冨士ダイス、27年3月期1Q大幅増益、中間期・通期利益予想を上方修正、通期は増益予想に転換

2026年8月20日 07:54

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 冨士ダイス<6167>(東証プライム)は超硬合金製耐摩耗工具(工具・金型)のトップメーカーである。成長戦略として経営基盤強化、生産性向上・業務効率化、海外事業の飛躍、脱炭素・循環型社会への貢献、新事業確立を推進している。レアメタルの使用量を大幅に削減した新合金「サステロイSTN30」も有望だ。27年3月期連結業績予想については、第1四半期が計画を上回る大幅増益だったため、8月7日付で中間期・通期とも利益予想を上方修正した。なお単純計算すると下期の利益予想を減額した形だが、下期については原材料価格高騰の影響が下期にかけて段階的に製造原価へ反映される見込みであるほか、下期の原材料調達に関する不透明感を考慮して保守的な計画としている。したがって通期利益予想に再上振れ余地があり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は上方修正を好感して反発の動きを強めている。高配当利回りなども評価材料であり、戻りを試す展開を期待したい。

■超硬合金製耐摩耗工具(工具・金型)のトップメーカー

 同社は超硬合金製耐摩耗工具(工具・金型)のトップメーカーである。グループは同社および子会社7社(国内2社、海外5社)で構成され、海外は生産・営業拠点としてタイ、インドネシア、営業拠点として中国・上海、マレーシア、インドに展開している。

 生産拠点は、国内が郡山製造所・郡山第2工場(福島県郡山市)、秦野工場・秦野第2工場(神奈川県秦野市)、名古屋工場(愛知県名古屋市)、岡山製造所(岡山県倉敷市)、熊本製造所(熊本県玉名郡)、子会社の新和ダイス(山梨県甲州市)、冨士シャフト(福島県二本松市)で、海外がタイとインドネシアとなっている。

 さらに同社は、競合が少ない超硬合金製耐摩耗工具で多品種少量の高付加価値製品を提供しているため、切削工具・素材メーカーが多い業界平均に比べて販売単価が高く、販売価格が安定的に推移していることなども特長としている。また財務面では、26年3月期末の自己資本比率79.6%と盤石の財務基盤を構築していることも特長だ。

■超硬合金とは

 超硬合金というのは、炭化タングステンに代表される硬質の金属炭化物と、コバルトなどの鉄系金属を粉末状にして混ぜ合わせ、型に入れて圧縮・成型し、粉末冶金法(融点より低い温度で焼いて固める方法)によって製造される金属材料である。ステンレスや鋼鉄を凌ぐ硬さを持ち、耐摩耗性に優れるという特性があり、高い精度が求められる金型や工具の材料として適しているため、輸送用機械、鉄鋼、非鉄金属、金属製品、電気・電子部品など幅広い産業分野で使用されている。

 製品としては精密加工が施されて、主に塑性(切屑の出ない)加工に用いられる高精度かつ耐摩耗性に優れた超硬合金製耐摩耗工具となるほか、一部は中間製品である超硬合金チップとしても販売される。なお、超硬合金製耐摩耗工具の性能や寿命に関しては、顧客の設計思想や生産プロセスが色濃く反映されるため、超硬合金製耐摩耗工具の大部分は顧客ごとのカスタムメイドとなっている。

■幅広い産業分野に多品種少量の高付加価値製品を提供

 同社の製品分類は、超硬製工具類(線材やパイプの生産用工具として使用されるダイス・プラグ、鉄鋼向けの熱間圧延ロール、人工ダイヤモンドやcBNの生産用工具として使用される超高圧発生用工具など)、超硬製金型類(自動車部品製造用金型、飲料缶や食用缶などの製缶金型、車載電池用金型、ガラスレンズ生産用の光学素子成形用金型、半導体・電子部品用金型など)、その他の超硬製品(超硬合金チップなど)、超硬以外(鋼製品、セラミック製品など)としている。

 26年3月期の製品別売上高は、超硬製工具類が43億40百万円、超硬製金型類が46億69百万円、その他超硬製品が48億97百万円、超硬以外の製品が35億40百万円だった。主力製品は、超硬製工具類のダイス・プラグ、熱間圧延ロール、超高圧発生用工具、超硬製金型類の自動車部品製造用金型、製缶金型、車載電池用金型、超硬製品の超硬合金チップなどとなっている。

 産業分類別売上高(単体ベース)は、輸送用機械が28.2億円、鉄鋼が23.6億円、非鉄金属・金属製品が21.0億円、生産・産業用機械が19.3億円、電機・電子部品が17.0億円、金型・工具向け素材が33.8億円だった。取引社数は約3000社に達し、国内の超硬耐摩耗工具市場で長期に亘ってトップシェア(同社推定30%以上)を維持している。

 同社は顧客ニーズを的確に捉えて、個別カスタマイズの多品種少量生産に対応する研究開発~生産~営業体制を構築し、高品質の製品を顧客に提供している。そして、超々微粒から中粒や超粗粒まで顧客ニーズに最適な粒子径や硬さの材種を提供できる新材料開発・粉末冶金技術・加工技術・品質対応力、設計~原料粉末調粉~焼結~機械加工~製品検査の一貫生産体制、豊富な製品ラインナップ、特定の業界・顧客に依存しない収益安定性などを特長・強みとしている。また25年10月より超硬耐摩耗工具・金型のリサイクル事業を立ち上げ、タングステンを含む原料調達リスクの低減を図っている。

 25年10月には新合金「サステロイSTN30」をリリースした。同社は地政学リスクが懸念されるタングステンとコバルトを極力減らした合金を作るというコンセプトで23年3月に「サステロイST60」を開発したが、さらに材料設計を見直して「サステロイSTN30」を開発した。ニオブカーバイドを主成分としたことにより耐摩耗性を向上させた。軽量でありながら超硬合金と同等の耐摩耗性を実現し、地政学リスクが懸念されるレアメタルの使用量を大幅削減した新合金である。耐摩耗性が求められる一方で重量のある超硬合金の使用が難しい分野(回転工具、混錬工具など)での利用が見込まれる。

 また26年6月26日付で、同社と同様にタングステンとコバルトを含まない合金「サーメタル」を開発しているダイジェット工業<6138>と、重要鉱物であるタングステンとコバルトの使用量を削減した合金に関する業務提携契約を締結した。これにより「サステロイSTN30」と「サーメタル」の超硬合金の代替材料としての認知度向上を推進する。

 新規事業としては、超硬耐摩耗工具・金型のリサイクル事業を開始した。スクラップ回収に必要な各種申請手続きを完了し、モデル地域を定めて25年10月より試験的な回収を開始した。今後は対象地域を全国に拡大し、超硬耐摩耗工具・金型の国内循環型リサイクルの実現を目指す。

■中期経営計画(25年3月期~27年3月期)

 24年5月策定の中期経営計画2026(25年3月期~27年3月期)では、中期方針に「変化に対応できる企業体質への転換」を掲げ、成長戦略として経営基盤の強化、生産性向上・業務効率化、海外事業の飛躍、脱炭素・循環型社会への貢献、新事業の確立に取り組むとしている。

 目標数値には最終年度27年3月期の売上高200億円、営業利益20億円、経常利益21億円、経常利益率10.5%、当期純利益15億円、ROE7.0%を掲げている。また、成長投資と株主還元の両方を追及する観点から配当方針を見直し、中期経営計画2026の期間における配当を、株主資本配当率(DOE)4%を目途とすることに加え、積極的かつ機動的な自己株式取得を行うことで利益還元を強化する方針とした。

 なお25年7月には100年企業に向けてグループ企業理念を見直し、新たなグループ企業理念として「社員一人ひとりの幸せを尊重し、事業を通じて広く社会に貢献する」、ビジョンとして「人と素材と技術の力で「感動体験」を」、行動指針として「誠実・好奇心・スピード、挑戦・一体感」を策定・公表した。26年5月には一般社団法人粉体粉末冶金協会の2026年度春季大会において、同社社員2名が、それぞれ「第27回論文賞」および「第49回技能賞」を受賞した。

■27年3月期1Q大幅増益で中間期・通期利益予想を上方修正

 27年3月期連結業績予想については、第1四半期が計画を上回る大幅増益だったため、26年8月7日付で中間期・通期とも利益予想を上方修正した。

 修正後の中間期連結業績予想は売上高が前年同期比33.1%増の112億円、営業利益が188.6%増の9億30百万円、経常利益が213.2%増の9億60百万円、親会社株主帰属中間純利益が240.8%増の6億70百万円としている。

 前回予想(26年5月15日付の期初公表値)に対して、売上高については8億円下方修正した。海外市場では原材料価格高騰に対する価格転嫁が順調に進展しているが、国内市場では価格転嫁が想定より遅れているほか、価格転嫁の影響により販売数量が想定以上に減少している。利益については営業利益を5億40百万円、経常利益を5億40百万円、親会社株主帰属中間純利益を3億90百万円それぞれ上方修正した。原価計算に総平均法を採用している影響のほか、スクラップ回収による原材料調達の増加により、原材料価格高騰による製造原価への影響が計画を下回る見込みだ。また修繕費等が計画を下回ることも寄与する。

 また修正後の通期連結業績予想は、売上高が前期比39.9%増の244億円、営業利益が2.1%増の8億40百万円、経常利益が4.1%増の9億20百万円、親会社株主帰属当期純利益が8.1%増の6億20百万円としている。配当予想は据え置いて前期と同額の40円(期末一括)としている。予想配当性向は126.3%となる。

 通期も中間期と同様の要因で前回予想に対して売上高を16億円下方修正したが、利益については営業利益を1億40百万円、経常利益を1億40百万円、親会社株主帰属当期純利益を1億円それぞれ上方修正した。

 第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比22.4%増の50億51百万円、営業利益が252.4%増の6億18百万円、経常利益が284.0%増の6億32百万円、親会社株主帰属四半期純利益が260.2%増の4億42百万円だった。

 大幅増収増益だった。タングステンを中心とする原料価格高騰に対して価格転嫁が進展したほか、原価計算に総平均法を採用しているため原料価格高騰の製造原価への影響が想定を下回ったこと、外注加工費や修繕費等が減少したことなども寄与した。

 製品別の売上高は、超硬製工具類が15.2%増の11億87百万円、超硬製金型類が2.3%増の11億94百万円、その他超硬製品が58.8%増の17億62百万円、超硬以外の製品が11.0%増の9億07百万円だった。超硬製工具類では高圧機器関連が好調だった。超硬製金型類は一部製品を除き販売数量が減少したが、電池関連金型やマグネット関連金型において価格転嫁が進展した。その他超硬製品は超硬素材の販売数量が減少したが、価格転嫁が進展した。超硬以外の製品は引抜鋼管や混錬工具などの販売が低調だった。

 27年3月期の業績予想は、中間期については前回予想に比べて増益幅が拡大する見込みとなり、通期については従来の減益予想から一転して小幅ながら増益予想となった。なお中間期と通期の利益上方修正幅を基に単純計算すると、下期の利益予想を減額した形だが、下期については原材料価格高騰の影響が下期にかけて段階的に製造原価へ反映される見込みであるほか、下期の原材料調達に関する不透明感を考慮して保守的な計画としている。したがって通期利益予想に再上振れ余地があり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は反発の動き

 株価は上方修正を好感して反発の動きを強めている。高配当利回りなども評価材料であり、戻りを試す展開を期待したい。8月19日の終値は1048円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS31円67銭で算出)は約33倍、今期予想配当利回り(会社予想の40円で算出)は約3.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1044円28銭で算出)は約1.0倍、そして時価総額は約210億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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