米証券業界、2026年利益は14兆円超の可能性 AI投資と大型IPOが追い風

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米ウォール街の証券業界が、2026年に過去最高の利益を更新する勢いである。人工知能(AI)関連投資を背景とする資金調達やM&A(合併・買収)、大型の新規株式公開(IPO)に加え、市場変動に伴う取引活発化が収益を押し上げている。
ニューヨーク州会計監査官が6日公表した報告書によると、ニューヨーク証券取引所(NYSE)会員企業のブローカー・ディーラー部門の税引き前利益は2026年上半期に459億ドル(約7兆2500億円)となり、前年同期の304億ドル(約4兆8000億円)から51.3%増えた。すでにニューヨーク市が見込んでいた2026年通期の453億ドル(約7兆1600億円)を上回った。
現在の利益ペースが続けば、通期では900億ドル(約14兆2000億円)を超える可能性がある。2025年の利益は651億ドル(約10兆3000億円)と過去最高だったが、2026年はこれを大幅に更新する可能性がある。インフレ調整後でみても、金融危機後の2009年に記録した高水準を上回るペースとなる。
収益拡大を支える柱の一つが企業の資金調達である。州会計監査官の報告書によると、株式や債券発行を支援する引受業務の収入は2026年上半期に前年同期比68%増加した。
世界の株式発行額は同期間に76.5%増の5690億ドル(約89兆9000億円)となった。6月にはイーロン・マスク氏率いる米宇宙開発企業スペースXが1株135ドルでIPOを実施。当初750億ドル(約11兆9000億円)を調達し、その後、引受会社による追加購入枠の行使で調達額は857億ドル(約13兆5000億円)に拡大した。史上最大のIPOとなり、引受金融機関に巨額の手数料収入をもたらした。
債券市場も活況だった。世界の債券発行は上半期に前年同期比11.3%増加した。AI関連企業はデータセンターや半導体、電力設備などへの巨額投資を賄うため外部資金への依存を強めている。スペースXも10月、エヌビディア製AI半導体の購入などに向け、融資と社債で計400億ドル(約6兆3200億円)の資金調達を検討していることが明らかになった。
M&Aも投資銀行の収益を押し上げた。世界のM&A総額は2026年上半期に2兆8000億ドル(約442兆円)と前年同期比44.2%増えた。第3四半期には借入金利の上昇などを背景に減速したものの、年初から9月末までの取引額は3兆9000億ドル(約616兆円)と前年同期比28%増加した。
市場の大幅な値動きもトレーディング部門の追い風となった。NYSE会員企業の取引収入は上半期に1.8%増の403億ドル(約6兆3700億円)だった。イランを巡る軍事衝突などの地政学的緊張に加え、インフレや金利、世界経済を巡る不透明感が金融市場の変動を大きくしている。市場変動は投資家に損失をもたらすリスクがある一方、顧客の売買やポートフォリオ調整が増えれば金融機関の取引収入を押し上げる。
好調なウォール街はニューヨーク州・市の財政にも大きく影響する。証券業界が2025年度にニューヨーク州にもたらした税収は推計263億ドル(約4兆1600億円)で、州税収全体の20.8%を占めた。ニューヨーク市では2026年度に78億ドル(約1兆2300億円)と、市税収全体の9.2%を占めた。
証券業界の利益拡大は、ゾーラン・マムダニ・ニューヨーク市長の政策を巡り一部の企業経営者から懸念が出る中でも続いている。ただ、州会計監査官は、世界的な紛争や高インフレ、金利上昇、AI関連企業への市場の依存度の高さなどを今後のリスクとして挙げている。
※この記事はInternational Business Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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