SpaceX、Nvidia製AIチップ購入へ6.3兆円調達を協議 衛星計画と巨額設備投資が背景

2026年10月10日 22:33

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記事提供元:Tech Times

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SpaceXがNvidia製AIチップの購入資金として、総額400億ドル(約6兆4000億円)の負債調達を協議している。Financial Timesが10月6日、事情に詳しい複数の関係者の話として報じた。銀行融資と社債を組み合わせる案で、取引の完了は2027年を見込むという。

同社は地上のAIデータセンターを拡張する一方、軌道上で計算処理を行う衛星「Starmind」も計画している。今回報じられた調達案は、こうしたAI事業に必要なチップの購入規模と、投資を支える資金調達の大きさを示している。

■銀行融資100億ドル、社債300億ドルを検討

Financial Timesによると、協議中の内訳は銀行融資が約100億ドル(約1兆6000億円)、投資適格債が約300億ドル(約4兆8000億円)だ。米投資会社Apollo Global Managementが取引を主導し、幅広い機関投資家への販売を支援する見通しで、債券運用大手PIMCOも資金提供を協議する候補に含まれるという。

資金はNvidia製チップの購入に充てる計画と報じられている。報道時点では協議の初期段階にあり、調達額や社債の満期、融資の担保条件などは今後の取引内容によって決まる。SpaceX、Apollo、Nvidia、PIMCOはロイターのコメント要請に直ちには応じなかった。

ApolloはAI計算設備の資金調達をすでに手がけている。同社は2026年1月、Nvidia製GPUを含むデータセンター設備を購入し、当時のxAI子会社へリースする事業を支えるため、35億ドル(約5600億円)の資金供給を主導したと発表した。SpaceXは同年2月にxAIを買収している。

■既発債とAI投資の規模

SpaceXは2026年6月、初の公募社債として総額250億ドル(約4兆円)を発行した。2031年、2033年、2036年、2046年、2056年に満期を迎える5本の無担保債で、調達資金はブリッジローンの返済などに充てた。同社の開示によると、6月末時点の借入金元本は約384億ドル(約6兆1400億円)だった。

同社の2026年4~6月期の売上高は78億1400万ドル(約1兆2500億円)、純損失は5億4100万ドル(約866億円)だった。同じ四半期の設備投資は183億6900万ドル(約2兆9400億円)で、このうちAI事業向けが158億2800万ドル(約2兆5300億円)を占める。AI事業への四半期投資額だけで、全社の四半期売上高の約2倍に達した。

6月末の現金・現金同等物と短期市場性証券は合計で約1000億ドル(約16兆円)に上る。6月の新規株式公開では手数料などを差し引いて約856億7500万ドル(約13兆7000億円)を得た。一方、2026年上期の営業活動によるキャッシュフローは約34億6600万ドル(約5550億円)、設備投資は約284億7600万ドル(約4兆5600億円)だった。

SpaceXのAI計算設備には外部顧客からの需要もある。TechCrunchの報道によると、同社はAnthropicと月額12億5000万ドル(約2000億円)、Googleと月額9億2000万ドル(約1470億円)の計算資源提供契約を結んだ。AI企業Reflection AIも、7月から月額1億5000万ドル(約240億円)を支払う契約を結んだという。

■Nvidiaとの事業・資本関係

イーロン・マスク氏は8月4日のSpaceXの決算説明会で、AI計算基盤の構築にNvidia製品を採用する方針を示した。2026年末に計算設備の容量を2ギガワット超へ、2027年末には10ギガワットに近い規模へ拡大するとの目標も語っている。

Nvidiaは8月24日、SpaceXのAI部門が地上の設備にVera CPUとVera Rubinを導入し、Starmindの第1世代衛星にも軌道上向けに調整したVera Rubin NVL72を使う計画だと発表した。CPUとGPUを組み合わせる計算基盤を、地上と宇宙の双方で利用する構想である。SpaceXは衛星の設計について、他社製チップにも対応できる構造だと説明している。

両社には資本関係もある。Nvidiaが米証券取引委員会に提出した保有株式の報告書によると、2026年6月末時点でSpaceXのクラスA株約1億2276万株を保有し、同日時点の評価額は約210億ドル(約3兆3600億円)だった。

Nvidiaは8月、Apollo、BlackRock、Blackstone、Brookfield、Goldman Sachs、KKRとの間で、AIインフラ向けに長期的に5000億ドル(約80兆円)超の第三者資金を動員するための覚書を結んだと発表した。今回のSpaceX向け調達を主導すると報じられたApolloも、その協力先の一社である。

■軌道上計算を目指すStarmind

Starmindは、太陽光を利用して衛星上でAIの計算処理を行い、結果を通信網を通じて地上へ送る構想だ。SpaceXは2026年1月30日、軌道上データセンターとして使う衛星を最大100万基運用するため、米連邦通信委員会(FCC)に申請した。FCCは2月、この申請を審査に向けて受理した。

SpaceXが公表する第1世代衛星「AI1」の現行設計値は、展開時の全幅が75メートル、計算設備の電力規模が平均175キロワット、最大250キロワットだ。同社は排熱に放熱器を使い、衛星間のレーザー通信で計算結果を伝える設計を示している。これらは計画中の衛星の仕様である。

Nvidiaは宇宙向け「Space-1 Vera Rubin」モジュールについて、H100 GPUと比べ、宇宙でのAI推論に使える計算能力がGPU当たり最大25倍になるとしている。この数値はNvidiaが示す製品性能であり、Starmind衛星を軌道上で測定した結果ではない。

SpaceXはテキサス州バストロップに衛星量産施設「Gigasat Factory」を建設している。同社の計画では、AI衛星の本格的な製造と配備を早ければ2027年末に始める。軌道上での電力確保、放熱、通信をどう組み合わせるかが、構想を事業へ進めるうえで重要になる。

■社債市場が見る投資と返済

SpaceXの既発債は、巨額投資を債券投資家がどう評価するかを示す材料になる。Bloombergの報道によると、同社の2036年満期債は発行時、米国債に対して1.4ポイントの利回り上乗せがあり、同程度のBBB格付け債の平均を約0.4ポイント上回った。10月には、2056年満期債が額面1ドル(約160円)当たり約85セント(約136円)で取引されているとFinancial Timesが報じた。

債券投資家にとっては、設備投資が将来の売上と返済原資にどうつながるかが焦点となる。SpaceXの2026年4~6月期は、衛星通信を含む接続事業が28億4400万ドル(約4550億円)の営業利益を計上する一方、AI事業は12億5700万ドル(約2010億円)の営業損失だった。事業ごとの収益力と投資負担の両方が、追加調達を評価する材料になる。

AIインフラの資金需要はSpaceXに限らない。Morgan Stanleyは、2025~2028年のデータセンター投資を賄うには約1兆5000億ドル(約240兆円)の外部資金が必要と推計している。Oracleも、クラウド設備の拡張に向けて2026年中に債務と株式を組み合わせ、450億ドル(約7兆2000億円)~500億ドル(約8兆円)を調達する計画を公表した。SpaceXの400億ドル(約6兆4000億円)案も、AI設備の拡大を信用市場が支える動きの中に位置付けられる。

元記事: SpaceX Bond Deal: 30-Year Maturities, Nvidia Chip Collateral Worth Fraction by Mid-Decade

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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