米CIA副長官、中国のAI・半導体企業も情報収集対象と発言―中国は反スパイ法による対抗を示唆

2026年9月13日 16:32

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記事提供元:Tech Times

Photo by Nik Shuliahin ???????? on Unsplash

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米中央情報局(CIA)のマイケル・エリス副長官は9月8日、中国との競争が軍事・政治分野だけでなく経済や先端技術にも及ぶなか、中国企業も情報収集の対象になり得るとの認識を公に示した。中国商務省は11日、発言に強く反発し、反スパイ法などに基づいて必要な措置を取る意向を表明した。

中国当局が直ちに米企業への新たな法執行を発表したわけではないが、中国で調査、分析、デューデリジェンスなどを行う外国企業にとって、情報収集活動をめぐる法的リスクが改めて注目される。9月24日に予定される米中首脳会談を前に、AIや半導体をめぐる競争へ情報機関を介した対立が重なった形だ。

■CIA副長官が中国企業への情報収集に言及

エリス副長官は、ワシントンで開催されたBillington Cybersecurity Summitで、中国との「軍事と経済の両面にまたがる競争」に対応するには、安全保障上の経済的側面に関する外国情報も収集する必要があるとの考えを示した。

エリス副長官は、中国では米国や欧州の多くの国にみられるような独立した企業社会が存在しないとの見方を示し、AI、半導体、バイオテクノロジーなどの中国企業が情報活動の正当な対象になり得ると述べた。価値ある技術情報は、従来の政治・軍事情報と同じ場所や経路では得られず、中国で民間部門に最も近い企業などに存在すると説明した。

一方、同じ会議を報じたFederal News Networkは、エリス副長官が中国との「デュアルユース技術競争」に対応するため、経済安全保障に関係する外国情報を収集する必要性を訴えたと伝えている。同副長官は、半導体やバイオテクノロジーに関する情報は従来の政治・軍事情報とは異なる場所にあるため、異なる種類の情報収集対象と人材が必要になると述べた。

今回の発言が注目される理由は、CIAが外国の経済や技術に関する情報を収集すること自体よりも、現職高官が中国の商業企業を含む情報収集の範囲を公の場で説明した点にある。米政府は従来、国家安全保障や外交政策を目的とする情報活動と、米企業に競争上の利益を与えるための経済スパイ活動とを区別する立場を示してきた。

エリス副長官も、特定の中国企業名や進行中の作戦、収集した情報を米企業へ提供する方針を明らかにしたわけではない。発言は、経済安全保障や先端技術をCIAの情報収集任務にどう位置付けるかを示したものといえる。

■中国商務省は反スパイ法による措置を警告

中国商務省は9月11日、エリス副長官の発言について「重大な懸念」と「断固たる反対」を表明した。中国企業を情報活動の正当な対象とする米国の姿勢は、情報機関による秘密の窃取を隠していた「覆い」を取り払い、覇権的な論理を露呈させたものだと非難した。

商務省は、経済競争は技術、人材、イノベーションによって優位性を争う通常の商業活動であり、米国が国家安全保障の概念を拡大して経済競争を脅威と位置付けていると主張した。米情報機関による介入は、各国企業の事業予測を損ない、公正な競争環境を破壊するとも批判した。

同省は米国に対し、中国企業を含む中国への情報活動を直ちに停止するよう要求した。そのうえで、中国には断固とした意思と多様な手段があり、反スパイ法などの法令に基づいて必要な措置を取り、違法・犯罪行為を処罰すると表明した。

ただし、この声明は特定の米企業に対する調査、制裁、事業制限を発表したものではない。中国が今後、どのような行為を対象に、どの法律を使って措置を講じるかは明らかになっていない。

■2023年改正で広がった反スパイ法の対象

中国の反スパイ法は2014年に制定され、2023年4月に改正された。改正法は同年7月1日に施行され、スパイ行為の対象を国家機密や情報に限らず、国家の安全と利益に関係する文書、データ、資料、物品の窃取、探索、購入、不法提供などへ拡大した。

「国家の安全と利益」に関係する情報の範囲が法律上明確に定義されていないため、外国企業、研究者、報道関係者などに法的な不確実性をもたらすとの指摘がある。一方、中国国家安全省は、改正規定が対象とするのは違法行為であり、中国法を守って通常のサービスを提供する企業の活動ではないと説明している。

改正法は、反スパイ調査における国家安全機関の権限も定めている。当局は法定の手続きに基づき、関係者への事情聴取、電子機器や施設の検査、文書やデータの閲覧・取得、財産情報の照会、出国制限などの措置を取ることができる。また、すべての組織と国民に対し、反スパイ活動への支持と協力を求めている。

2023年には、企業調査を手がける米Mintz Groupの北京事務所や、米コンサルティング大手Bain & Companyの上海事務所が中国当局の調査を受けた。個々の措置の法的根拠や事情は同一ではないが、外国企業のデューデリジェンス、市場調査、専門家への聞き取りなどが中国の国家安全保障制度と接触する可能性を示す事例となった。

■サプライチェーン調査など別の法制度も整備

中国は反スパイ法のほかにも、外国の制裁や輸出規制、域外適用に対抗する複数の制度を整備している。

2026年3月31日に施行された国務院令第834号「産業・サプライチェーン安全に関する国務院規定」は、重要分野のサプライチェーンについてリスク監視や調査、緊急対応を行う枠組みを定めた。中国国内で法令に違反してサプライチェーンに関する調査や情報収集を行った組織・個人に対し、関係当局が措置を講じることも規定している。

外国の組織や個人が中国の企業などとの通常の取引を中断したり、差別的な措置を取ったりして、中国のサプライチェーンに実質的な損害やその恐れを生じさせた場合、当局は調査を実施できる。調査結果に応じて、輸出入、投資、中国国内の組織・個人との取引や協力などを制限する制度も盛り込まれた。

同年4月7日に施行された国務院令第835号「外国の不当な域外管轄に対抗する条例」は、外国の法律や措置が中国に不当に域外適用されたと当局が認定した場合、中国国内の組織や個人による実施や支援を禁止できる仕組みを設けた。外国の措置の実施を推進または支援した外国組織・個人を「悪意ある主体リスト」に指定し、資産の凍結、取引、投資、輸出入、入国などを制限することも可能である。

これらは反外国制裁法や信頼できない企業リスト制度などと並行して運用される。外国の輸出規制や制裁を順守するために中国企業との取引を停止する行為が、中国側の別の法制度に抵触する可能性もあり、多国籍企業は米中双方の規制に対応しなければならない状況に置かれている。

■新たな情報活動か、従来方針の公然化か

エリス副長官の発言だけから、CIAが全く新しい情報収集活動を開始したと判断することはできない。米情報機関は以前から、国家安全保障や外交政策に関係する外国の経済・技術情報を収集してきた。

今回の特徴は、中国との競争を軍事、政治、外交だけでなく経済や先端技術を含むものと位置付け、中国企業も情報収集対象になり得るとの考えをCIA高官が公に説明したことにある。

この説明は、中国企業を国家から独立した通常の民間主体としてどこまで扱うべきかという問題も提起する。中国企業には共産党組織の設置や国家の情報活動への協力を求める法制度が存在するが、企業ごとの所有、経営、政府との関係は一様ではない。中国企業全体を国家機関と実質的に同一視する議論は、個々の企業の違いを捨象する危険も伴う。

同時に、政府機関との契約、研究資金、情報提供を求める法的手続きなどを通じ、先端技術企業と国家安全保障機構が結び付く構造は米国にも存在する。経済安全保障を理由に外国の商業企業を情報収集対象として明示する姿勢が広がれば、各国が相手国の技術企業を国家安全保障上の対象として扱う動きを正当化し合う可能性がある。

■米中首脳会談を前に対立が表面化

ドナルド・トランプ米大統領は、中国の習近平国家主席が9月24日に米国を訪問し、AIについて協議すると明らかにしている。両首脳は2026年5月に北京で会談しており、今回の訪米はそれに続く首脳外交となる予定だ。

AI、半導体、貿易、台湾などをめぐって米中間に複数の争点があるなか、CIA高官の発言と中国商務省の反発は、先端技術企業を対象とする情報活動も二国間関係の摩擦要因になっていることを示した。

中国で事業を展開する外国企業にとって、当面の注視点は、中国政府が今回の声明を具体的な法執行へ結び付けるかどうかである。中国商務省は反スパイ法などによる措置の可能性を示したものの、対象企業、対象行為、実施時期は明らかにしていない。

今後、反スパイ法を根拠とする外国企業への調査や、スパイ活動への関与を理由とする制裁指定が行われれば、今回の対立が企業活動へ直接波及した兆候となる。現時点では、情報収集や調査を伴う業務について、収集する情報の内容、取得方法、保存場所、国外移転、委託先との関係を確認し、中国の反スパイ法、データ関連法、サプライチェーン規制との接点を個別に評価することが重要になる。

元記事: CIA Names Chinese AI, Chip Firms as Spy Targets; China Threatens US Companies with Espionage Law

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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