新たな球状星団が多数形成か 従来の説を覆す発見 スペインの大学など

2019年11月9日 08:45

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 我々の銀河系内に属している球状星団は、100億年以上も前に誕生した古い星が数十万個以上も密集したものであり、現在150個ほどの存在が確認されている。また銀河系外のものも含めれば、1万ないし2万個存在しているとみられている。これらの球状星団は少なくとも100億年以上前に形成されたものと考えるのが、従来の天文学会の常識であった。

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 また、100億年以上も輝き続けることができる恒星の大きさは、太陽よりも軽いものと考えられている。なぜならば、恒星はその質量が大きければ大きいほど寿命が短いためで、たとえば、太陽の10倍の質量をもつ恒星ならばその寿命は1000万年程度しかい。一方で太陽に最も近い恒星であるプロキシマケンタウリは質量が太陽のおよそ7分の1程度だが、寿命は1000億年以上にも及ぶとされている。

 だが、最近英国Nature Astronomy誌で公開されたスペインのバスク大学の研究者らによる論文は、先に示した天文学会の常識を覆す画期的な事件となった。研究者らは、ペルセウス銀河団の中心に位置する巨大銀河内の冷たいガスから、過去数十年間にわたって、数千個に及ぶ新しい球状星団が形成されていることを発見したのだ。

 球状星団が新たに形成されつつある冷たいガスは、ペルセウス銀河団全体を取り巻くような形で広がる高温ガスのネットワークが、巨大銀河の中心に集まって急速に冷却されたものとみられる。冷却プロセスの一環として、ガスが球状に集結したクラスターが形成され、それらの一粒一粒が球状星団の一角をなし、結果的に球状星団になったものと考えられている。

 もしもこのプロセスが、従来観測してきた100億年以上前に誕生した球状星団と同様なのであれば、100億年以上前に宇宙で起きていた現象と同じことを、今まさに観測できているのかもしれない。

 古い天体の代表格として球状星団と並び称される存在にクエーサーがあるが、こちらはつい最近までその正体がはっきりとしていなかった。だが最近の研究で、宇宙誕生直後に形成されつつあった巨大銀河の極中心部にある非常に明るい部分であるらしいことが、わかってきている。今回の新しい球状星団発見のニュースで、宇宙の古参たちの謎が続々と解明されてゆくことになるかもしれない。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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