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DDR5価格が前年比4~5倍に高騰、AIメモリ需要が自作PC市場を圧迫

(Luan Gjokaj/Unsplash)[写真拡大]
AIアクセラレーター向けの高帯域幅メモリ(HBM)需要が急増するなか、DDR5をはじめとするPC用メモリの価格が大幅に上昇している。PCPartPickerの価格データを分析したTom's Hardwareによると、主要なDDR5キットの平均価格は2025年8月から2026年8月までの1年間で約4.5〜5.9倍になった。
大容量キットでは、かつて329ドルだった128GB製品が3399ドルまで10倍以上に上昇している。AI向けメモリを優先するメーカーの生産配分や、DDR4の生産縮小などが重なっており、自作PCユーザーは必要容量や購入時期を慎重に判断する必要がある。
■DDR5は1年間で最大約6倍に
Tom's HardwareがPCPartPickerの平均価格データを比較したところ、一般的なDDR5構成のすべてで大幅な値上がりが確認された。集計値は市場全体の厳密な取引価格ではなく、PCPartPickerに掲載された製品の平均価格に基づく概算だが、価格上昇の規模を把握する材料になる。
DDR5-4800の32GBキット(16GB×2)は、2025年8月の90ドルから2026年8月には425ドルへ上昇した。1ドル=160円で換算すると約1万4400円から約6万8000円となり、上昇率は372%に達する。
主な構成の価格は次の通りだ。
DDR5-4800、16GB×2:90ドルから425ドル、372%上昇
DDR5-5200、16GB×2:100ドルから480ドル、380%上昇
DDR5-5600、16GB×2:116ドルから528ドル、355%上昇
DDR5-6000、16GB×2:108ドルから572ドル、429%上昇
DDR5-5600、32GB×2:191ドルから1118ドル、485%上昇
DDR5-6000、32GB×2:222ドルから1272ドル、473%上昇
64GB構成では、DDR5-5600の32GB×2キットが191ドルから1118ドルへ値上がりした。円換算では約3万560円から約17万8880円となる。中価格帯の自作PCで採用されることの多いDDR5-6000の16GB×2キットも、108ドルから572ドル、約1万7280円から約9万1520円へ上昇した。
■128GBキットは過去最安値の約10倍
Tom's Hardwareの価格追跡によると、DDR5-6400の128GBキットは3399ドルで販売されている。過去最安値として記録された329ドルの約10.3倍で、円換算では約54万3840円となる。
128GBのメモリは、高解像度映像の編集、複数の仮想マシンの運用、大規模なデータ処理、生成AIモデルのローカル実行などで利用される。今回の価格上昇によって、大容量メモリはワークステーション全体の予算を左右する部品になった。
コンピュータ科学者のダニエル・ルミアー氏は、スタンフォード大学のDAMプロジェクトでデビッド・シム氏が整理した価格データを参照し、現在のDDR5価格が1GB当たり11.41〜13.28ドルになったと指摘している。
Tom's Hardwareによるデータ比較では、この価格帯は名目値で2008年前後のDDR2に近い。インフレを考慮すると、おおむね2011年のDDR3価格に相当する。長期的に低下してきたメモリの単位容量当たり価格が、短期間で2000年代後半から2010年代初頭の水準へ戻った点が今回の特徴である。
■DDR4も1年で2倍以上に
DDR5より安い旧世代のプラットフォームを維持する方法も、以前ほど有効ではなくなっている。DDR4の平均価格も、2025年8月から2026年8月までの1年間で120〜177%上昇した。
主な構成の価格は次の通りだ。
DDR4-3200、8GB×2:63ドルから163ドル、159%上昇
DDR4-3600、8GB×2:75ドルから165ドル、120%上昇
DDR4-3200、16GB×2:105ドルから281ドル、168%上昇
DDR4-3600、16GB×2:120ドルから307ドル、156%上昇
DDR4-3200、32GB×2:222ドルから614ドル、177%上昇
DDR4-3600、32GB×2:300ドルから789ドル、163%上昇
DDR4-3200の64GBキットは、222ドルから614ドル、約3万5520円から約9万8240円へ上昇した。DDR4対応PCを使い続ければ、マザーボードやCPUの交換は避けられるものの、メモリそのものを安価に増設できるとは限らない状況だ。
Micron、Samsung Electronics、SK hynixなどの主要メーカーが、旧世代DRAMの生産を縮小し、サーバー向けDDR5やHBMなどの高付加価値製品を重視していることも供給を圧迫している。
Micronは2025年12月、消費者向けCrucial事業から撤退すると発表した。Crucialブランド製品の消費者向け出荷は、同社の2026会計年度第2四半期末に当たる2026年2月まで継続され、既存製品の保証とサポートは引き続き提供される。
■HBM需要がDRAM全体の供給を圧迫
HBMは、複数のDRAMダイを垂直に積層し、TSVと呼ばれるシリコン貫通電極などで接続するメモリだ。広いインターフェースを通じて大量のデータを並列に転送できるため、AIアクセラレーターの演算装置へデータを供給する用途に適している。
HBMとPC用DDR5は最終製品の構造や用途が異なるが、いずれもDRAMダイを必要とする。HBMは積層や高度なパッケージングを伴い、同じ記憶容量を製造するために従来型DRAMより多くのウェハー能力を必要とする。業界では、HBMの1ビット当たりのウェハー消費量は一般的なDDR5の約3倍に達するとの推計も示されている。
このため、メーカーがHBM向けのDRAMダイや製造能力を増やすと、PC、スマートフォン、一般サーバーなどに供給できる従来型DRAMの伸びが抑えられる。HBMだけが価格上昇の唯一の要因ではないものの、AIインフラ向け需要の拡大がDRAM市場全体の需給を引き締める重要な要素になっている。
HBMの製造工程には、DRAMダイの薄型化、積層、TSVによる接続、検査、高度なパッケージングなどが含まれる。こうした工程の複雑さや歩留まりも、供給量を短期間で増やしにくい理由となる。
■SamsungとSK hynixはAIメモリを拡大
Samsung Electronicsは2026年第2四半期、半導体事業を担当するデバイスソリューション部門で127.5兆ウォンの売上高と89.2兆ウォンの営業利益を計上した。同社は、AI関連需要やサーバー製品の構成比上昇、メモリ価格の上昇が業績を押し上げたとしている。
同社はHBM4の販売を拡大する一方、サーバー向けDDR5などの高付加価値製品も重視している。PCやモバイル分野の需要が一部緩和しても、サーバーDRAM、エンタープライズSSD、HBMの需要によって供給制約が続くとの見通しを示した。
SK hynixもHBMを中核事業として位置付け、生産能力の拡大を進めている。同社は2026年7月に米Nasdaq市場で米国預託証券の取引を開始し、調達資金を半導体製造設備などへの投資に充てる方針を示した。
一方、工場の新設や製造装置の導入には年単位の時間がかかる。新たな生産能力が稼働しても、AIアクセラレーターやサーバー向けメモリの需要が同時に伸びれば、PC用メモリの供給が直ちに増えるとは限らない。
■価格が落ち着く時期は見通しに幅
メモリ市場については、供給不足が2027年まで続くとの見方がある一方、設備投資の効果によって需給の逼迫が徐々に緩和するとの予測もある。
メモリメーカーは、AIインフラ向けを中心とする顧客需要が生産能力を上回っていると説明している。2026年分の一部製品については、すでに供給先が決まっているとされ、短期的に余剰在庫が大きく増える状況ではない。
反対に、価格上昇を受けて主要メーカーが生産設備への投資を増やしているため、2027年後半以降に需給が安定し、2028年には供給過剰へ転じる可能性を指摘する分析もある。この場合の「安定」は、価格上昇が止まることを意味し、2025年当時の価格まで急速に下落することを意味するとは限らない。
メモリは従来から、需要増加、設備投資、生産過剰、価格下落というサイクルを繰り返してきた。今回も将来的に供給が増える可能性はあるが、AIインフラの需要と新規設備の立ち上がりを正確に予測することは難しく、価格の転換時期には大きな不確実性が残る。
■DRAM価格をめぐる米国の集団訴訟
2026年6月25日、消費者と中小企業の計17者が、Samsung Electronics、SK hynix、Micronなどを相手取り、米カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所に反トラスト法上の集団訴訟を提起した。事件番号は3:26-cv-06345である。
原告側は、被告企業が従来型DRAMの供給を協調して制限し、価格上昇を招いたと主張している。請求は、取引を制限する合意を禁じたシャーマン反トラスト法第1条に基づく。
訴訟が提起されたことと、違法な協調行為が認定されたことは別である。HBMなど採算性の高い製品へ各社が個別に生産能力を配分した結果、似た行動になった可能性と、企業間に違法な合意が存在した可能性を区別できるかが争点になる。
被告企業は過去にもDRAM価格カルテルをめぐる米司法省の捜査対象となった。Samsungは2005年に有罪を認めて3億ドル、当時のHynix Semiconductorは1億8500万ドルの罰金を支払った。Micronは捜査への協力により刑事訴追を免れた。ただし、これらの過去の事案は、今回の訴訟における原告側の主張をそのまま裏付けるものではない。
■自作PCでは必要容量を見極める
現在PCを組み立てる必要がある場合、最初から将来を見越した大容量を搭載するより、実際の用途に必要な容量を確認することが重要になる。
ゲームを中心とするPCでは、メモリ容量を必要以上に増やすより、CPUやGPU、ストレージを含むシステム全体の配分を検討した方が合理的な場合がある。一方、映像制作、仮想化、科学技術計算、ローカルAIなどで64GB以上を必要とする場合は、メモリ価格を独立した大きな予算項目として扱う必要がある。
必要容量を減らせない用途では、使用するソフトウェアの推奨容量、メモリスロットの数、将来の増設可否、同一構成のモジュールを追加できるかを事前に確認したい。価格が安定するとの予測だけを前提に購入を長期間延期することにも不確実性がある。
PC用RAMは長らく、容量の増加と単価の下落を期待しやすい部品だった。2026年の市場ではその前提が崩れ、メモリ容量そのものがPCの構成や導入時期を決める重要な要素になっている。
■注目ポイントQ&A
●RAM価格はなぜこれほど上昇したのですか?
AIアクセラレーターやサーバー向けメモリの需要が急増する一方、DRAMの生産能力を短期間で増やすことが難しいためです。メーカーがHBMやサーバー向けDDR5を重視していることに加え、DDR4の生産縮小なども従来型メモリの供給を圧迫しています。
●現在のDDR5価格は歴史的にどの水準ですか?
Tom's Hardwareがスタンフォード大学DAMプロジェクトのデータと比較したところ、1GB当たり11.41〜13.28ドルという価格は、名目値で2008年前後、インフレ調整後では2011年前後のメモリ価格に近い水準です。
●DDR4を選べば費用を抑えられますか?
DDR4対応の既存PCを使い続ければ、CPUやマザーボードの交換費用を避けられる場合があります。ただし、DDR4メモリ自体も主な構成で前年比120〜177%上昇しているため、必ずしも安価な選択肢とはいえません。
●価格はいつ下がりますか?
現時点では予測に幅があります。2027年まで供給不足が続くとの見方がある一方、設備投資によって2027年後半から需給が安定する可能性も指摘されています。安定した場合でも、2025年の価格まで短期間で戻るとは限りません。
●メモリ価格をめぐる集団訴訟は始まっていますか?
はい。2026年6月25日に米国で反トラスト法上の集団訴訟が提起されました。原告側は主要メーカーによる協調的な供給制限を主張していますが、違法な合意があったかどうかは認定されていません。
元記事: AI Wiped Out Two Decades of Falling RAM Prices: Full DDR5 Table for Builders
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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