インテル、Fab 62で製造装置の設置開始 2028年末までの稼働を計画

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米インテル(Intel)は2026年10月21日、米アリゾナ州チャンドラーのFab 62で、建設と製造装置の設置が本格的に進んでいると発表した。稼働開始は2028年末までを見込む。オハイオ州のOhio Oneでも構造部材の設置が進み、米国内の半導体製造能力を拡充する取り組みが続いている。
同社は次世代プロセス「Intel 14A」の2028年量産立ち上げに向けた準備も進める。設備投資を取り巻く制度面では、先端製造投資税額控除の対象となる資産について、2026年末までに建設開始の要件を満たすことが重要になる。
■Fab 62、製造設備の立ち上げ段階へ
Fab 62は、オコティロ・キャンパスで6番目の量産向け半導体工場となる予定だ。Intel Foundryのエグゼクティブ・バイスプレジデント兼最高技術・運用責任者、ナガ・チャンドラセカラン氏が、装置設置の進捗と稼働見通しを明らかにした。
製造装置の導入は、建屋にウエハー加工の機能を組み込む工程である。クリーンルームや電力、空調などの基盤に加え、露光、成膜、エッチング、イオン注入、研磨、計測などを担う設備を設置し、生産条件を調整する必要がある。
Intelが2024年11月に示した計画では、Fab 52とFab 62の新設、および既存のFab 42の近代化に、合わせて320億ドル超を投じるとしていた。隣接するFab 52は2025年10月に稼働済みと発表され、Intel 18Aによる量産の立ち上げを担ってきた。
2026年10月21日時点で、Fab 62の採用プロセス、ウエハー処理能力、具体的な量産開始時期は未公表である。Tom's Hardwareは、同工場が18A系の増産や14Aの製造を担う可能性を報じている。18A-Pは18Aの性能改良版であり、18Aが採用する裏面電力供給技術PowerViaを引き継ぐ。
■High-NA EUVが微細加工を支える仕組み
半導体製造のリソグラフィーは、光でウエハー上の感光材料に回路パターンを転写する技術だ。光の波長を短くすることや、光学系の開口数を大きくすることによって、より細かな構造を描けるようになる。
ASMLのHigh-NA EUV露光装置は、極端紫外線を使う従来のEUV装置と同じ波長13.5nmの光を用いながら、開口数を0.33から0.55へ約67%高める。ASMLが公表する解像度は、従来のNXEシリーズの13nmに対し、High-NAのEXEシリーズでは8nmである。
このために採用したのが、方向によって縮小率を変えるアナモルフィック光学系だ。ASMLによると、回路パターンを一方向では4分の1、直交する方向では8分の1に縮小する。これによりマスクへの光の入射角を抑え、反射率を確保しながら従来サイズのマスクを利用できる。
微細なパターンを1回の露光で形成できれば、複数のパターン形成工程を組み合わせる多重パターニングの削減につながる。ASMLは、High-NAの解像性能によって製造工程を簡素化し、工場の生産性を高められるとしている。
量産向け装置「TWINSCAN EXE:5200B」について、ASMLの公表仕様は露光量50mJ/cm²で毎時175枚以上である。Intelは2025年12月の説明で、毎時175枚の処理能力と0.7nmの重ね合わせ精度を示した。重ね合わせ精度は、異なる回路層の位置を合わせる性能を表す。
■量産利用と導入に必要な投資
High-NA装置は、多額の投資と複雑な据え付け作業を伴う。Bloombergが2024年2月に報じた当時の価格は約3億8000万ドルで、従来型EUV装置を大きく上回っていた。
Tom's Hardwareが2024年3月に報じたIntel向けEXE:5000の導入では、約250個の輸送用コンテナに分けて搬送し、重量は約33万ポンドだった。ASMLとIntelの技術者約250人が約6カ月かけて組み立て、その後も校正を進める計画とされていた。装置を運び込んでから生産に使うまでには、こうした工程が必要になる。
Intelは2024年4月、オレゴン州ヒルズボロの開発拠点D1Xで、世界初の商用High-NA EUV装置の組み立て完了を発表した。2026年7月15日にはASMLが、Intel FoundryがIntel 18Aの一部の層でHigh-NAを使い、Core Ultraシリーズ3、開発コードネーム「Panther Lake」の一部製品を量産していると公表した。
ASMLによると、オレゴンで対象層の製造工程が認定され、製品は顧客への出荷段階に入っていた。従来のNXE装置とHigh-NA装置の両方で対象層を製造でき、歩留まりも同等としている。生産を通じて得られるデータは、装置設定や稼働率の改善に生かされる。
さらにIntelとASMLは2026年9月、IntelのHigh-NA装置で処理したウエハーが累計100万枚を超えたと発表した。この集計には初期の装置認定・試験、研究開発、Panther Lakeの一部製品の対象層における量産処理が含まれる。
■Ohio One、長期の建設計画が進行
オハイオ州リッキング郡ニューアルバニーのOhio Oneでは、1棟目の工場に最初の主要な構造用トラスが設置された。Intelは今回、これを米国内の先端半導体生産能力を拡大するための建設上の節目として紹介した。
Ohio Oneは、2棟の先端半導体工場に280億ドル超を投じる計画である。設計・建設を担当するBechtelによると、第1段階の施設面積は250万平方フィートで、うち60万平方フィート、約5万5742平方メートルをクリーンルームが占める。
2022年1月の発表時には2025年の生産開始を想定していた。オハイオ州が2024年3月に公表した進捗報告では、2工場の操業開始は2027~2028年とされていた。将来の拡張を含め、投資額が長期的に1000億ドル(約15兆7000億円)に達する可能性も示されていた。
Intelが2025年2月に示した工程表は、モジュール1の建設完了が2030年、操業開始が2030~2031年である。モジュール2は2031年の建設完了、2032年の操業開始を予定していた。同社は顧客需要に合わせて投資を管理する方針を説明し、オハイオ州で採用した従業員をアリゾナ、ニューメキシコ、オレゴンの既存拠点で育成しているとした。
支援制度では、米商務省が2024年に決定したCHIPS法の助成計画に、Ohio One向け15億ドル(約2360億円)が含まれていた。一方、州政府の建設助成は工場1棟当たり3億ドル(約471億円)、計6億ドル(約942億円)で、2023年9月に支給済みである。州の助成契約は2028年末までの施設完成を条件としており、建設工程と契約条件の扱いが課題となる。
■14A、2028年の量産に向けた準備
Intelの14A計画では、自社製品と外部顧客の双方の需要が設備投資を左右する。同社は2025年、十分な外部顧客を確保できない場合の開発・製造継続リスクを示していた。その後、2026年第2四半期決算説明会で、リップブー・タンCEOは2028年の量産立ち上げに全面的に取り組む決定をしたと説明した。
同説明会で示した計画は、自社製品向けのリスク生産を2027年後半に開始し、2028年に量産を立ち上げるというものだ。リスク生産は本格量産に先立って製造工程や製品を検証する段階に当たる。Intelは自社製品の需要と外部顧客との協議の進展を、計画への確信を強めた要素として挙げた。
設計支援では、プロセスデザインキット(PDK)のバージョン0.5を完成させ、0.9を2026年10月に提供する予定としていた。PDKは回路設計に必要な設計規則や素子モデルなどをまとめたものだ。より成熟した設計環境の提供は、顧客が製品設計と生産計画を具体化するための節目となる。
TechSpotが2026年9月に報じたPiper Sandlerの調査メモによると、Apple、NVIDIA、Google、AMDなどが14Aを評価している。同メモは、2028年の量産立ち上げに向け、2026年末から2027年初めに主要顧客の獲得につなげる必要があると分析した。
個別の協業では、Intelは2026年4月にSpaceX、xAI、TeslaのTerafab計画への協力を発表し、Teslaのイーロン・マスクCEOは14Aを利用する意向を表明した。また7月21日にはFortinetとの間で、セキュリティープロセッサ「SP6」の共同開発を発表している。Intel 4で製造する計画は、Intelの説明として専門メディアでも報じられた。
■税額控除は年末の建設開始要件が焦点
米国の内国歳入法48D条に基づく先端製造投資税額控除は、半導体や半導体製造装置の米国内生産を支援する制度である。2025年7月4日に成立したOne Big Beautiful Bill Actにより、2025年末より後に供用を開始する適格資産について、控除率が25%から35%へ引き上げられた。
米内国歳入庁(IRS)の説明では、控除額は適格投資額を基に計算する。製造施設に必要な設備などが対象となり、事務所など製造に関係しない部分は対象から除かれる。
財務省規則は、2026年12月31日より後に建設を開始する対象資産を控除の適用外としている。2026年10月22日時点では、この年末まで約10週間である。複数年にわたる半導体工場への投資を検討する企業にとって、建設開始の判定は重要な条件となる。
建設開始には、実質的な工事への着手による判定に加え、総費用の5%以上を支払うか発生させるセーフハーバーも設けられている。いずれも、その後の継続的な建設や取り組みに関する要件がある。工場ごとの投資計画と、税制上の対象資産・適用条件を合わせて検討する必要がある。
■研究開発から先端パッケージングまで
Intelが米国内で訴求するのは、ウエハー製造と研究開発、先端パッケージングを結び付ける体制である。チャンドラセカラン氏は、アイデアを製造可能な技術へ変える研究開発の重要性を強調した。18AのRibbonFETトランジスタやPowerViaは、その取り組みを示す技術として挙げられた。
オレゴンでは先端ロジックと3D接続技術の研究開発・製造を進め、アリゾナでは半導体量産に加えて先端パッケージングの研究開発、組み立て、試験を行う。ニューメキシコでは、EMIBやFoverosなどを使う先端パッケージングの製造能力を整備している。
Intelは2026年、カリフォルニア州サンタクララで新たなマスク製造施設にも着工した。フォトマスクは回路パターンを転写するための原版であり、EUV露光では反射型のマスクを使う。マスク製造を含む設備の整備は、先端プロセスの開発と生産を支える。
競合も米国内の製造網を拡充している。TSMCは、アリゾナに6棟のウエハー工場、2カ所の先端パッケージング施設、研究開発拠点を設ける計画を示している。同社が2025年7月に説明した見通しでは、完成後に2nmおよびそれより先端の世界生産能力の約30%がアリゾナに置かれる。
Samsungについて、米商務省が2024年12月に確定した支援計画には、テキサス州テイラーの2棟の先端ロジック工場と研究開発施設、オースティンの既存施設拡張が含まれる。Intelは2026年10月の説明で、自社の米国事業が49州の4500社超のサプライヤーとつながり、年間290億ドル超の米国内支出を生むとしている。
■政府出資と米国内調達の見通し
米政府とIntelの資本関係も、国内製造体制を巡る重要な背景だ。Intelが2025年8月に発表した合意では、未払いのCHIPS法助成57億ドル(約8950億円)とSecure Enclave向け32億ドル(約5020億円)を原資に、政府が計89億ドル(約1兆4000億円)を出資することになった。
発表時の条件は、1株20.47ドルで約4億3330万株を取得し、持ち分を9.9%とするものだった。Tom's Hardwareは当時、米政府がIntelの最大株主になると報じた。合意には、取締役の派遣を伴わない受動的な保有とする条件もある。
政府には、Intelがファウンドリー事業の少なくとも51%を保有しなくなった場合に行使できる、追加5%分の株式取得ワラントも付与される。期間は5年、行使価格は1株20ドルであり、ファウンドリー事業の保有構造が契約条件に組み込まれている。
米国内の先端ロジック調達を検討する防衛、クラウド、企業向けチップの設計担当者にとっては、既存拠点の生産状況と新設拠点の稼働予定を分けて把握することが重要だ。18Aはアリゾナとオレゴンで生産され、Fab 62は2028年末までの稼働を計画する。Ohio Oneは長期的な能力拡大を担い、米商務省の支援計画では14Aと将来のプロセスの製造拠点に位置付けられている。
元記事: Intel Begins Tool Move-In at Fab 62 as 14A Customer Window and Tax Credit Deadline Converge
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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