フランス10年国債利回りが約5%に、2027年予算案とECBの対応に注目

2026年10月6日 16:16

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記事提供元:Tech Times

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フランスの10年国債利回りが2026年10月初めに約5%へ上昇し、イタリアやギリシャの同年限の国債を上回った。ルコルニュ政権は2027年予算案で財政赤字の縮小を目指すが、議会での審議はこれからだ。欧州中央銀行(ECB)の国債購入制度を巡っても、発動条件と市場の動向が注目されている。

■フランス国債の利回り、約5%に

フランスの10年国債は10月1日、利回りが一時約5%に迫り、2002年以来の高水準となった。ドイツの10年国債との利回り格差も10月2日には約150ベーシスポイントに拡大した。MUFGリサーチは、ユーロ圏債務危機以来の水準だと分析している。

同じ10年債で比較すると、フランスの利回りはイタリアとギリシャを上回る。かつてユーロ圏国債市場では、フランスがドイツなどとともに借入コストの低い「中核国」と位置付けられ、イタリアやギリシャは「周辺国」と呼ばれてきた。ただし、ギリシャとの利回り逆転は今回の予算案発表より前の9月にも報じられていた。

INGのエコノミストは10月2日、イタリアやギリシャの国債でも対ドイツ利回り格差が広がり、欧州市場に波及の初期兆候が見られると分析した。利回りの上昇にはフランス固有の財政・政治リスクに加え、欧州各国の債券市場に共通する金利環境も関わる。国債価格が下がれば利回りは上がるため、欧州国債を組み入れたファンドの価格にも影響し得る。

為替市場では、ユーロが10月5日に対ドルで17カ月ぶりの安値を付けた。米ドルを使う旅行者には換金時の条件が変わる一方、欧州の資産を保有する投資家は債券価格と為替の両方の変動に直面する。

■2027年予算案と膨らむ利払い

ルコルニュ首相の政権は10月1日、2027年予算案を閣議に提示した。政府は財政赤字を2026年の国内総生産(GDP)比5.4%という見通しから、2027年には5.0%に縮め、2029年にEUの基準である3%へ戻す方針だ。計540億ユーロの財政改善策には、新たな措置430億ユーロと、すでに決まった措置の効果110億ユーロが含まれる。

540億ユーロは、約600億ドル、約9兆4800億円に相当する概算だ。円換算には1ドル=158円を用いた。政府説明によると、財政改善策の約6割は支出面、約4割は歳入面の措置で構成される。

フランス政府の予測では、公的債務のGDP比は2026年の119.3%から2027年には121.7%へ上昇する。政府が見込む公的債務の利払いは2026年が792億ユーロ、2027年が912億ユーロで、増加分は約120億ユーロとなる。利払いが増えれば、ほかの政策に充てられる財源の確保も難しくなる。

独立した財政監視機関の高等財政評議会(HCFP)は、政府の2027年の成長率予測1.0%を「楽観的」と評価した。2026年の成長率見通しは0.5%である。MUFGリサーチは予算案を議会交渉の出発点と位置付け、採決までに内容が変わり得るとみている。

■格付けと議会審議の行方

格付け会社スコープ・レーティングスは9月18日、フランスの長期格付けをAプラスへ引き下げた。同社は財政再建を続けるうえで、政治的分断が障害になると分析している。ムーディーズの格付けは10月6日時点でAa3、見通しは「ネガティブ」で、次の判断予定日は10月23日だ。

ムーディーズは10月2日、2027年予算案が成立する見通しには強い不確実性があると指摘した。歳出や税制を巡る議会交渉は、2027年の大統領選挙を控えて進む。野党「不服従のフランス」のジャン=リュック・メランションは、中央銀行が保有する国債の扱いを変える案も掲げており、債務への対応は政治論争の一つになっている。

フランス国債の保有者には海外投資家も多い。フランス銀行によると、2026年3月末にはフランスの公的部門が発行した債券の55.9%を非居住者が保有していた。MUFGリサーチは、最近の国債入札には十分な需要があり、フランス政府は市場で資金を調達できていると指摘している。

■ECBの国債購入制度はどう判断されるか

2012年7月、当時のECB総裁マリオ・ドラギは、権限の範囲内でユーロを守るために必要なことを行うと表明した。その後に設けられた国債購入制度OMTは発動されなかった。ECBは2022年7月、新たに金融政策の伝達保護手段(TPI)を承認した。

TPIは、国ごとの経済・財政状況では正当化されない無秩序な市場変動が、ユーロ圏での金融政策の伝達を脅かす場合に備える制度だ。購入の対象は主に流通市場で取引される公的部門の債券で、購入額に事前の上限は設けられていない。

ECBが示す適格性の評価項目には、EUの財政枠組みへの対応、深刻なマクロ経済不均衡の有無、債務の持続可能性、経済政策の健全性がある。フランスは現在、EUの過剰財政赤字手続きの対象だ。ECBはこれらの項目を判断材料とし、市場の状況や金融政策への影響も総合的に評価して発動を決める。

対応の見方は分かれる。MUFGリサーチは、フランス国債の利回り格差には財政・政治上のリスクが反映されており、ECBによる直接介入のハードルは高いとみる。一方、エコノミストのロビン・ブルックスは、ECBが最終的に利回りを抑えるため介入すると予測している。INGのカルステン・ブレゼスキは、量的引き締めの停止や償還資金の再投資を先に検討する道筋を示した。

■英国債市場にも緊張

欧州の長期金利上昇は英国でも見られた。英国の30年国債利回りは10月1日、一時6.029%と1998年以来の高水準に達し、10年債利回りも一時5.5%台に上がった。利回りが上がった同日、ナットウエスト、HSBC、バークレイズなど英国の銀行株も下落した。

イングランド銀行は9月時点で、2026年第4四半期の消費者物価上昇率を約3.75%と予測していた。英国債務管理庁が3月に示した2026~27年度の純資金調達必要額は2571億ポンドで、主に国債発行で賄う計画だ。ジョン・ヒーリー財務相は10月28日に予算案を発表する予定で、財政運営と国債供給への市場の反応が焦点となる。

国債取引の拡大は、市場の値動きにも影響する。フランス銀行によると、ヘッジファンドが占めるユーロ圏国債の取引量は2023年に約55%だった。レポ取引による借り入れを使った投資では、価格変動によってポジションの縮小を迫られ、売買が短時間に集中することがある。フランスの予算審議と各国の金利動向は、こうした市場の構造も踏まえて見ていく必要がある。

元記事: France Bond Yields Top Italy and Greece as ECB Crisis Rescue Tool Is Blocked

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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