Intel GPU D270、最大480GBのLPDDR5XでAI推論を狙う―350Wの空冷設計

2026年10月31日 17:45

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記事提供元:Tech Times

(Rubaitul Azad/Unsplash)

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Intelは、LPDDR5Xメモリーを採用した推論向けGPU「Intel GPU D270」の顧客向けサンプリングを進めている。最大480GBのメモリーに対応し、350Wの空冷PCIeカードとして、既存の企業向けサーバーへの導入を重視した製品だ。

同社が2026年10月29日に発表した第3四半期決算では、データセンター・AI(DCAI)部門の売上高が前年同期比78%増の73億1800万ドル(約1兆1600億円)となった。サーバーCPU事業の拡大と並行して、IntelはGPUとソフトウェアを含む推論基盤の整備を進めている。

■D270は大容量メモリーと空冷設計を重視

D270の開発コード名は「Crescent Island」で、Intelは2026年10月のOCP Global SummitでDシリーズの詳細を公表した。2025年10月の初発表時から、推論処理に適したメモリー容量と電力効率を重視する設計を掲げてきた。

Intelの公表仕様では、Dシリーズは最大480GBのLPDDR5Xに対応し、メモリー帯域幅は毎秒1.5TBとなる。Intelブランドのカードは160GBを搭載し、パートナー企業が設計するカードでは最大480GBまで構成できる。LPDDR5Xは、ノートPCなどでも利用される低消費電力のDRAMだ。

演算部はXe3Pアーキテクチャを採用し、32基のXeコアと256基のXMX行列演算エンジンを備える。XMXはAI処理で多用される行列演算を高速化する機構で、NVIDIAのTensor Coreと同じく、専用の演算機構によって処理効率を高める。

CPUとの接続にはPCIe 5.0を使用する。FP4やMXFP4などの低精度形式からFP64まで幅広いデータ形式に対応し、AI推論に加えて科学技術計算も視野に入れる。量子化によるメモリー使用量の削減と、モデルごとの精度を両立させるソフトウェアも重要になる。

Intelは、350Wの空冷設計と標準的なPCIe接続によって、既存のデータセンター設備を活用しやすくすると説明している。導入時には、カード単体の仕様に加え、サーバーの電源容量、冷却能力、搭載可能なカード数を含めて構成を検討することになる。

■容量、帯域幅、処理条件で変わる推論の効率

比較対象となるNVIDIA H200は、141GBのHBM3eと毎秒4.8TBのメモリー帯域幅を備える。AMD Instinct MI300Xは192GBのHBM3を搭載し、帯域幅は毎秒5.3TBだ。各社の公表仕様を比べると、D270は最大メモリー容量の大きさが特徴となる。

冷却方式にも製品ごとの選択肢がある。NVIDIAはH200 NVLを空冷式の企業向けラックに適した製品として提供している。D270では350Wという電力枠と大容量LPDDR5Xの組み合わせが、設備計画や運用費を考えるうえでの比較点になる。

大規模言語モデル(LLM)の推論では、学習済みの重みをメモリーに保持して問い合わせを処理する。必要なメモリー容量は、パラメーター数だけでなく、重みのデータ形式、入力の長さ、同時に処理する要求数にも左右される。700億パラメーター級のモデルでも、こうした条件によって適した構成が変わる。

処理段階によって求められる資源も異なる。入力をまとめて処理するプリフィルでは演算能力が重要になりやすく、トークンを順次生成するデコードではメモリー帯域幅が制約になりやすい。長い入力や多数の同時要求を扱う場合は、過去の計算結果を保持するKVキャッシュの容量も大きくなる。

IntelがD270で重視するのは、大きなモデルや長いコンテキストをメモリーに保持し、多数の推論要求を実用的な電力枠で処理することだ。同社は、複数のモデル呼び出しやツール実行を繰り返すエージェント型AIを主な用途に挙げる。製品選定では、応答時間、同時処理数、消費電力、100万トークン当たりの処理費用を、対象モデルと運用条件に合わせて評価することが重要になる。

■オープンソフトウェアと新モデルへの対応

Intelは、PyTorchやvLLMなどのオープンなソフトウェア環境への対応を進めている。既存の開発・運用ツールを利用できれば、ハードウェアの評価やアプリケーションの移行にかかる負担を抑えやすい。

調査会社NAND Researchは、D270の対応ソフトウェアとしてvLLM、SGLang、llm-d、NVIDIA Dynamoを挙げている。Dynamoは、推論処理の振り分けやメモリー資源の管理などを担うフレームワークで、NVIDIAの公式文書もIntel XPUを対応プラットフォームに含めている。

IntelはMetaの「Muse Spark Open」についても、公開初日からの対応を発表した。同社によると、8160億パラメーターのモデルを低精度に量子化し、それぞれ160GBのメモリーを持つDシリーズGPUを4基用いて動作させた。

この実演は、大容量メモリーと低精度演算を組み合わせた利用例となる。IntelはGPU向けのMXFP4とXeon向けのINT4のモデルを用意し、vLLMやSGLangなどのソフトウェアを通じて、CPUとGPUそれぞれでモデルを評価できる環境を整えている。

■Xeon需要が押し上げた第3四半期決算

2026年第3四半期の全社売上高は165億ドル(約2兆6100億円)で、前年同期の137億ドル(約2兆1600億円)から21%増加した。GAAP売上総利益率は43.0%と前年同期比4.8ポイント上昇し、GAAP営業利益率は5.0%から15.3%へ改善した。

GAAP希薄化後1株利益(EPS)は0.60ドル、非GAAP EPSは0.52ドルだった。前年同期はそれぞれ0.90ドル、0.23ドルで、GAAPの前年実績にはAltera事業の売却に伴う利益が含まれていた。営業キャッシュフローは51億ドル(約8060億円)、調整後フリーキャッシュフローは約16億ドルとなった。

DCAI部門の売上高は、前年同期の41億1700万ドル(約6500億円)から73億1800万ドル(約1兆1600億円)へ増加した。前年同期比の成長率は第1四半期が22%、第2四半期が59%、第3四半期が78%と加速した。営業利益は9億6400万ドル(約1520億円)から30億3900万ドル(約4800億円)へ拡大し、営業利益率は約41.5%となる。

Intelの四半期報告書によると、増収を主導したサーバー事業では、平均販売価格が前年同期比54%上昇し、販売数量は10%増加した。平均販売価格の上昇には上位製品の構成比拡大が大きく寄与し、販売数量はハイパースケーラーからの需要増が支えた。その他のDCAI売上高も、用途特化型半導体への需要によって増加した。

CEOのリップブー・タン氏は、Xeonへの強い需要に対応する供給拡大を優先課題に挙げた。CFOのデイビッド・ジンズナー氏は、データセンター売上高の伸びについて過去15年で最も強い成長だったと説明した。一方、Intelは基板やメモリーなどの供給制約が一部製品の出荷を制限しており、翌年にも続くと見込んでいる。

■Oracleとの協業計画とDiamond Rapids

IntelとOracleは2026年10月27日、ラスベガスのOracle AI Worldで、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)におけるXeonベースの計算基盤を拡大する複数年の協業計画を発表した。現行および将来のXeonを対象に、製品ロードマップと供給能力の計画を調整する構想だ。

計画中のOCI X14は、次世代Xeon「Diamond Rapids」を採用する予定である。強化版Intel Advanced Matrix Extensions(AMX)はFP8、FP16、BF16に対応し、最適化された推論ソフトウェアの高速化を目指す。OracleとIntelは、既存の企業システムにAIを組み込むための基盤として位置付けている。

Intelは8月のHot Chips 2026でDiamond Rapidsの構成を公開した。最大256コア、1.28GBのラストレベルキャッシュ、16チャネルのメモリーに対応する。SMTは搭載せず、メモリー速度はDDR5で最大8000MT/s、MRDIMMで最大12800MT/sとなる。

接続機能は128レーンのPCIe 6.0とCXL 3.0などに対応する。製造にはIntel 18A-Pを採用し、Foveros Directによる3次元積層とUCIe-Sによる接続を組み合わせる。Intel 18A系は、RibbonFETトランジスターと裏面電力供給技術PowerViaを基盤とするプロセスで、Diamond Rapidsの投入は2027年を予定している。

Intelが描くのは、CPUがアプリケーションの実行、データ移動、ツール呼び出しなどを担い、GPUがモデルの推論を処理する役割分担だ。エージェント型AIでは、こうした処理を複数段階にわたって連携させるため、個々の半導体の性能に加えてシステム全体の効率が重要になる。

■量子ソフトウェア買収と製造投資

Intelは10月26日、イスラエルの量子コンピューティングソフトウェア企業Classiqを買収する最終契約を締結したと発表した。イスラエル経済紙Globesは、買収額を23億ドル(約3630億円)と報じている。取引は規制当局の承認などを条件とし、2027年上期の完了を予定する。

Classiqは、高水準の量子プログラミング言語「Qmod」と、量子回路を自動合成する技術を提供している。Intelはこれを自社のシリコンスピン量子ビット製造技術やソフトウェアと組み合わせ、ハードウェアからソフトウェアまでを備えた量子コンピューティング基盤の構築を目指す。

第3四半期のClient Computing and Physical AI Groupの売上高は、前年同期の85億3500万ドル(約1兆3500億円)から5%減の80億9700万ドル(約1兆2800億円)となった。Intel Foundryの売上高は58%増の66億9700万ドル(約1兆600億円)で、営業損失は23億2100万ドル(約3670億円)から18億5300万ドル(約2930億円)へ縮小した。Foundryの売上には社内取引が含まれ、連結時にはセグメント間取引約63億ドルなどを消去する。

Intelは8月の公募増資で230億ドル(約3兆6300億円)を調達した。当初150億ドル(約2兆3700億円)だった募集規模を200億ドル(約3兆1600億円)へ拡大し、引受会社による追加取得分を含めて230億ドル(約3兆6300億円)となった。発行価格は1株95ドルで、2025年8月の米政府との出資合意で設定された1株20.47ドルの4倍超に当たる。

米政府との当時の出資合意は89億ドル(約1兆4100億円)、持ち分は9.9%相当で、未払いのCHIPS法助成金とSecure Enclaveプログラムの資金を充てる内容だった。Intelの2026年9月26日時点の現金・現金同等物は約218億ドル、短期投資は約322億ドルで、合計約540億ドルとなった。2026年の設備投資計画は従来比20億ドル(約3160億円)増の200億ドル(約3兆1600億円)で、同社はIntel 14Aの2028年の生産開始に向けた投資も進めている。

■第4四半期の見通しと事業拡大の焦点

Intelは2026年第4四半期の売上高を150億~160億ドル(約2兆3700億~2兆5300億円)と予想する。第3四半期の165億ドル(約2兆6100億円)から減収となる水準だ。非GAAP売上総利益率は38.0%、非GAAP EPSは0.25ドルを見込み、第3四半期の44.1%、0.52ドルから低下する。

ジンズナー氏は、PC市場の減速が少なくとも2027年上期まで続くと説明した。決算説明会では、Intel 18Aの工場稼働率や、全社平均より利益率の低い用途特化型半導体事業の拡大なども、利益率に影響する要因として挙げている。

海外展開では輸出管理も条件となる。米商務省産業安全保障局(BIS)は2026年1月、H200やMI325Xなどの中国向け輸出許可について、一定の安全要件を満たした申請を個別審査する方針を示した。対象製品の性能や販売先、用途、米国内への供給などが、事業展開を左右する要素となる。

Intelは製品開発と製造の実行力の改善も進めている。タン氏は2025年、主要なチップ設計をテープアウト前に自ら審査・承認する方針を公表した。今後の焦点は、Xeonの供給拡大、D270の顧客評価から本格導入への移行、Diamond Rapidsの立ち上げ、Intel 14Aの顧客獲得となる。

元記事: Intel GPU D270 Dumps HBM for Laptop RAM; Air-Cooled Inference Card Validated by $7.3B Quarter

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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