百度、広告収入8四半期連続減 AIクラウドは成長もモルガン・スタンレーが格下げ

2026年8月21日 11:33

印刷

記事提供元:Tech Times

N509FZ, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons

N509FZ, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons[写真拡大]

百度(Baidu)の2026年第2四半期決算では、オンライン広告収入が8四半期連続で前年同期を下回る一方、AI関連事業の売上高は25%増加した。AIインフラへの設備投資によってフリーキャッシュフローがマイナスとなるなか、モルガン・スタンレーは同社株の投資判断を「イコールウェイト」から「アンダーウェイト」へ引き下げた。

百度は広告事業の縮小をAIクラウドやAIアプリケーションの成長で補う転換を進めている。ただ、従来事業の減収と先行投資が同時に続いており、AI事業をどの程度の速さで収益の柱に育てられるかが焦点となっている。

■売上高は4%減、モルガン・スタンレーが投資判断を引き下げ

百度が2026年8月18日に発表した第2四半期の売上高は、前年同期比4%減の313億元だった。ドル換算では約46億6,000万ドル、1ドル=159円で換算すると約7,410億円となる。市場予想も下回った。

百度に帰属する純利益は前年同期の73億元から23億元へ68%減少した。非GAAPベースの純利益は26億元、営業利益は30億元、非GAAPベースの営業利益は38億元だった。

米国市場に上場する百度の米国預託証券は決算発表日の取引で12%を超えて下落し、約90.87ドルで取引を終えた。

翌19日、モルガン・スタンレーのアナリスト、ゲイリー・ユー氏は百度株の投資判断を「イコールウェイト」から「アンダーウェイト」へ引き下げ、目標株価を130ドルから80ドルへ変更した。80ドルは決算発表日の終値を約12%下回る水準となる。

同氏は、オンライン広告事業の低迷とAI関連投資による利益圧迫を主な懸念材料に挙げた。2026年から2028年までの百度コア事業の売上高予想を1~9%、非GAAPベースの営業利益予想を6~31%引き下げている。

■オンライン広告収入は8四半期連続で減少

第2四半期のオンラインマーケティングサービス売上高は、前年同期比19%減の131億元だった。約19億5,000万ドル、約3,100億円に相当する。前年同期を下回るのは8四半期連続となる。

百度は、広告収入が減少した背景として、ユーザーの関心を巡る競争に加え、AIを組み込んだ検索サービスで利用体験を優先し、広告による収益化を意図的に遅らせていることを挙げた。生成AIが検索結果の提示方法を変えるなかで、広告をどのように配置し、利用体験と収益を両立させるかが課題となっている。

百度アプリの月間アクティブユーザー数は2026年6月に6億4,400万人だった。検索と情報提供を中心とする既存事業には依然として大規模な利用基盤があるものの、短期的にはAI検索への移行が広告収入を圧迫している。

モルガン・スタンレーは2026年第3四半期について、広告収入が前年同期比18.5%減少すると予想している。一方、これは同社アナリストによる予測であり、実績値ではない。

■AI関連事業は25%増、GPUクラウドが成長をけん引

百度コアのAI関連事業の売上高は、前年同期比25%増の125億元となった。約18億6,000万ドル、約2,960億円に相当し、百度の一般事業売上高の半分を占めた。

このうちAIクラウドインフラの売上高は50%増の73億元だった。ドル換算では約10億9,000万ドル、円換算では約1,730億円となる。GPUクラウドの売上高は283%増加し、第1四半期の184%増から成長率が拡大した。

GPUクラウドは、クラウド上でAIの学習や推論に必要な計算資源を提供する事業だ。決算説明会で百度は、学習と推論の双方で需要が拡大し、インターネットサービス、ゲーム、EC、生活情報、具現化AI、自動運転、スマートフォン、金融サービスなど幅広い分野から引き合いがあると説明した。

企業向けのモデル・アズ・ア・サービス基盤「千帆」では、外部顧客によるトークン利用から得た売上高が前年同期の9倍を超えた。具現化AI関連の売上高も約6倍になったという。

これらの数値は、百度がAIモデルだけでなく、半導体、クラウド上の計算資源、モデル開発基盤、アプリケーションまでを提供する事業構造を築いていることを示す。一方、GPUクラウドの成長には汎用的なAI計算需要も含まれるため、ERNIEそのものの競争力や収益力とは分けて見る必要がある。

■設備投資が増加、フリーキャッシュフローはマイナスに

第2四半期の設備投資額は113億9,000万元となり、前四半期の水準からほぼ倍増した。主にAIデータセンターや計算インフラの整備に向けられた。

営業キャッシュフローは34億元のプラスとなり、4四半期連続で黒字を維持した。一方、設備投資を差し引いたフリーキャッシュフローはマイナス79億5,000万元だった。約マイナス11億8,000万ドル、約マイナス1,880億円に相当する。

売上原価は前年同期比4%増の191億元となった。百度は主な要因としてAIクラウド関連費用の増加を挙げている。研究開発費は10%減の46億元だったが、同社はAI人材、基盤モデル、計算資源への投資を今後も続ける方針を示している。

モルガン・スタンレーは、第3四半期のAIクラウドインフラ売上高が前年同期比66%増となる一方、百度コア事業全体の売上高は1%増にとどまり、非GAAPベースの営業利益は第2四半期の38億元から23億元へ減少すると予想している。同社は、人材採用、ERNIEの改良、計算基盤の拡張によって短期的な利益圧迫が強まるとの見方を示した。

■ERNIEを「トップ層に戻す」とロビン・リー氏

百度の共同創業者兼CEOであるロビン・リー氏は決算説明会で、同社の基盤モデルERNIEを「トップ層に戻す」考えを示した。

リー氏は、基盤モデルの分野では数カ月ごとに異なるモデルが先頭に立つほど競争環境が変化していると説明した。そのうえで、長期的な競争力は、継続的な技術投資、アプリケーション主導の取り組み、そして忍耐によって決まるとの認識を示した。

この発言は、ERNIEの現在の位置を示す客観的なベンチマーク評価ではなく、再強化に向けた経営目標と捉えるのが適切だ。百度は組織再編や上級AI人材の採用を進め、モデル開発を加速させるとしている。

百度は同時に、基盤モデルのスコアだけでなく、検索、クラウド、業務アプリケーション、AIエージェントなど、実際のサービスへの組み込みを重視している。会社発表によると、ERNIE Assistantのデイリーアクティブユーザー数は前年同期比83%増加し、利用者1人当たりの1日平均対話回数は3倍を超えた。

モデルへの入力を解釈し、必要な処理を選び、外部ツールやサービスを動かして結果を返すAIエージェントは、百度が掲げる「アプリケーション主導」の戦略を読み解くうえで重要な要素となる。モデル単体の性能だけでなく、既存の検索サービスや企業向けシステムと組み合わせて継続的な売上につなげられるかが問われる。

■香港でのデュアル・プライマリー上場移行を計画

百度は香港証券取引所での上場区分を、現在のセカンダリー上場からデュアル・プライマリー上場へ自主的に変更する手続きも進めている。

同社は2026年7月に申請書を提出し、香港証券取引所から受領確認を得た。8月26日に臨時株主総会を開き、関連議案について株主の承認を求める予定だ。

移行は、株主と香港証券取引所による承認を条件として、2026年中の発効が見込まれている。このため、現段階では移行の完了が確定しているわけではない。

■広告の減少とAIの成長、二つの動きが併存

百度の第2四半期決算には、オンライン広告の減少とAI関連事業の成長という二つの動きが表れている。

AI関連事業の売上高は25%増加し、AIクラウドインフラは50%増、GPUクラウドは283%増となった。一方、オンラインマーケティングサービスは19%減り、AIインフラの整備に伴う設備投資も大きく増えた。

したがって、AI事業が成長していることと、会社全体の収益やキャッシュフローへの寄与が短期的に限られていることは両立する。今後の評価を左右するのは、AIクラウドの高成長を維持できるか、ERNIEとアプリケーションを継続的な収益へ結び付けられるか、そして広告収入の減少をどの時点で補えるかである。

モルガン・スタンレーの目標株価80ドルは、こうした移行に伴う短期的な利益圧迫を重く見る評価だ。ただし、目標株価と業績予想はアナリストによる見解であり、将来の株価や業績を保証するものではない。

■注目ポイントQ&A

●モルガン・スタンレーが百度を「アンダーウェイト」に格下げした理由は何ですか?

オンライン広告収入の減少が続いていることと、AI人材、モデル開発、計算インフラへの投資が短期的に利益を圧迫すると予想したためです。目標株価は130ドルから80ドルへ引き下げられました。

●百度のAI事業は成長していますか?

はい。2026年第2四半期の百度コアAI関連事業の売上高は前年同期比25%増、AIクラウドインフラは50%増でした。GPUクラウドの売上高も283%増加しています。ただし、設備投資が大きいため、売上高の成長が直ちにフリーキャッシュフローの改善につながっているわけではありません。

●ERNIEは競合モデルに後れを取っているのですか?

ロビン・リーCEOは、ERNIEを基盤モデルの「トップ層に戻す」と述べています。これは再強化に向けた経営目標ですが、特定の公開ベンチマークに基づいて現在の順位を示した発言ではありません。百度はモデル開発と並行して、検索やクラウド、AIエージェントへの実装を重視しています。

●AI事業の成長で広告収入の減少を補えますか?

AI関連事業は高い成長率を示していますが、2026年第2四半期時点では、オンライン広告の減少やAIインフラへの投資負担を会社全体で吸収する段階には至っていません。今後はAIクラウドの成長率だけでなく、営業利益やキャッシュフローへの寄与を確認する必要があります。

元記事: Morgan Stanley Downgrades Baidu as Ad Revenue Falls for 8th Straight Quarter and ERNIE Lags

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

関連キーワード

関連記事