、興行収入は約249億円となった。興収で見れば宮崎駿監督の『もののけ姫』や『ハウルの動く城』を超えており、日本映画では2位にランクインしている。

 映画で『君の名は。』旋風を巻き起こしたが、それは2017年7月26日に発売されるDVDでも巻き起こりそうだ。5月にDVDの予約がAmazonではじまったが、DVD部門の予約ランキングでは、1~8位を独占する形となった。これは初回限定版や通常版に加えて、各店舗独自の特典付きDVDがすべてランキングに載ったためである。この点からも、国内での『君の名は。』の影響力の強さがうかがえる。

■海外でも好評となった『君の名は。』

 『君の名は。』はその人気を受け、2016年12月2日から1週間限定でアメリカでも上映される運びとなった。海外でもセンセーショナルな映画として受け取られ、アメリカでも権威のある「ヴァラエティ」と「ハリウッド・リポーター」でも批評が出た。

 2誌では「型破りな恋愛映画」や「信じられないロマンス」として、従来の恋愛映画とは違ったテイストが評価された。特に評価されたのは新海監督の風景描写で、映画内でも印象的な山々の描き方は絶賛の対象となった。新海監督といえば大東建託のCMでも知られており、こちらでも短い時間で印象的な映像作品と作っている。

■その反面で「映画」としての弱みを指摘

 映像面では高い評価を受けた『君の名は。』であるが、その一方で人間的描写に欠ける点が指摘された。「ハリウッド・リポーター」では「宮崎駿や細田守の描く人間性や洞察力の深さには、まだまだ及ばない」としている。また、音楽に関しても「煩わしいほど現代的で陳腐なビートを作品に与えている」としていた。

 「人間性の洞察」については映画を見た筆者も感じる部分で、きれいな映像作品であって映画ではないというのが正直な感想だった。日本でも「第90回キネマ旬報ベスト・テン」が発表された際、『君の名は。』がトップ10内に入ることがなかった。これは映画が求める人間ドラマに欠けているのが大きな要因だろう。

 映画に何を求めるのかは人それぞれだと思う。しかし、「映画」と定義するのであれば、やはり人間ドラマの部分は外せないところだ。その一方で米誌でも評価されていたように風景描写が高クオリティなのは間違いないため、見ていないのであればDVDにて確認していただきたい。(記事:藤田竜一・記事一覧を見る

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