中国、2022年の宇宙ステーション完成目指し4月にロケット打ち上げ

2020年2月27日 08:29

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 昨年12月、中国が、2022年までに重量約100トン、定員3名の宇宙ステーションを完成させる見通しを明らかにした。中国は現在稼働中の国際宇宙ステーション(ISS)には参画しておらず、宇宙ステーション建設については独自で開発を継続中である。

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 ISSは2024年に活動を終える予定のため、それ以降はこの中国の宇宙ステーションが世界で唯一の存在になる可能性がある。そのため、現時点で多くの国が中国との共同宇宙開発実験プロジェクトへの参画意向を示しており、4月の中国のロケット打ち上げは各国から注目されている。

 今回打ち上げられるロケットは、LONG MARCH5Bと名付けられたキャリアロケットで、最大6名が搭乗できる宇宙船の試作機を搭載している。4月の打ち上げでは、宇宙ステーション建設資材の搭載はないが、この宇宙ステーション計画の成否のカギを握る、重要な技術の確認を行う予定であり、2022年の宇宙ステーション完成までに10以上のミッションを計画している。

 この宇宙ステーションは、コアモジュールの両側に2つのラボカプセルを備えたT字型で3つのモジュールからなり、居住空間のすべてを合わせても160立方メートルにすぎない。このサイズは国際宇宙ステーションの大きさの3分の1をやや上回る程度の大きさである。

 中国は、2003年にロシア、米国についで人間を宇宙に送り込んだ世界で3番目の国になったが、それ以降も着々と技術レベルアップを積み重ね、2016年には2人の宇宙飛行士による33日間の宇宙滞在を成功させている。

 また有人飛行だけでなく、2019年には月の裏側に無人探査機の着陸を成功させており、2025年には人類を月面に送り込むといううわさも出ている。このように中国はすでに世界の最先端を行く技術を身に着けていると言っても過言ではなく、ロシアも米国もうかうかしてはいられないほどの状況にまで事態は進展している。

 宇宙開発競争では、半世紀前に米国が人類を月面に最初に送り込み、当時の米ソの競争は一応の決着を見た。その結果、2つの大国による覇権争いの道具として宇宙開発が捉えられなくなり、この50年間は米国とロシアで表立った競争がなくなった。そのためこの分野は、素人目には面白みがなくなりつつあったが、このところの中国の台頭でまた面白くなってきた。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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