SpaceX、Falcon通算700回目の打ち上げ SES「O3b mPOWER」全13機が軌道上に

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SESが展開する中軌道(MEO)衛星通信システム「O3b mPOWER」の全13機が軌道上にそろった。SpaceXは米国時間9月13日、最後の3機をFalcon 9で打ち上げた。今回の飛行はFalcon 9とFalcon Heavyを合わせて通算700回目の打ち上げでもあった。
新たに打ち上げられたF11、F12、F13は、軌道上昇と試験を経て2027年半ばまでに運用を開始する予定だ。すでに運用中の10機に加わることで、企業、政府機関、通信事業者、航空・海運分野などに向けた容量と柔軟性が拡大する。
■最後の3機を打ち上げ、13機すべてが軌道上に
Falcon 9は9月13日午後2時49分(米東部夏時間、日本時間14日午前3時49分)、米フロリダ州のケープカナベラル宇宙軍基地にあるSpace Launch Complex 40から打ち上げられた。搭載していたのは、Boeingが製造したO3b mPOWERの11号機から13号機に当たるF11、F12、F13である。
3機は打ち上げ後、順次ロケットから分離された。これにより、SESが初期コンステレーションとして計画する13機すべての軌道投入が完了した。
ただし、最後の3機はまだ通信サービスに使われていない。各機は電気推進によって地上約8,000kmの運用軌道へ移動し、機器の点検やネットワークへの統合作業を終える必要がある。SESは、3機が2027年半ばまでに運用を開始するとの見通しを示している。
SESのCEOであるAdel Al-Salehは、今回の打ち上げをO3b mPOWER計画の重要な節目と位置付けた。同社は新たな衛星によって、政府、企業、クラウド、モビリティー分野の顧客に提供する通信容量、耐障害性、柔軟性を強化するとしている。
■地上約8,000kmから低遅延通信を提供
O3b mPOWERは、静止軌道より地球に近い中軌道を利用する衛星通信システムである。運用高度は地上約8,000kmで、地上約35,786kmの静止軌道と、数百kmから2,000km程度の低軌道との中間に位置する。
衛星通信の遅延は、衛星までの距離だけでなく、地上ネットワークの経路や設備構成にも左右される。SESはO3b mPOWERについて、広い地域で約150ミリ秒の予測可能な衛星通信遅延を提供すると説明している。静止衛星を利用する通信と比べて信号の伝搬距離が短く、クラウドサービスやビデオ会議など、遅延の影響を受けやすい用途にも対応しやすい。
低軌道の巨大コンステレーションが多数の衛星を使って広域をカバーするのに対し、MEOは1機から見渡せる範囲が広い。SESによると、O3b mPOWERは世界人口の約96%をカバーする設計で、通信容量を必要な地域や顧客へ柔軟に割り当てられる。
主な対象は、通信事業者、企業、政府機関、クルーズ船、商用船舶、航空会社などである。一般家庭向けのインターネット接続を主眼とするサービスではなく、スループット、遅延、可用性などのサービス水準を重視する顧客向けに、管理された通信サービスを提供する。
■ソフトウェアで通信容量を動的に配分
O3b mPOWER衛星は、Boeingの702X衛星プラットフォームとソフトウェア定義ペイロードを採用している。電子的に制御するアンテナとデジタル処理技術を使い、通信ビームの向き、出力、帯域幅などを需要に応じて変更できることが特徴だ。
従来の固定的なカバー範囲に容量を割り当てる方式とは異なり、利用状況に合わせて通信資源を再配分できる。航空路や航路、遠隔地の通信拠点など、時間とともに需要の場所や規模が変わる用途に適した構成となっている。
SESはO3b mPOWERについて、1拠点当たり数十Mbpsから複数Gbpsまでのサービスを提供でき、システム全体ではテラビット級の容量を持つと説明している。実際の通信速度や保証内容は、契約、利用場所、端末、ネットワーク構成などによって異なる。
地上側では、ネットワーク管理ソフトウェアが衛星と地上設備の通信資源を制御する。帯域や経路を需要に合わせて調整することで、限られた衛星資源を必要な場所へ振り向ける仕組みだ。このソフトウェア中心の構造が、O3b mPOWERの柔軟なサービス設計を支えている。
■初期4機の電力問題を受けて設計を変更
SESは2017年、O3b mPOWER衛星7機をBoeingに発注した。2020年には4機を追加し、計画は11機へ拡大された。
その後、最初に打ち上げた4機の電力モジュールで、断続的な停止を引き起こす問題が確認された。SESは、この問題によって初期衛星の利用可能な通信容量と想定運用期間が影響を受けるとの見通しを明らかにした。
SESとBoeingは対応策として、7号機から11号機のペイロード電力モジュールを改良した。改良型を搭載する7号機と8号機は2025年6月にサービス提供の準備を整え、その後も後続機の運用が進められた。
さらにSESはF12とF13を追加発注し、初期コンステレーションを13機体制とした。この追加によって、初期衛星の性能低下を補うとともに、ネットワーク全体の容量、柔軟性、耐障害性を強化する計画である。
当初の7機契約から13機へ増えたのは、2020年の事業拡大と、初期衛星で確認された問題への対応という複数段階の決定によるものだ。今回の打ち上げによって、その13機すべてが軌道上に配置された。
■Falcon 9とFalcon Heavyで通算700回
今回のミッションは、Falcon 9とFalcon Heavyを合わせて通算700回目の打ち上げとなった。内訳はFalcon 9が687回、Falcon Heavyが13回である。
SpaceXのFalcon系列は、小型ロケットFalcon 1から始まった。Falcon 1は2006年から2009年までに5回打ち上げられ、最初の3回は失敗したものの、4回目と5回目は軌道投入に成功した。Falcon 9とFalcon Heavyの通算700回には、このFalcon 1の5回は含まれていない。
今回使用されたFalcon 9の第1段ブースターB1080は29回目の飛行だった。過去には有人宇宙飛行のAx-2とAx-3、欧州宇宙機関の宇宙望遠鏡Euclid、国際宇宙ステーションへの物資補給ミッション、SESの通信衛星ASTRA 1P、複数のStarlink打ち上げなどに使われている。
B1080は打ち上げから約9分後、大西洋上のドローン船「A Shortfall of Gravitas」への着陸に成功した。
■2027年半ばまでに通信容量を拡大
O3b mPOWERは、最初の6機を使って2024年4月に世界規模の商用サービスを開始した。その後、追加衛星の運用開始に合わせて提供能力を拡大してきた。
7号機と8号機は2025年6月にサービス提供の準備を整え、9号機と10号機も2026年に運用へ加わった。今回打ち上げられた3機が稼働するまでは、既存の10機が通信サービスを担う。
SESは、O3b mPOWERを企業、政府、通信、航空、海運などの顧客に向けたMEO通信基盤として展開している。地上回線を整備しにくい地域の通信や、船舶・航空機の移動体通信、携帯電話基地局のバックホール、政府機関の通信などが主な利用分野となる。
SESは、衛星の追加によって2027年には利用可能な通信容量が約3倍になるとしている。F11、F12、F13が軌道上昇と試験を終えれば、13機体制による容量と耐障害性を生かしたサービス展開が本格化する。
元記事: SpaceX Completes SES O3b mPOWER Constellation on Falcon’s 700th Mission
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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