ボーイング737 MAX 10、認証飛行試験を完了 FAA認証に向け文書審査へ

2026年9月15日 18:03

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記事提供元:Tech Times

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ボーイングは、737 MAXファミリーで最大の737 MAX 10について、予定していた認証飛行試験をすべて完了した。今後はシステム安全評価などの文書を取りまとめ、米連邦航空局(FAA)の審査を受ける。ボーイングは2026年中の認証と2027年の納入開始を目指しているが、認証時期の最終判断はFAAに委ねられる。

ボーイング幹部は9月14日、デンマークのコペンハーゲンで開かれた航空機取引業界の会議「ISTAT EMEA」で、MAX 10の飛行試験が完了し、早期の認証を目指していると説明した。

■976回の飛行試験を完了

MAX 10の最後の認証飛行試験は7月28日、米ワシントン州のボーイング・フィールドで実施された。化粧室の煙探知機と客室の機内放送用スピーカーについて、警報や放送を乗員が聞き取れることを確認する試験だった。

ボーイングによると、MAX 10の試験機は認証活動を通じて976回飛行し、飛行試験は2,060時間を超えた。地上試験も約1,040時間に達した。試験対象には主脚、濡れた滑走路での制動、最大エネルギー状態からの停止、エンジン防氷システム、強化型迎角システムなどが含まれる。

飛行試験の完了は認証取得を意味するものではない。ボーイングは残る開発保証審査とシステム安全評価を完了させ、最終文書をFAAへ提出する必要がある。7月28日時点では、4件目の開発保証審査が60%、システム安全評価が32%まで進んでいたと同社は説明していた。

MAX 10は当初、2020年ごろの就航が見込まれていた。しかし、2018年のライオン・エア機と2019年のエチオピア航空機の事故、その後の世界的な運航停止と認証制度の見直し、安全審査の強化、エンジン防氷システムの再設計などにより計画が遅れてきた。

■エンジン吸気口の過熱に対応

MAX 7とMAX 10の認証における大きな技術課題の一つが、エンジン防氷システムの使用に伴う吸気口の過熱だった。

FAAは2023年8月、CFM International製LEAP-1Bエンジンを搭載する737について、特定の環境・運航条件の下、乾燥した空気中でエンジン防氷システムを5分を超えて使用すると、エンジン吸気口の内側構造が材料の設計限界を超えて加熱される可能性があるとする耐空性改善命令を出した。

過熱が進むと吸気口の内側構造やカウルが損傷するおそれがあるため、FAAは運航規程を改定し、一定の条件で防氷システムの使用を制限するよう求めた。当時、実運航中に吸気口の内側構造が破損した事例は報告されていなかった。

防氷システムは、エンジンから取り出した高温の空気を吸気口へ送り、氷の付着を防ぐ。今回の課題はLEAP-1Bエンジン本体ではなく、ボーイングが設計する吸気口側の構造と防氷システムの組み合わせに関するものだった。

ボーイングは吸気口の過熱を防ぐシステムを再設計し、MAX 10の認証試験で検証した。吸気口付近の構造や空気の流れを変更すると、エンジンに入る気流にも影響する可能性があるため、構造、熱、空力の各面から確認する必要があった。

FAAは2026年8月にMAX 7を認証した際、再設計したエンジン防氷システムによって、吸気口の過熱と周辺構造の強度低下を防ぐ対策が講じられたと説明した。ボーイングは、この改良を今後生産するMAXに採用するとともに、既存のMAX各型にも改修として導入する方針を示している。対象機や実施時期などの詳細は、今後の承認や各航空会社の改修計画によって決まる。

■迎角センサー異常への対応を強化

MAX 10では、迎角センサーの異常を監視する強化型迎角システムも検証された。迎角センサーは、機体と周囲の気流がつくる角度を測定し、速度や高度の表示、飛行制御など複数のシステムに情報を提供する。

2018年と2019年の事故では、迎角センサーの誤った情報が操縦特性向上システム「MCAS」に入力され、MCASが繰り返し機首下げ方向の指令を出したことが、事故に至る一連の要因となった。2件の事故では計346人が死亡した。

MAX 8とMAX 9の運航再開に際しては、MCASが左右両方の迎角センサーの情報を比較するようソフトウェアが変更された。MCASの作動回数や指令量も制限され、パイロットが操縦桿を通じて機首上げ操作を行えばMCASが作動し続けない設計に改められた。

ボーイングがMAX 10向けに開発した強化型迎角システムは、2基の迎角センサーの挙動を継続的に監視し、矛盾や異常が検出された場合に、疑わしいセンサーの情報を関連システムから切り離す仕組みである。同社によると、乗員への警告を明確にし、センサー異常時に必要となる手順を簡素化することを目的としている。

操縦席には、誤ったスティックシェーカー警報を乗員が停止するためのスイッチも設けられる。スティックシェーカーは操縦桿を振動させて失速の危険を知らせる装置だが、迎角情報が誤っている場合には不必要な警報が続く可能性がある。

ボーイングは、強化型迎角システムについても、MAX 10だけでなく既存のMAX各型へ導入する方針を示している。具体的な改修対象やスケジュールは、規制当局による承認と運航会社ごとの計画を経て確定する。

■長い胴体に対応する着陸装置

MAX 10はMAX 9より胴体が66インチ、約1.7m長い。ボーイングの標準的な仕様では最大230席を設定できる一方、胴体が長くなることで離陸時に尾部が滑走路へ接触する余裕が小さくなる。

このため、ボーイングはMAX 10にセミレバー式の主脚を採用した。離陸時の機首上げに合わせて主脚が伸び、機体と滑走路の距離を確保する。離陸後は脚を縮め、既存のホイール格納部へ収める構造である。

単純に主脚全体を長くすると、格納部や胴体構造の大幅な変更が必要になる。セミレバー式主脚は、MAXファミリー内の機体や運航上の共通性をできるだけ維持しながら、長い胴体に対応するための設計となっている。

機材の共通性は、航空会社が同じ操縦資格や共通する訓練・整備体制を活用するうえで重要になる。MAX 10は、既存の737 MAXを運航する航空会社が座席数を増やす選択肢として位置付けられている。

■先行してMAX 7がFAA認証を取得

FAAは8月3日、737 MAXファミリーで最小のMAX 7に改訂型式証明を発行した。FAAは、飛行制御、システム安全評価、ヒューマンファクター、乗員警報など、安全上重要な分野の作業を自ら実施するか、直接審査したと説明している。

MAX 7には、飛行制御ソフトウェア、乗員警報、エンジン防氷システムなどの改良が盛り込まれた。MAX 7とMAX 10には共通する設計変更や審査項目があるものの、MAX 10には別途、同型機に固有の審査とFAAによる認証判断が必要になる。

ボーイングはMAX 7に続いてMAX 10の認証を取得し、両派生型の納入を2027年に始める計画を示している。

■A321neoより短い航続距離

MAX 10は、エアバスA321neoファミリーと競合する大型の単通路機である。ボーイングはMAX 10について、高密度の短・中距離路線で座席当たりの運航経済性を高められると説明している。

一方、ボーイングが公表するMAX 10の航続距離は最大約3,100海里、約5,740kmである。長距離型のエアバスA321XLRは最大約4,700海里、約8,700kmとされ、航続距離には大きな違いがある。

MAX 10は座席数と既存MAX機との共通性を生かす路線を主な市場とするのに対し、A321XLRは旅客需要が比較的小さい長距離路線も対象とする。航空会社にとっては、航続距離だけでなく、保有機材との共通性、座席構成、運航コスト、納入時期などが機種選定の判断材料となる。

■最終的な認証時期はFAAが判断

ボーイングは認証作業と並行して、737の生産能力拡大を進めている。2026年7月には、ワシントン州エバレットの新しい「ノースライン」で737 MAXの生産を開始した。同社は既存の生産ラインについても、月産47機の体制へ段階的に移行する方針を示している。

FAAは7月20日から、ボーイングがすべての737 MAXと787について、完成した個々の機体に耐空証明を発行する権限を回復させた。これは新型機の設計を承認する型式証明とは異なり、完成機が承認済みの設計に適合し、安全に運航できる状態であることを確認する手続きである。FAAによる生産工程の検査、監査、監視は継続される。

MAX 10は飛行試験という大きな段階を終えたが、FAAによる文書審査と最終的な認証判断が残っている。認証を取得すれば、ボーイングは保管中の完成機を最終仕様に改修し、顧客への納入準備を本格化させることになる。

元記事: Boeing 737 MAX 10 Clears All Flight Tests, Unlocking Safety Upgrade for Entire MAX Fleet

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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