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1901年の新星「ペルセウス座GK星」が再びアウトバースト、日本のX線監視装置「MAXI」が捉える

(Nasa.gov)[写真拡大]
国際宇宙ステーション(ISS)に搭載された日本の全天X線監視装置「MAXI」が、ペルセウス座GK星の新たなX線増光を捉えた。光学的な増光は2026年7月上旬から観測されており、X線での検出に先行していた。アウトバーストの推移を詳しく調べるため、アメリカ変光星観測者協会(AAVSO)のキャンペーンを通じて、世界各地の観測者に測光・分光観測への協力が呼びかけられている。
■今、ペルセウス座GK星に注目すべき理由
ペルセウス座GK星は、地球から約1,440光年(約441パーセク)の距離にある激変星である。1901年に古典新星として大増光した天体であると同時に、降着円盤の不安定性によって増光を繰り返す矮新星であり、磁場を持つ白色矮星を含む「中間ポーラー」にも分類される。
現在進行中の現象は、1901年の古典新星とは異なる矮新星アウトバーストである。古典新星では、伴星から供給された水素が白色矮星の表面に蓄積し、熱核暴走によって急激な増光と物質放出が起きる。一方、矮新星アウトバーストは主に降着円盤の熱的不安定性によって生じる。円盤内の水素の電離状態が変化すると、物質を内側へ運ぶ働きが強まり、白色矮星への降着率が上昇して星系が明るくなる。
ペルセウス座GK星では1948年に矮新星型の増光が確認され、その後、数年おきにアウトバーストを繰り返してきた。発生間隔や継続期間にはばらつきがあるが、近年のアウトバーストはおおむね2〜3年程度の間隔で起き、数十日から数か月続くことがある。
MAXIが2009年に観測を始めてから、ペルセウス座GK星のアウトバーストを明確に検出したのは、2010年、2015年、2018年、2023年に続いて今回が5回目となる。これまでの観測データと比較することで、アウトバーストごとの降着円盤やX線放射の違いを調べることができる。
■アラートの背後にあるシステム
MAXIは、ISSの「きぼう」日本実験棟の船外実験プラットフォームに設置された全天X線監視装置である。今回の検出に使われたガススリットカメラ(GSC)は、位置検出能力を持つガス比例計数管を用い、ISSの周回に伴って約92分ごとに空を走査する。GSCは設計上2〜30keVのX線を検出し、12台の計数管を合わせた検出器面積は約5,000平方センチメートルである。
MAXI/GSCの新星アラートシステムは、観測データから新しいX線突発天体や既知天体の増光を自動的に探索する。2026年8月9日8時23分(世界時、日本時間同日17時23分)、ペルセウス座GK星の位置と一致するX線増光を検出した。
この検出は、世界時8月8日10時43分(日本時間同日19時43分)から8月9日8時23分までに得られた8回の有効な走査データに基づく。4〜10keV帯の1日平均フラックスは40±10mCrabだった。MAXIチームは、理化学研究所の三原建弘氏を筆頭に、JAXAや国内の大学・研究機関に所属する研究者の連名で、8月11日23時46分(世界時、日本時間12日8時46分)に観測結果を報告した。
AAVSOのVバンド観測では、ペルセウス座GK星は7月7日に増光し始め、8月11日には静穏時より2.5等級明るくなっていた。したがって、今回のX線増光は、光学的な増光から約1か月遅れて確認されたことになる。
この時間差は、アウトバーストが降着円盤内をどのように伝わったかを読み解く手掛かりとなる。光学的な増光は主に円盤から生じる一方、強いX線は、物質が白色矮星付近まで到達し、磁場に沿って磁極周辺へ流れ込む過程で生じる。光学とX線の変化を継続的に比較することで、降着流や磁場の影響を詳しく調べられる可能性がある。
■3つの顔を持つ星系
ペルセウス座GK星は、1901年2月21日夜、スコットランドのアマチュア天文家トーマス・デビッド・アンダーソンによって発見された。発見時には約2.7等級で、その後約0.2等級まで明るくなり、1918年のわし座新星が現れるまで近代で最も明るい新星とされた。
新星の周囲では、爆発の光が星間物質に反射して広がる「光エコー」も観測された。光エコーは見かけ上、光速を超える速度で広がっているように見えたが、物質そのものが光速を超えて移動したわけではない。ペルセウス座新星は、このような見かけの超光速運動が記録された初期の代表例となった。
現在の星系は、質量が太陽の約1.03倍と推定される白色矮星と、太陽の約0.39倍のK型準巨星から構成される。両者は約1.997日の周期で互いの周りを回っている。
白色矮星の磁場は約0.5メガガウスと推定されている。この磁場によって降着円盤の内側は切り詰められ、流入した物質は磁力線に沿って白色矮星の磁極付近へ導かれる。そこで生じるX線には白色矮星の自転に対応した変動が現れ、その周期は約351.3秒である。
白色矮星の自転周期が連星の公転周期と同期していないことや、X線で明瞭な自転変調が観測されることは、ペルセウス座GK星が中間ポーラーであることを示す主要な特徴となっている。
■天文学者が注目するポイント
ペルセウス座GK星のアウトバーストで注目される現象のひとつが、X線や可視光に現れる準周期振動(QPO)である。過去のアウトバーストでは約5,000秒の時間尺度を持つQPOが観測されているが、その発生機構は完全には解明されていない。
円盤内縁付近を公転する密度の高い領域などが、白色矮星の近くから出るX線を周期的に遮るという解釈が提案されている。ただしQPOの性質や発生条件には未解明の点があり、今回の観測は過去のアウトバーストとの比較材料になる。
AAVSOの観測キャンペーン#940は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)のX線分光撮像衛星「XRISM」による観測を支援する目的でも実施された。キャンペーンでは、アウトバースト極大期を予測するための継続的な測光と、QPOや白色矮星の運動を調べるための測光・分光データが求められている。XRISMの観測は8月8日から12日に予定されていた。
ペルセウス座GK星については、NASAの赤外線宇宙望遠鏡「SPHEREx」のデータから、これまで知られていなかった双極状の分子水素シェルも発見されている。2026年3月に発表された研究によると、シェルの見かけの大きさは約18×10角分で、実空間ではおよそ8×5光年に相当する。
この分子水素シェルは、ペルセウス座GK星を取り巻くHα星雲とほぼ同じ位置に広がっている。研究チームは、明るい中心星を伴う通常の惑星状星雲という解釈とは整合しないとし、1901年の新星爆発以前から存在した周辺物質が爆発時に電離された可能性を示している。
また、ペルセウス座GK星の南西約45秒角では、1901年の新星放出物が周囲の物質に衝突している領域と重なる分子水素のフィラメントが検出された。研究チームは、この放射が前方衝撃波と逆向き衝撃波の間に形成される中性領域から生じている可能性を提案している。
1901年の爆発による新星残骸は、半径約1角分まで広がっている。その形状から「Firework Nebula」と呼ばれることもあり、長期間にわたって追跡されてきた古典新星残骸のひとつである。
■観測への参加方法
AAVSOの観測キャンペーン#940は、2026年8月6日から9月16日までの予定で実施され、世界各地の観測者にVバンド測光と分光観測への協力を呼びかけている。分光観測では、He IIの4686オングストローム線やHα線などが対象となる。
光学観測は、X線でアウトバーストが確認される前の段階から変化を捉えられる可能性がある。今回も、AAVSOに集められた光学データでは7月7日から増光が始まり、MAXIによるX線検出は8月9日だった。
MAXIが取得したX線光度曲線は公式サイトで公開されている。AAVSOの観測データと合わせて追跡することで、光学的な増光とX線増光の時間差や、アウトバーストの進行を確認できる。
1901年以来観測されてきたペルセウス座GK星は、古典新星、矮新星、中間ポーラーという複数の性質を持つ。2026年の観測データは、降着円盤の不安定性と白色矮星の磁場がどのように相互作用するかを理解するための新たな手掛かりとなりそうだ。
■注目ポイントQ&A
●1901年の新星爆発と現在起きているアウトバーストの違いは何ですか?
1901年の現象は古典新星でした。伴星から供給された水素が白色矮星の表面に蓄積し、熱核暴走を起こして急激に増光するとともに、物質を宇宙空間へ放出しました。
現在の現象は矮新星アウトバーストです。主な原因は白色矮星を取り巻く降着円盤の熱的不安定性であり、白色矮星表面で1901年と同じ規模の熱核爆発が起きているわけではありません。
●なぜX線の増光は光学的な増光より遅れて確認されるのですか?
光学的な増光は主に降着円盤の変化によって生じます。これに対し、強いX線は、増加した物質が円盤の内側まで移動し、白色矮星の磁場に沿って磁極付近へ落下する過程で生じます。
ペルセウス座GK星は公転周期が約2日と長く、激変星としては大きな降着円盤を持つと考えられています。円盤内の変化が白色矮星付近まで伝わるのに時間がかかることが、光学とX線の増光時期がずれる理由のひとつと考えられます。
●アマチュア天文家はペルセウス座GK星の研究に貢献できますか?
はい。AAVSOキャンペーン#940では、世界各地の観測者に測光・分光データの提供を呼びかけています。継続的な光学観測は、アウトバーストの開始や極大期を把握し、X線衛星による観測時期を決めるための重要な情報になります。
観測条件や必要な精度、フィルターなどはAAVSOのキャンペーンページで案内されています。観測結果を共通のデータベースへ提出することで、長期間にわたる光度変化の記録に加わることができます。
●中間ポーラーとはどのような激変星ですか?
中間ポーラーは、磁場を持つ白色矮星と伴星からなる激変星の一種です。白色矮星の磁場は降着円盤の内側を切り詰めるほど強い一方、通常は白色矮星の自転を連星の公転と完全に同期させるほど強くありません。
円盤から流れ込んだ物質は磁力線に沿って白色矮星の磁極付近へ導かれます。そのため、白色矮星の自転周期に対応したX線や可視光の変動が観測されます。ペルセウス座GK星では約351.3秒の自転変調が確認されています。
元記事: GK Persei Erupts for Sixth Time Under MAXI Watch; Amateurs Spotted It First
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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