クアルコム対アームの契約訴訟、陪審が評議へ 最大5年のロイヤルティ停止も争点

2026年10月13日 11:17

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記事提供元:Tech Times

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米デラウェア州の連邦地裁で争われているQualcommとArmの契約訴訟は、2026年10月9日に陪審の評議に入った。Reutersによると、陪審は同日、約4時間協議したが評決に至らず、13日に評議を再開する予定だ。Qualcommは契約違反などを主張し、最長5年間のロイヤルティ支払い停止につながる判断を求めている。

■契約違反とMetaとの取引が争点

Qualcommは、Armがライセンス契約で提供を約束したソフトウェアの修正プログラムやチップ設計・試験用ツールを渡さなかったと主張する。設計の確認に使う資料やツールへのアクセスは、独自CPUコアを開発するQualcommにとって重要だ。陪審は、こうした提供義務に加え、価格に関する契約条項への違反も判断する。

価格を巡る条項は、Armの同等の技術に対する最低価格と比べ、Qualcommの支払額が10%を超えて高くならないよう定めたものだ。Reutersによると、QualcommはArmがこの条項に違反したと訴えている。

もう一つの争点は、Meta Platformsとのチップ取引だ。Qualcommは、Armが2024年にライセンス契約違反を通知する書簡をBloombergに漏らし、Metaとの交渉を妨げたと主張する。Reutersによると、Qualcomm側は、最終的に成立した取引の価値が1億7000万ドル(約269億円、1ドル=158円換算)下がったと陪審に説明した。

■Armは損害と因果関係を争う

Arm側は契約違反とQualcommの損害を争っている。Armの代理人グレッグ・ロカシオ弁護士は冒頭陳述で、Qualcommは損害を受けていないと述べ、訴訟をライセンス条件の交渉を有利に進めるためのものと位置付けた。

Metaとの取引額についてArm側は、Metaが仮想現実ヘッドセットからAIスマートグラスへ事業の重点を移し、チップの取引条件を見直した結果だと主張する。Reutersによると、Arm側はさらに、QualcommがArmに対する規制当局の調査に関する非公開情報を報道機関に漏らしたとして、書簡の開示を巡る損害賠償請求にも異議を唱えている。

Qualcommが求めるロイヤルティ支払い停止には、別の法的判断が必要となる。契約違反が認められた場合に最長5年間の支払いを止められるとする条項について、メアリエレン・ノレイカ判事は有効性を検討している。Armは、この条項を執行できないと主張している。

■Nuvia買収から続く対立

Armの技術には、設計済みのCPUコアなどを利用する技術ライセンス契約(TLA)と、Armの命令セットに適合する独自のCPUコアを設計できるアーキテクチャライセンス契約(ALA)がある。命令セットとは、CPUが実行する命令の体系を指す。QualcommのOryonコアも、後者の契約を背景とする独自設計の一つだ。

Qualcommは2021年、元AppleのCPU設計者らが設立したNuviaを約14億ドル(約2212億円、1ドル=158円換算)で買収した。NuviaはArmと独自のALAを結んでおり、そのロイヤルティ率はQualcommの契約より高かった。Armは買収後、Nuviaの技術を使うには同社の契約条件が適用されると主張し、2022年に提訴した。

2024年12月の陪審は、Qualcommによる自社のALA違反を認めず、Nuvia由来の技術をQualcommの契約で利用できると判断した。連邦地裁は2025年9月、Armの残る請求についてもQualcomm側に有利な最終判決を出した。Armの開示資料によると、同社の控訴は係属中だ。今回の審理は、Qualcommが2024年4月に起こした別の訴訟に当たる。

■次世代アーキテクチャの料金も審理

陪審による審理と並行し、ノレイカ判事は次世代アーキテクチャのライセンス条件をArmが誠実に交渉したかについても審理した。Reutersによると、Qualcomm側は法廷で、Armv9からArmv10への移行に伴う提示額が1万8500%増となることを示す資料を繰り返し取り上げた。これは交渉で示された額を巡る主張であり、判事の判断はまだ出ていない。

料金体系を巡っては、2013年の契約でCPUコアを5個以上搭載するチップのロイヤルティに1個当たり1.88ドルの上限が設けられていることも議論された。Arm側の弁護士は、CPUコアを288個搭載するデータセンター向けチップもある現在、この条件が妥当かをQualcommのクリスティアーノ・アモンCEOに問いかけた。

QualcommとArmの既存のアーキテクチャライセンス契約は2033年まで続く。次の世代の技術をどの条件で利用するかは、スマートフォンやPCに加え、サーバー向けチップの開発にも関わる。陪審の評決と、交渉を巡る判事の判断は別々に示される。

■Armの事業拡大と規制当局の調査

Armは2026年3月、初の自社設計による量産向け半導体製品として、データセンター向けの「Arm AGI CPU」を発表した。従来の技術ライセンスに完成品チップが加わり、顧客企業との事業上の関係も広がっている。同年4月には、Armのレネ・ハースCEOがSoftBank Group InternationalのCEOを兼任した。

Bloombergは同年5月、米連邦取引委員会(FTC)がArmの半導体技術のライセンス慣行を調査していると報じた。調査対象には、Armが自社製チップの開発を進める中で、他社へのライセンスの提供を制限したり、その内容を低下させたりする可能性が含まれるという。Reutersによると、ArmはQualcommによる反競争的行為の主張を否定している。

陪審が判断するのは、今回の契約違反やMetaとの取引を巡る主張だ。ロイヤルティ停止条項の有効性、次世代技術の交渉を巡る判事の判断、規制当局の調査は、それぞれ別に進む。Armの技術を使って独自のチップを開発する企業にとっても、両社のライセンス条件を巡る争いは関心の高いものとなっている。

元記事: Chip Royalty War Heads to Jury: Qualcomm Seeks $1.5B From Arm as FTC Watches

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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