【焦点】中国CXMTがHBM3Eを少量生産か、Alibaba傘下などが採用試験と報道

2026年9月2日 23:24

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記事提供元:Tech Times

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中国のDRAMメーカー、長鑫存儲技術(CXMT)が広帯域メモリ「HBM3E」を少量生産し、Alibaba Group傘下の半導体設計部門T-Headと、中国のAI半導体メーカーCambricon Technologiesが採用に向けた試験を進めていると報じられた。

試験が順調に進めば、両社は早ければ2027年にCXMT製HBM3Eを自社のAIプロセッサーへ採用する可能性がある。CXMT、T-Head、Cambriconは試験について公式に発表しておらず、HBM3Eの仕様、歩留まり、生産量、採用時期も明らかになっていない。現段階は商用供給の開始ではなく、顧客候補が実際のプロセッサーと組み合わせて採用可能性を評価する工程に当たる。

■中国製HBM3Eが採用試験の段階へ

今回の報道で重要なのは、CXMTのHBM開発がロードマップ上の計画から、顧客側のプロセッサーを使った採用試験の段階へ進んだとされる点だ。

HBMは、複数のDRAMダイを垂直に積み重ね、シリコン貫通電極(TSV)で接続するメモリである。広いインターフェースを通じて大量のデータを並列に転送できるため、GPUやAIアクセラレーターの演算器へデータを供給する役割を担う。

HBM3Eは1,024ビット幅のインターフェースを備え、製品によってはピン当たり最大9.6Gbps、スタック当たり毎秒1.2TBを超える帯域幅に達する。もっとも、CXMT製品の転送速度、容量、積層数、消費電力は公表されておらず、他社製HBM3Eと同じ性能を備えているかは分かっていない。

HBMの製品化には、DRAMダイの製造だけでなく、積層、接合、パッケージング、熱管理、電気的な接続の信頼性確保が必要になる。複数のダイを組み合わせるため、一部に欠陥があればスタック全体の不良につながり、量産時の歩留まりとコストが大きな課題となる。

少量生産されたチップを顧客が評価しているとの報道が正しければ、CXMTは動作可能なHBM3Eを一定数製造する段階まで進んだことになる。一方、採用試験の通過や供給契約の成立を示す公式発表はなく、安定した量産へ移行できるかは今後の検証にかかっている。

■T-HeadとCambriconが試験する意味

T-HeadはAlibaba Groupの半導体設計部門で、CambriconはAI向けプロセッサーを開発する中国企業である。両社がCXMT製HBM3Eを評価しているとの情報は、中国製AIアクセラレーターが国内製メモリを組み合わせる可能性を示している。

米商務省産業安全保障局は2024年12月、一定の性能基準に該当するHBMを輸出管理の対象に加えた。規制は中国だけを名指ししたHBM禁輸ではなく、対象地域や用途、製品性能などに応じて許可要件を設ける仕組みだが、中国企業による高性能HBMの調達に大きく影響する。

AIプロセッサーを国内で設計できても、必要な容量と帯域幅を持つHBMを確保できなければ、製品の生産量や性能は制約を受ける。CXMT製HBM3Eが顧客認定を取得して安定供給へ進めば、中国のAI半導体メーカーにとって新たな国内調達先となる可能性がある。

もっとも、HBMはプロセッサーごとに接続、電力、熱、信頼性などを評価する必要がある。試験中という段階は、採用を決定したことや、量産に必要な供給能力が確立したことを意味しない。2027年の製品搭載は、採用試験と量産準備が予定通り進むことを前提とする見通しである。

■HBM4へ進む大手メーカーとの世代差

HBM市場を先行するSamsung Electronics、SK hynix、Micron Technologyは、すでに次世代のHBM4へ移行している。

Samsungは2026年2月、HBM4の量産開始と顧客向け商用出荷を発表した。同社発表によると、HBM4はピン当たり11.7Gbpsで動作し、最大13Gbpsまで高められる。インターフェース幅はHBM3Eの1,024ビットから2,048ビットへ拡大され、スタック当たりの帯域幅は最大3.3TB/sとしている。

SK hynixも2025年9月までにHBM4の開発を完了し、量産体制を整えたと発表している。同社によると、HBM4は2,048本の入出力端子を採用し、前世代に比べて帯域幅を2倍、電力効率を40%以上改善したという。

CXMTが生産しているとされるHBM3EはHBM4の一つ前の世代に当たる。ただし、世代名だけで製品の実用性が失われるわけではない。HBM3Eは引き続きAIアクセラレーターに使われており、中国製プロセッサーの要件に合う容量、帯域幅、信頼性、供給量を確保できるかが採用判断の中心となる。

現時点ではCXMT製HBM3Eの詳細な仕様が公開されていないため、Samsung、SK hynix、Micronの製品と性能や歩留まりを直接比較できる材料はない。CXMTと先行メーカーとの差は、製品世代に加え、量産規模、製造装置、プロセスの成熟度、パッケージング能力、顧客認定の実績にも表れる。

■輸出管理下でも進む国内開発

米国は2022年10月以降、中国が先端半導体やその製造装置を調達する能力を制限する輸出管理を段階的に導入してきた。2024年12月の規則では、HBMに加えて24種類の半導体製造装置と3種類のソフトウェアツールが新たに管理対象となった。

今回の少量生産が事実であれば、輸出管理が続くなかでもCXMTがHBM3Eの試作と顧客評価に進んだことになる。一方、その事実だけから、規制が失敗した、あるいは中国と先行メーカーの技術差が解消したと結論づけることはできない。

輸出管理には、対象製品や製造装置へのアクセスを制限し、中国の先端半導体開発を難しくする狙いがある。その効果は、製品を一度試作できたかだけでなく、競争力のある性能、歩留まり、コスト、生産量を継続的に確保できるかによって評価する必要がある。

CXMTがどの製造装置や工程を使ってHBM3Eを生産したかについても、公式な説明はない。DRAMダイの微細加工と、TSVを使った積層・パッケージングは異なる技術領域であり、最先端の露光装置を保有していないことだけでHBMの製造可否が決まるわけではない。複数回の露光や工程の工夫によって製造することは可能だが、工程数、コスト、歩留まりの面で不利になる可能性がある。

■上場で得た資金と量産化の課題

CXMTは2026年7月、上海証券取引所の科創板へ上場し、約579億人民元を調達した。1ドル=160円で換算すると約1兆3680億円に相当する。公表された資金使途には、生産ラインの改良、DRAM技術の高度化、次世代DRAMの研究開発が含まれている。

同社の2026年上半期の売上高は前年同期比873.64%増の1503億人民元、純利益は776億人民元となった。前年の赤字から黒字へ転換しており、CXMTはDRAM製品の価格上昇と販売拡大を業績の背景としている。

一方、公表された資金使途にはHBM専用の増産計画は明記されていない。DRAM技術や生産ラインへの投資にHBM関連の開発が含まれる可能性はあるものの、HBM3Eの生産能力や量産投資額は確認できない。

HBMの供給を本格化するには、良品率を高めるだけでなく、複数のDRAMダイを使用するための前工程の能力、積層と接合を担う後工程、顧客ごとの品質保証体制を拡大する必要がある。少量生産から商用供給への移行は、一部の動作品を製造することとは別の課題となる。

■焦点は顧客認定と安定供給

CXMT製HBM3Eを巡って今後確認すべき点は、T-HeadとCambriconによる採用試験の結果、製品仕様、歩留まり、生産量、商用供給の開始時期である。

採用試験を通過すれば、中国のAI半導体メーカーは、自社のプロセッサーと組み合わせられる国内製HBMの調達に向けて一歩前進する。ただし、必要な数量を継続的に供給できなければ、AIデータセンター向け製品の量産を支えるサプライチェーンにはならない。

今回の報道は、中国のHBM開発が顧客評価の入口まで進んだ可能性を示した。2027年に製品搭載へ進めるかは、CXMTが採用試験を通過し、性能と信頼性を維持しながら生産規模を拡大できるかに左右される。

元記事: CXMT Ships HBM3E AI Memory to Alibaba and Cambricon: US Export Controls Failed to Stop It

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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