米CEO、AI普及でも9割近くが増員へ 求める人材は変化

米大企業CEOの89%が、今後3年間で従業員数を増やすと見込んでいることが、KPMGの調査で分かった。(Photo by Ant Rozetsky on Unsplash)[写真拡大]
米大企業の最高経営責任者(CEO)の89%が、今後3年間で従業員数を増やすと見込んでいることが、KPMGの調査で分かった。人工知能(AI)の普及に伴い一部の業務では人員削減を計画する一方、AIやテクノロジーの能力を持つ人材の採用や既存社員の再教育を進める動きが強まっている。
KPMGが10月15日に公表した「2026 KPMG U.S. CEO Outlook」は、米国の大企業のCEO400人を対象にした調査である。回答者が率いる企業はいずれも年間売上高5億ドルを超える。
■89%が従業員増を予想、一方で53%は一部領域の削減を計画
今後3年間に従業員数を増やすと答えたCEOは89%に上った。
増員幅については、60%が5%未満、26%が6〜10%、2%が11〜25%を見込んでおり、大半は比較的小幅な人員拡大を想定している。
一方、AIへの対応を踏まえた2〜5年の人材戦略では、53%が一部領域で人員削減を計画している。会社全体では従業員を増やしながら、AIによって必要性が低下する業務では人員を減らし、必要な能力を持つ人材へ構成を移していく企業が多いことを示している。
具体的には、79%がAIやテクノロジーの能力を持つ新たな人材を採用すると回答した。83%は将来性の高い既存人材の維持と再教育に重点を置き、86%は人とAIの協働を前提に、職務やキャリアパス、チーム構成を見直している。
新卒など初級職に求められる能力も変わりつつある。CEOの75%は、AIの導入によって初級職に必要なスキルを見直したと回答した。81%は社員の研修や能力開発の方法を再検討している。
■最大の課題は「スキル不足」
企業がAIをソフトウェア開発やデータ分析、顧客対応、事務作業など幅広い業務に取り入れるなか、人材の能力不足が大きな課題となっている。
CEOの60%は「従業員のスキル不足」を主要な人材面の課題として挙げた。55%は社員にAIシステムを使う能力を身につけさせる教育・研修、49%は人材の獲得と定着を課題に挙げた。
調査では、どの職種で採用増や人員削減が最も大きくなるのかについては明らかにしていない。AIによって最終的に何人分の雇用が生まれ、何人分が失われるかも示していない。
■84%がAIを最優先投資の一つに
人材戦略の見直しと並行して、企業はAIへの投資を拡大している。
CEOの84%は、今後3年間の最優先投資分野の一つとしてAIを挙げた。65%は今後1年間に設備投資予算の少なくとも10%をAIに振り向けるとしている。
AIエージェントの導入効果については、9%が自社に「変革的な効果」をもたらしたと回答した。39%は効率や成長が大きく改善したとし、43%は特定用途で中程度の効果があったと答えた。
投資回収までの期間については、14%が6カ月〜1年、68%が1〜3年を見込む。3〜5年かかるとみるCEOは13%だった。
ただし、AI導入コストは企業の新たな負担となっている。CEOの半数は、AI導入コストの管理について「かなり難しい」または「非常に難しい」と回答した。81%は今後5年間、AIコストの上昇が人件費以上に企業の利益率を左右するとみている。
KPMG米国法人のティム・ウォルシュ会長兼CEOは、AIを巡る企業の関心について「AIイノベーションの焦点は、効率改善から、こうした投資がビジネスモデルや人材、成長をどう形作るかへと移っている」と述べた。
CEOの84%は今後3年間の自社の成長見通しに自信を示し、79%は米国経済の成長についても自信を持っていると回答した。AIによる雇用代替への懸念が高まる一方、企業経営者は単純な人員削減ではなく、採用する人材や仕事の内容を組み替えながら成長を目指す姿勢を示している。
※この記事はInternational Business Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
スポンサードリンク
