【分析】クラウド設備投資の68%がメモリに、NVIDIAのAIサーバーも15%超値上げか

2026年8月28日 13:52

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記事提供元:Tech Times

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AIインフラへの投資拡大とメモリ価格の上昇が、クラウド事業者の設備投資構造を大きく変えようとしている。調査会社TrendForceは、主要クラウドサービスプロバイダーの設備投資に占めるDRAMとNANDフラッシュの比率が、2026年の47%から2027年には68%へ上昇すると予測した。

こうしたなか、NVIDIA製AIチップを搭載する一部のサーバーについて、2027年初めの出荷分から15%を超える値上げが予定されているとBloombergが報じた。NVIDIAは具体的な値上げ幅を公表しておらず、ロイターも報道内容を独自には確認できなかったとしている。

■メモリがクラウド設備投資の68%を占める見通し

TrendForceが2026年8月25日に発表した調査によると、主要クラウドサービスプロバイダーの設備投資に占めるDRAMとNANDフラッシュの合計比率は、2026年の47%から2027年には68%へ上昇する見通しだ。

背景には、メモリ契約価格の上昇と、クラウド事業者によるメモリ調達量の拡大がある。サーバー向けDRAMの契約価格は2025年後半に累計64%上昇し、TrendForceは2026年通年では約270%上昇すると予測している。エンタープライズSSDの価格も2025年後半に約35%上昇し、2026年には累計235%上昇するとの見通しを示した。

2026年第2四半期以降に締結された一部の長期供給契約には、追加の値上げを抑える上限価格が盛り込まれている。しかしTrendForceは、HBMの契約価格が2027年にも70%から140%上昇する可能性があり、メモリ価格全体も高水準を維持するとみている。

■HBMとサーバー向けDRAMへの生産シフト

供給構造の変化を促しているのが、AIアクセラレーターで使われる広帯域メモリのHBMである。HBMは複数のDRAMダイを垂直方向に積層し、TSVと呼ばれる貫通電極などを使って接続する。プロセッサの近くに配置することで、大量のデータを高速にやり取りできる。

生成AIの学習や推論では、演算装置とメモリの間で膨大なデータを転送する必要がある。このため、帯域幅の広いHBMはAIアクセラレーターの性能を支える重要な部品となっている。

一方、HBMは一般的なDRAMより製造工程が複雑で、積層や先端パッケージングにも生産能力を必要とする。メモリメーカーが採算性と需要の高いHBMやサーバー向け製品を優先すれば、PCやスマートフォンなどに使われるメモリへの供給配分にも影響が及ぶ。

TrendForceは、HBMとサーバー用のRDIMMを合わせた供給量が、2026年にはDRAMの総ビット供給量の51%を占めると推計している。メモリ生産の過半が、AIアクセラレーターやサーバー向けに振り向けられる構図だ。

■NAND大手5社の売上高は77%増

価格上昇はメモリメーカーの売上高にも表れている。TrendForceによると、上場するNANDフラッシュ大手5ブランドの2026年第2四半期の合計売上高は、前四半期比77%増の688億7,000万ドル、1ドル159円換算で約10兆9,500億円となった。

TrendForceは、AIサーバー向けを中心としたエンタープライズSSDの需要に対して供給が不足し、メーカーが契約交渉を通じて平均販売価格を大幅に引き上げたことを増収の主因に挙げている。

首位のサムスン電子は前四半期比70.7%増の約230億6,000万ドル、SKハイニックスとSolidigmを合わせたグループは89.5%増の142億7,000万ドル超となった。マイクロン・テクノロジーは99.2%増の118億5,000万ドルで3位に浮上した。

キオクシアは79.9%増の約107億2,000万ドルで4位、サンディスクは50.7%増の約89億7,000万ドルで5位だった。サンディスクはビット出荷量を比較的抑制したことから、5社のなかでは増収率が最も低かった。

■NVIDIA搭載サーバーに15%超の値上げ報道

Bloombergは2026年8月22日、NVIDIA製AIチップを搭載するサーバーについて、大口顧客の一部が、多くの構成で15%を超える値上げ予定を通知されたと報じた。対象にはVera RubinやGrace Blackwellを採用するシステムが含まれ、改定後の価格は2027年初めに出荷する製品から適用される見通しだという。

値上げ幅は一律ではなく、NVIDIAのチップ世代やサーバーのメモリ構成によって異なるとされる。マイクロソフト、Google、オラクルなどの大規模データセンター事業者向けにサーバーを製造する企業が、顧客への通知を始めたとも報じられている。

この情報は非公開の価格交渉を知る関係者に基づくもので、NVIDIAは具体的な価格改定を公式には発表していない。ロイターもBloombergの報道を直ちには独自確認できなかったとしている。このため、現時点では全製品や全顧客を対象とする一律の値上げとみなすことはできない。

TrendForceは、HBMをはじめとするメモリ価格の上昇が、NVIDIAなどのAIチップ供給企業やサーバーメーカーにとって製品価格を引き上げる要因になると分析している。クラウド事業者が予定するAIチップの調達量を維持するには、設備投資をさらに増やす必要が生じる可能性がある。

■Vera Rubinは1基当たり288GBのHBM4を搭載

NVIDIAのRubin GPUは、1基当たり最大288GBのHBM4を搭載し、最大毎秒22TBのメモリ帯域幅を備える。同社のラックスケールシステム「Vera Rubin NVL72」は、72基のRubin GPUと36基のVera CPUを統合する。

単純計算では、72基のGPUに搭載されるHBM4の総容量は約20.7TBになる。AIサーバーではGPUだけでなく、HBM、サーバー向けDRAM、ストレージ、ネットワーク機器、冷却設備などがシステム全体のコストを構成する。このため、複数種類のメモリ価格が同時に上昇すれば、完成サーバーやラックシステムの価格にも影響が広がる。

HBM4の実際の調達価格やNVIDIA製システムの部品別原価は公開されていない。メモリ容量だけから、ラック価格に占めるHBMの正確な金額や比率を算出することはできないが、次世代AIシステムで大容量のHBMが必要となることは、メモリ価格上昇の影響を受けやすい構造を示している。

■クラウド各社は独自ASICも拡大

クラウド事業者が取り得る対応の一つは、設備投資を増やしてAIサーバーの調達量を維持することだ。もう一つは、用途に応じてメモリ構成やアクセラレーターの設計を見直し、システム当たりのメモリ容量とコストを抑えることである。

TrendForceは、クラウド事業者がRDIMMの構成を調整したり、将来のAIチップに搭載するHBM容量を見直したりする可能性を挙げている。また、特定用途向け集積回路である独自ASICの開発も、システム構成を最適化する手段になると分析している。

Googleの第7世代TPU「Ironwood」は、チップ当たり192GBのHBMと毎秒約7.37TBのメモリ帯域幅を備え、大規模なAI学習と推論に対応する。AWSのTrainium3はチップ当たり144GBのデバイスメモリと毎秒4.9TBの帯域幅を備え、学習と推論の両方を対象としている。

独自ASICを採用すれば、必ずGPUより少ないメモリで同じ処理を実行できるわけではない。必要なメモリ容量は、モデルの規模、精度、処理方式、バッチサイズ、コンテキスト長などによって変わる。それでも、ハードウェア、ソフトウェア、モデルの実行方式を一体で設計できることは、特定の処理に対するコストや電力効率を調整する余地につながる。

NVIDIA製GPUから独自ASICへの全面的な移行というより、用途ごとに複数のアクセラレーターを使い分ける動きが進むと考えられる。メモリ価格が高止まりすれば、クラウド各社にとって、演算性能だけでなく必要なメモリ容量を含めたシステム全体の費用対効果が一段と重要になる。

■2027年は供給増でも価格高止まりか

TrendForceは、製造プロセスの移行と新工場の生産拡大により、2027年のサーバー向けDRAMとHBMの合計ビット供給量が27%増えると予測している。供給の拡大は主に2027年後半に進む見通しだ。

それでも同社は、メモリ契約価格が2027年を通じておおむね高い水準にとどまるとみている。設備投資に占めるメモリの比率が68%に達するとの予測は、価格上昇だけでなく、クラウド事業者による調達量の増加も含んでいる。

NANDフラッシュについては、製造プロセスの移行による供給増や民生機器向け需要の弱さを背景に、2027年後半には需給の逼迫が緩和するとの予測もある。ただし、DRAM、HBM、NANDフラッシュではそれぞれ需給構造が異なるため、すべてのメモリ価格が同じ時期に下落へ転じるとは限らない。

企業が2027年のAIインフラ予算を策定する際には、サーバー本体の価格だけでなく、搭載するHBMやDRAMの容量、ストレージ構成、利用するアクセラレーターの種類を含めて比較する必要がある。メモリはAIシステムの性能を支える部品であると同時に、調達量と設備投資を左右する主要なコスト要因になっている。

■注目ポイントQ&A

●なぜクラウド事業者の設備投資に占めるメモリの比率が68%まで上昇するのですか?

メモリ契約価格の上昇に加え、AIサーバーの増設によってHBM、サーバー向けDRAM、エンタープライズSSDの調達量も増えているためです。68%はTrendForceによる2027年の予測値であり、確定した支出比率ではありません。

●NVIDIA製AIサーバーは2027年に一律で15%以上値上げされるのですか?

一律ではありません。Bloombergは、大口顧客の一部が、多くの構成で15%を超える値上げ予定を通知されたと報じています。値上げ幅はチップ世代とメモリ構成によって異なるとされ、NVIDIAによる具体的な公式発表はありません。

●独自ASICを使えばメモリ価格上昇の影響を避けられますか?

完全に避けられるとは限りません。独自ASICもHBMなどのメモリを使用します。ただし、対象とする処理に合わせてハードウェアとソフトウェアを設計することで、必要なメモリ容量やシステム全体のコストを最適化できる場合があります。

●サーバー向けDRAMやHBMの価格はいつ下がりますか?

TrendForceは2027年後半の供給増を見込んでいますが、2027年の契約価格は全体として高水準にとどまると予測しています。価格が下落へ転じる具体的な時期は、メモリの種類や供給契約によって異なり、現時点では確定していません。

元記事: Memory Will Cost Cloud Giants More Than GPUs by 2027: NVIDIA Uses That to Justify 15% Server Hike

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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