米アップルの新CEO、ハードウェア部門のEPM職を削減 製品投入時期の見直しも検討

2026年10月3日 09:27

印刷

記事提供元:Tech Times

Photo by Laurenz Heymann on Unsplash

Photo by Laurenz Heymann on Unsplash[写真拡大]

Appleで、ハードウェア製品の開発工程を管理するエンジニアリング・プログラム・マネージャー(EPM)の職が削減されている。Bloombergが9月29日に報じた。9月1日にCEOへ就任したジョン・ターナス氏は、開発組織の階層を減らし、製品をより頻繁に投入する構想を社内で話し合っているという。

■EPM職の削減と開発体制の見直し

Bloombergによると、Appleのハードウェアエンジニアリング部門では、9月後半までの約2週間に複数のEPMが対象となった。約6人のディレクターも含まれ、対象者には数週間以内に社内の別の職を探す機会が与えられた。配置先が決まらなければ、年内に解雇される見通しだという。

EPMは製品の設計やプログラミングそのものよりも、開発日程の管理やチーム間の調整を担う。多くの部品と工程を要する製品では、あるチームの作業の進み具合が別のチームの予定にも影響する。Bloombergは、EPMが数十年にわたりAppleの製品開発を支えてきたと説明している。

ターナス氏が検討するのは、エンジニアと上級幹部の間にある管理階層を減らすことだ。Bloombergによると、同氏はハードウェア部門を率いていたころから、従業員数の増加を示す資料を社内で示し、少ない人数でより多くを成し遂げるべきだと訴えていた。製品開発部門の管理職には、より短い期間で、より頻繁に製品を送り出すことが求められているという。

■新CEOが描く製品投入の形

Appleは2026年9月1日付でターナス氏をCEOに迎え、2011年から同職を務めたティム・クック氏は会長に就いた。Appleの発表によると、ターナス氏は2001年に入社し、iPadやAirPodsの新製品ラインの導入に携わったほか、iPhone、Mac、Apple Watchなどのハードウェア開発を統括してきた。

Bloombergによると、ターナス氏は春と秋に集中しがちな製品発表の時期も見直そうとしている。新製品を年間に分散して投入する案が検討されており、同氏はより多くの製品を速く送り出す、実験的な取り組みを志向しているという。発表時期の変更は、現時点では検討中の構想だ。

製品投入が年間に分散すれば、Appleの発表時期を目安に開発や販売の予定を組むアプリ開発者、通信事業者、小売業者にも影響しうる。製造と販売の準備をどの時期に集中させるかも変わる可能性がある。開発を速める構想は、社内だけでなく、製品を届けるまでの調整の仕方にも関わる。

■CEO交代前から続く人員削減

組織の見直しは、ターナス氏のCEO就任前にも進んでいた。Bloombergの報道を伝えた9to5Macによると、Appleは8月、Apple Vision Pro、Siri、ソフトウェア開発に関わるチームで計200人超の職を削減した。このうち約100人はVision Pro関連の部門で、ゲームを担当するチームを大幅に縮小し、イマーシブビデオの制作部門も縮小したという。

Bloombergは、イマーシブビデオの制作費が1作品当たり数百万ドルに達する場合があると報じている。残る削減はSiriやAI関連のソフトウェア開発にも及んだ。Appleは8月の人員配置の変更について、新たな職も設ける一方、一部の既存職に影響が出ると説明し、対象者が社内の別の職に応募する機会を含めて支援すると述べた。

Bloombergの9月1日の続報によると、Vision Pro関連の削減は、デバイスのセキュリティー、音響、Siriとの連携、テスト、基本ソフト「visionOS」の担当者にも及んだ。カリフォルニア州への届け出を基にNBC Bay Areaなどが報じたところでは、クパティーノで79人、サニーベールの2拠点で計68人、合わせて147人の雇用終了が10月19日に予定されている。この147人は、8月に報じられた全社の削減人数とは集計範囲が異なる。

9月には、Apple Fitness+で音声コンテンツを担当する少数の従業員も削減の対象になったとBloombergが報じた。対象には、日本でも提供される「ウォーキングの時間」や「ランニングの時間」に関わる担当者が含まれるという。

■AppleCareの案とサービス事業

Bloombergによると、Appleは夏の間、AppleCareの顧客サポート職約5000人を削減する案を検討した。電話やウェブでの業務の一部をAIエージェントが担えるとの見方があったが、この案は棚上げされ、9月29日時点では進められていないという。

同じ報道では、ターナス氏がサービス部門責任者のエディ・キュー氏、最高財務責任者のケバン・パレク氏と、既存サービスの収入拡大や新サービスについて話し合っている。具体的な新サービスは明らかにされていない。Bloombergは、一部の従業員が2026年末から2027年初めにかけて追加の人員削減を予想しているとも伝えた。

Appleの開示資料によると、App StoreやApple Music、iCloudなどを含むサービス部門の2025会計年度の売上高は1091億5800万ドルで、初めて年間1000億ドルを超えた。1ドル=158円で換算すると約17兆2470億円となる。同年度末の全社の従業員数は、フルタイム換算で約16万6000人だった。

■Vision Proと次の機器

Vision Proとスマートグラスの開発を率いていたポール・ミード氏は、6月にOpenAIのハードウェア部門へ移ったとBloombergが報じた。同社の報道を伝えたMacRumorsによると、ターナス氏はVision Proの大きさと価格を理由に、幅広い消費者への普及に懐疑的だったという。

一方、Bloombergによると、Appleは従業員にVision ProとvisionOSの開発を続ける方針を伝えている。コードネーム「N50」のスマートグラスは2027年の投入を目指していると報じられ、次のVision Proとされる「N224」は2028年末より前の登場を見込んでいないという。いずれも報道に基づく開発計画である。

■テック業界の人員削減との比較

調査会社Crunchbaseの集計では、米国のテック企業が2026年1~8月に削減した職は少なくとも9万4046人で、前年同期の8万486人を16.8%上回った。同社が紹介した人員削減データベース「Layoffs.fyi」の集計では、2026年にAIが要因として挙げられた削減事例は33%で、2024年の1%から増えた。

Appleについて確認できる削減人数には、全社規模の報道値、地域を限定した届け出、人数が公表されていない職の削減が混在する。今回のEPM職の削減は、開発の速度と組織の規模をめぐるターナス氏の構想を示す動きだ。今後は、製品投入の時期と開発組織の運営に、その構想がどう反映されるかが焦点となる。

元記事: Apple’s New CEO Fired Managers Who Kept Hardware Products on Schedule; He Wants More, Faster

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

関連キーワード