アラムコCEO、世界の石油在庫回復に最長2年との見方 ホルムズ海峡の混乱で

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サウジアラムコのアミン・ナーセル社長兼CEOは10月5日、ロンドンのEnergy Intelligence Forumで、ホルムズ海峡の通航が全面的に回復した後も、世界の石油在庫を補充するには最長2年かかる可能性があると述べた。中東での紛争によって供給が減るなか、各国や企業は備蓄を取り崩してきた。
■供給減と在庫の取り崩し
ナーセル氏によると、危機が始まる前の世界の石油在庫は約100億バレルで、その後に失われた原油・石油製品の総供給量は約30億バレルに達する。供給減を補うため、在庫からは10億バレル超が取り崩されたという。供給の減少量と在庫の取り崩し量は、異なる指標である。
同氏は、現在残る商業在庫を60億バレル未満と推計し、その大部分はすぐに市場へ回せる状態にないと説明した。ホルムズ海峡が全面的に再開しても、需要を満たしながら在庫を積み増す必要があるとしている。講演では、供給を支える余力が「恐ろしいほど薄い」と警告した。
国際エネルギー機関(IEA)によると、紛争前には原油と石油製品がホルムズ海峡を1日約2000万バレル通過していた。IEAは、海峡の通航停滞に伴う供給の混乱を過去最大規模と位置付けている。原油の輸出量は回復してきた一方、石油製品の輸送には強い制約が残っている。
■G7の備蓄放出と燃料価格
G7首脳は10月2日、IEAを通じて石油備蓄から計1億バレルを4カ月かけて協調放出する方針を発表した。最初の20日間には軽油を重点的に放出する。IEA加盟国は3月にも過去最大の4億バレルを市場に供給することで合意しており、IEAによると10月2日までに約3億2500万バレルが放出された。
ナーセル氏は、緊急備蓄の放出は当面の供給を支えるものの、長期的な供給不足を解消するには海峡の通航回復などが必要だと述べた。原油だけでなく精製された燃料の需給も逼迫しており、IEAも軽油の供給に強い圧力がかかっていると指摘している。
米エネルギー情報局(EIA)の調査では、米国の道路用軽油の全米平均小売価格は9月21日に1ガロン6.529ドルとなり、同28日には6.382ドルだった。EIAの9月時点の予測は、2027年の平均価格を4.40ドルと見込む。一方、同予測は9月3日までの情報に基づいており、10月のG7の決定やナーセル氏の発言を織り込んでいない。
米政策研究機関American Action Forumは、紛争開始から8月までの軽油価格上昇により、米国の商業輸送部門の直接的な燃料費が約348億ドル増えたと推計した。軽油は貨物輸送や農業機械に使われるため、その価格は輸送費や農業の生産費に関わる。国際通貨基金(IMF)も、エネルギー供給の混乱が長引く厳しいシナリオでは、世界の成長率が2026年と2027年に約2%となり、インフレ率が6%を超えると試算している。
■ホルムズ海峡を迂回する輸出ルート
サウジアラビアの東西パイプラインは、東部の産油地域と紅海沿岸のヤンブーを結ぶ全長約1200キロメートルの輸送路だ。ロイターによると、輸送能力は1日最大700万バレルで、うち約200万バレルは西岸の製油所向け、約500万バレルが輸出向けとなる。ホルムズ海峡を通らずに原油を運べる重要なルートである。
ロイターは7月、サウジアラビアが近隣国と、パイプラインの能力を最大で1日200万バレル増やす予備協議を進めていると報じた。クウェート石油公社のトップも、クウェート産原油を運ぶため、サウジアラビアなどと輸送網の拡張を協議していると述べている。ロイターが取材した関係者によれば、増強には数年と数十億ドルを要する見込みだ。
アラブ首長国連邦(UAE)にも、ホルムズ海峡を迂回してフジャイラへ原油を運ぶ、能力が1日最大180万バレルのパイプラインがある。ロイターによると、輸送能力を倍増させる新たなパイプラインは建設が半分まで進み、2027年の稼働が予定されている。ナーセル氏は今回の会議で、アラムコが追加の輸出ルートや海外での原油貯蔵を検討しているとも説明した。
■産業への影響と今後の見通し
データセンターでは、停電時の電源としてディーゼル発電機が使われる。Uptime Instituteが定めるデータセンターの設備基準では、発電機を必要な負荷で12時間動かせる燃料の確保が最低要件となる。軽油の調達価格や供給状況は、こうした施設の非常用電源の運用にも関わる。
アラムコが公表した2026年第2四半期の純利益は326億9300万ドルで、前年同期の226億7300万ドルから約44%増えた。同社は同四半期の基本配当を219億ドルとすることも発表した。業績が伸びる一方、ナーセル氏は今回、備蓄の減少と輸出経路の確保を世界の供給上の課題として挙げた。
在庫の補充に要する期間は、海峡の通航、産油国の輸出、石油製品の供給がどう回復するかに左右される。EIAの9月時点の見通しでは、中東の原油生産は2027年第2四半期に紛争前の平均水準へ戻り、世界の在庫増加に伴って2027年の原油価格は2026年後半より下がると予測されている。ナーセル氏の発言は、通航回復後も備蓄の積み増しが続くという見通しを示したものだ。
元記事: Aramco CEO: Oil Stocks Are Scarily Thin, Replenishment Takes Two Years
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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