米オリジナル社がオーダーシャツ製作・販売システムを他社に提供

2017年3月14日 20:40

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記事提供元:アパレルウェブ


新サービス「オリジナル スティッチ カスタマイズ・プラットフォーム」のデモ画面

 米サンフランシスコを拠点とするファッション系ITベンチャーのオリジナル(Original)社(ジン・コウCEO)はきょう14日、カスタムメイドシャツを受注・製作する同社のオンラインシステム「オリジナル スティッチ カスタマイズ・プラットフォーム」をアパレル企業や百貨店を中心とする小売り店向けに提供する。

 同社は、インターネット上で自分好みのシャツを注文・製作できるサービス「オリジナル スティッチ(Original Stitch)」を2010年4月に開始。400種類以上の豊富な生地ラインナップをはじめ、細かいデザイン設定や、高精度のサイズ測定、日本製の品質の高さなどを強みに、現在は米国と日本を中心に35万人(うち日本は8万3,000人)のユーザーを抱える。リピーター客は全利用者の約60%と業界水準(30%)の2倍に及び、商品の返品率は同水準(30%)を大きく下回る2・6%だという。このノウハウを生かしたプラットフォームで、初年度は10社との取引を計画。2017年度は全ユーザーを100万人(うち日本は30万人)まで伸ばし、売り上げ枚数も現在(5万枚)の4倍にあたる20万枚を目指す。

 同プラットフォームは、顧客好みのデザイン設定ができる「カスタマイズアプリケーション」や、自社開発の人工知能(AI)「ボディグラム(Bodygram)」によって精巧な自動採寸を実現した「サイジングアプリケーション」、顧客獲得のためのコミュニケーションを行う「マーケティングアプリケーション」などを導入したクラウドシステム。企業側は、年間利用料と従量課金手数料を支払う仕組み。提携工場へのコミッションは発生しないという。

 同社が新サービス開始によって目指すのが、「持続可能なエコシステムの構築」。シャツの受注から生産、配送までカスタムメイドシャツ事業に必要な機能をすべて備えているため、利用企業は、特別な投資を行うことなく事業を始めることができる。受注生産のため在庫を抱えるリスクもなく、高精度なサイズ測定によって返品率も抑えられる。消費者は、自分好みのデザインと日本生産の高品質なシャツを楽しむことができる。さらに、日本の工場と提携することにより、「メイドインジャパン市場の拡大を目指す」(コウCEO)という。現在、フレックスジャパン(東京、矢島隆生社長)など複数のシャツ生産企業と提携しているが、「丁寧にものづくりを行う日本の工場のスピリットは、私たちの事業成長にとってもなくてはならない存在だ」と加えた。

 さらにコウCEOは、「選択肢が少ない大量生産型のマス・プロダクトに代わり、豊富な選択肢と最小限の生産を両立できるマス・カスタマイズの波が来ている。Tシャツやシャツは、マス・カスタマイズに適したカテゴリーだ」と分析する。「例えばナイキのカスタマイズスニーカー「NIKEiD」は、世界のスニーカー市場550億ドルのうち約9%を占める。ドレスシャツの市場は800億ドルあり、カスタムメイドのドレスシャツも、「NIKEiD」同様のシェアを目指せる余地がある。加えて日本におけるファッションEC化率はわずか9%。ドレスシャツ市場はさらに拡大できるチャンスがある」とコメント。ビル・ゲイツ氏が1975年のマイクロソフト創設時に掲げた「すべての家庭にPCを」という言葉になぞらえ、「“すべてのクローゼットにカスタマイズシャツを”が私のミッションだ」と意欲を見せた。

 オリジナル社は2010年米国カリフォルニア州で設立。カスタマイズシャツ「オリジナル スティッチ」を開発し、ドコモ・ベンチャーズやインスパイアのほか、米国シリコンバレーを拠点とする複数のベンチャー・キャピタルが出資している。アパレルウェブの取材に対し、コウCEOは、「今後は、シャツ以外のビジネスももちろん考えている。このプラットフォームを活用すれば、例えばジャケットやドレス、ネクタイなどにも適用できる」と話した。


オリジナル社のジン・コウCEO(左)と、フレックスジャパンの矢島隆生社長。マレーシア出身のコウ氏は、1980年生まれの36歳。

■「オリジナル スティッチ」
http://dev-originalstitch.com

■オリジナル スティッチ カスタマイズ・プラットフォーム
http://dev-originalstitch.com/platform/

※この記事はアパレルウェブより提供を受けて配信しています。

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