S&P500企業の利益成長、AI投資と非上場株評価益が押し上げ
米主要企業の2026年第3四半期決算が始まる。JPMorgan Chaseは10月13日の米市場取引開始前に決算を発表する予定だ。ゴールドマン・サックスの分析では、第2四半期のS&P 500企業の利益に、大手テクノロジー企業が保有する非上場企業への投資評価益が大きく寄与した。今期は、こうした評価益と事業から得た利益の内訳が注目される。
■非上場株の評価益が第2四半期利益に寄与
ゴールドマン・サックスによると、大手テクノロジー企業は2026年第2四半期に、非上場企業への投資で約1500億ドルの未実現利益を計上した。同行は、これが同期のS&P 500の1株利益の12%に相当すると分析している。投資先の持ち分の評価額が上がったことによる利益であり、製品やサービスの売上高とは性質が異なる。
米財務会計基準審議会の会計基準「ASC 321」では、上場価格のない株式について、一定の条件下で取得原価を基に測定する方法を選べる。同じ発行体の同一または類似の株式で観察可能な取引が起きた場合には、帳簿価額の調整が必要となり、その変動が損益に反映される。非上場株式の評価益を読む際には、事業の売上や営業利益と区別することが重要だ。
同行の集計では、S&P 500の第2四半期の1株利益は前年同期比51%増えた。直近4四半期を通じた増加率は26%で、同行が示す過去30年の同期間平均7%を上回る。ゴールドマンは非上場株の投資評価益について、2026年後半も計上が続くと見込む一方、2027年の寄与は大幅に小さくなると予想している。
■第3四半期はAI投資の寄与にも注目
10月2日時点の市場予想をまとめたゴールドマン・サックスの資料では、S&P 500の第3四半期の1株利益成長率は前年同期比27%と見込まれている。AIインフラ関連企業が増益の半分超を担うとの見方だ。情報技術とエネルギーの寄与も大きく、指数全体の増益見通しを読むうえでは業種や企業ごとの内訳が欠かせない。
ゴールドマンは、米大手クラウド事業者などの設備投資を2026年に計8000億ドル、2027年に1兆2000億ドル、2028年に1兆4000億ドルと見込む。2026年の額は前年から94%増える計算だ。半導体メーカーだけでなく、機器、データセンター建設、電力に関わる企業にも支出が向かうという。
同行の別の分析では、計算設備、データセンター、電力を含むAIインフラ投資について、2026~2031年の累計を約7兆6000億ドルとする基準シナリオが示された。これは将来の支出額を確定的に予測した数字ではなく、半導体の更新周期や施設の建設費などの前提から必要資本を試算したものだ。
■メモリーとソフトウェアの決算に表れた需要
半導体では、米マイクロン・テクノロジーが6月に発表した2026年度第3四半期の売上高が414億6000万ドルとなり、前年同期の93億ドルから約346%増えた。クラウドメモリー事業の売上高は137億7000万ドルだった。同社のサンジェイ・メロートラ最高経営責任者は、この決算がAI時代におけるメモリーの戦略的価値を反映していると述べた。
AI向けアクセラレーターに使われる高帯域幅メモリー(HBM)は、メモリーを積層し、シリコン貫通電極などで接続して大容量のデータを高速に扱う。マイクロンは顧客との複数年契約を進めており、同社によると、契約にはHBMを含むDRAMの供給も含まれる。9月30日に公表した2026年度第4四半期の売上高は542億3000万ドルで、前四半期を上回った。
ソフトウェアでは、パランティア・テクノロジーズが8月3日に発表した2026年第2四半期の売上高が19億3500万ドルで、前年同期比93%増だった。米国の商業顧客向け売上高は149%増、米政府向けは90%増となった。同社が示す調整後営業利益率は62%、調整後フリーキャッシュフローは12億2000万ドルだった。
スノーフレイクも、2025年12月に発表した2026年度第3四半期決算で、製品売上高が前年同期比29%増の11億6000万ドルとなった。同社は決算説明会で、同四半期に締結した契約の50%にAIが影響したと説明した。一方、米国会計基準による営業損益は3億2950万ドルの赤字で、売上の伸びと利益の推移を併せて見る必要がある。
■決算説明会で見極める投資と利益
JPMorgan Chaseの第3四半期決算は、消費者向け融資や投資銀行業務など、AI関連以外の企業活動を確認する機会にもなる。ブルームバーグが報じたインタビューでは、ウェルズ・ファーゴの株式ストラテジスト、オーソン・クォン氏が、前四半期にはAI関連以外の企業にも大きな予想上振れが見られ、増益の裾野が広がり始めたと述べた。同報道によると、第3四半期はS&P 500の全11業種で増益が予想されている。
今後の大手テクノロジー企業の決算では、AI向け設備投資の計画と、その支出が各社の売上や利益にどう表れるかが焦点となる。ゴールドマンは、2026年のS&P 500の1株利益成長のほぼ半分にAI投資が寄与すると分析している。投資の伸びが緩やかになるにつれ、AIの業務利用による生産性向上が企業利益にどれほど表れるかが重要になるとの見方だ。
設備投資で取得した機器の費用は、使用期間にわたり減価償却費として計上される。ゴールドマンは、投資の増加ペースが鈍る一方で償却費は積み上がるため、AI投資がS&P 500の利益成長を押し上げる効果は次第に薄れ、2028年には小幅な押し下げ要因に転じると予想する。同社の1株利益予測は2027年が415ドル、2028年が460ドルで、いずれも前年比約11%増だ。
ゴールドマンは9月時点で、S&P 500の12カ月後の目標を8700とし、株価の上昇は主に利益成長に支えられると見込んだ。非上場株の評価益、AIインフラ投資を受け取る企業の売上、投資する企業の費用を分けて追うことが、第3四半期以降の決算を読み解く手掛かりになる。
元記事: Goldman Sachs: $150B in Paper Gains Inflated Q2 S&P 500 Earnings as Q3 Season Opens
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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