白熱する「自動運転技術」開発競争の裏側

2016年10月1日 20:32

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記事提供元:エコノミックニュース

自動運転技術の開発を強化すべく、国内外の自動車部品メーカーで買収や提携が盛んになっている。自動運転技術の実用化に外せないセンサーやレーダー、カメラなどの技術を外部のノウハウで補填し、どこよりも早く技術を確立したいという思惑が垣間見える。

自動運転技術の開発を強化すべく、国内外の自動車部品メーカーで買収や提携が盛んになっている。自動運転技術の実用化に外せないセンサーやレーダー、カメラなどの技術を外部のノウハウで補填し、どこよりも早く技術を確立したいという思惑が垣間見える。[写真拡大]

 自動運転技術の開発を強化すべく、国内外の自動車部品メーカーで買収や提携が盛んになっている。自動運転技術の実用化に外せないセンサーやレーダー、カメラなどの技術を外部のノウハウで補填し、どこよりも早く技術を確立したいという思惑が垣間見える。先行者になれば受注の獲得を優位に進められるからだ。

 デンソー<6902>は、富士通<6702>の傘下であるカーナビ大手の富士通テンの子会社化に向けて、富士通と協議することで基本合意したという。富士通テンは人の存在や車両間隔を検知するミリ波レーダーの技術があり、デンソーはこれを取り込んで開発力を高めようとしている。

 欧州メーカーも買収と連携が活発だ。レーダーやデータ解析を得意とする独コンチネンタルは米国のレーザー技術メーカーからセンサー部門を買収し、自動運転における複合システムの提案を目指す。

 また、独ZFは自動運転に必須のレーダー技術を持つ独企業の株式の4割を取得し、英デルファイ・オートモーティブはカメラを得意とするイスラエルのモービルアイとの提携を実現した。

 自動運転の技術発展レベルについては、米国運輸省国家道路交通安全局(NHTSA)の定義を各国のメーカーが参照している。NHTSAの基準によると、「レベル2」までは人間のドライバーが運転を監督しなくてはならず、「レベル3」からはコンピュータが常時運転を行う。

 欧州の大半の国が批准するウィーン交通条約では、「いつでも運転者が機能を無効にでき、運転を引き継げること」を条件に、公道でレベル3の使用が14年に認められた。これが欧州での開発競争に火をつけたと考えられる。日本が批准するジュネーブ道路交通条約では、ドライバーが運転に責任を持つと規定されているため、レベル2までの車両しか走行できないのが現状だ。

 企業の動向や新技術の発表に目が行きがちだが、自動運転車の最大の目的である「交通事故の削減」にも大いに期待したい。開発競争による技術の進歩で、確固たる安全と安心を築いてほしい。(編集担当:久保田雄城)

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