AWS障害でApple PayやRedditなどに約80分影響、5月以降3回目

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7月24日(現地時間)、Amazon Web Services(AWS)のオレゴンリージョンでインターネット接続障害が発生し、Apple PayやReddit、Huluなどが影響を受けた。AWSで約11週間のうちに発生した注目すべき信頼性インシデントとしては3回目だが、障害箇所はそれぞれ異なる。詳しい根本原因はまだ公表されておらず、AWSの過去の対応を踏まえると、事後分析レポートは今後2〜4週間以内に公開される可能性がある。
■障害の概要と影響範囲
7月24日金曜日の朝(現地時間)、Amazon Web Services(AWS)の障害により、Apple Pay、Reddit、Hulu、DoorDash、PlayStation Networkが約80分間オフラインになった。今回の障害を単なるインフラ障害以上の出来事にしているのは、それ以前にも障害が続いていることだ。AWSで約11週間のうちに発生した注目すべき信頼性インシデントとしては3回目であり、5月は冷却設備、6月は外部ネットワークプロバイダ、今回はオレゴンのリージョンとパブリックインターネットとの境界と、それぞれAWSの異なるインフラ層で発生している。原因は別々だが、障害が相次いでいる事実は変わらない。
障害の中心は、オレゴン州ポートランドにあるAWSのUS-West-2リージョンだった。米東部時間午前6時40分(日本時間午後7時40分)ごろから、Downdetector上でApple Payの決済失敗、DoorDashの購入手続きの不具合、Redditが応答しないといった報告が上がり始めた。AWSは米東部時間午前7時40分(日本時間午後8時40分)に初めて障害を認め、US-West-2での接続問題を調査中だと発表した。米東部時間午前11時14分(日本時間7月25日午前0時14分)までに、同社はリージョンの接続が完全に復旧したと発表した。原文では、最初の報告から公式な復旧までの時間を約80分としている。
AWSによると、顧客データの損失はなかった。
■影響を受けた7つのAWSサービス
AWSは当初、影響を受けたサービスを5つ挙げていたが、事態の進展に伴って7つに増やした。最終的なリストには、Direct Connect、Global Accelerator、Internet Connectivity、IoT Core、API Gateway、ElastiCache、Elastic Container Service(ECS)が含まれた。これら7つはいずれも消費者向けの製品ではなく、他社のアプリケーションを下支えするサービスである。だからこそ、バックエンドインフラの問題が、RedditやApple Payが利用できなくなったというニュースになった。
Daily Mailが報じたように、障害発生中にGlobal AcceleratorとECSが影響対象へ追加されたことは、重要な兆候だった。Global Acceleratorは、最適化された経路を使ってAWSのアクセスポイントへトラフィックを振り分ける。ECSは、コンテナ化されたアプリケーションを実行するサービスだ。パブリックインターネットの障害から分離されることを想定した専用のプライベート接続を提供するDirect Connectとともに、これらのサービスにも障害が発生したことは、単一製品の不具合ではなく、AWSのオレゴンにおけるネットワーク境界の複数層へ同時に影響が及んだ可能性を示している。
AWSはこの事象を「機能低下(impaired)」と分類した。これは、リージョン全体の完全な停止には至らないものの、顧客から確認できる障害に対してAWSが使用する内部区分である。この区別は、サービスレベル契約(SLA)が特定の重大度のしきい値と結びついている法人顧客にとって重要になる。
■根本原因とAWSの発表状況
7月24日の事象に関するAWSの公式説明は、「US-West-2リージョンへのインターネット接続」の問題という内容にとどまっている。同社は、問題が自社ネットワーク内で発生したのか、上位のトランジットプロバイダとのピアリング接続で発生したのか、あるいはパブリックインターネット上のさらに外側の地点で発生したのかを明らかにしていない。
この情報開示の不足は重要である。障害発生中にAWSが示した「リージョン内の接続はこの事象の影響を受けていない」との声明から、問題はコンピューティングやストレージのインフラ内部ではなく、オレゴンのデータセンターとパブリックインターネットとの境界で発生したことが分かる。内部のEC2インスタンスやEBSボリュームそのものに問題があったのではなく、外部へトラフィックを送る経路が失われたのである。
今回の情報開示は、2026年5月のインシデント後にAWSが示した説明よりも限定的だ。5月のインシデントでは、バージニア北部のデータセンター内にある特定のチラー設備のハードウェア障害が、温度上昇と冷却機能の喪失を引き起こしたと特定されていた。2025年10月のUS-East-1障害後にAWSが公開した詳細な事後レポートと比べても、今回の説明はかなり少ない。同レポートでは、15時間に及んだ障害の根本原因として、DynamoDBの自動DNS管理システムにおける競合状態が挙げられていた。AWSはこれまで、重大なインシデントの事後分析をおおむね2〜4週間以内に公開してきた。
■11週間で3回、独立した障害箇所
5月以降のAWSの障害を並べると、ある傾向が浮かび上がる。ただし、同じバグが繰り返し発生しているわけではない。クラウドインフラを構成する3つの異なる層が、それぞれ独立して機能不全に陥っている。
5月7〜8日:AWSのバージニア北部データセンター内にある単一のデータホールで、複数のチラー設備が同時に故障した。これにより、アベイラビリティーゾーンuse1-az4のEC2インスタンスとEBSボリュームで、熱から設備を保護するための停止措置が実施された。これは物理的なハードウェアと冷却インフラの障害である。Coinbaseの取引プラットフォームは約7時間アクセスできなくなった。FanDuelはNBAウェスタン・カンファレンス準決勝第2戦の最中にオフラインとなり、スポーツベッティングサービスとしては極めて悪いタイミングだった。CME Groupの取引インフラも影響を受けた。
6月22日:一部の報道でネットワークプロバイダのZayoとの関連が指摘された、複数リージョンにまたがるネットワーク障害が発生した。ただし、AWS内部の障害だったとは確認されていない。Downdetectorには、AWSとCloudflareのインフラに関係する数百件の障害報告が寄せられた。これはサードパーティーのネットワーク接続に関する障害である。
7月24日:AWSのオレゴンリージョンのネットワーク境界でインターネット接続障害が発生し、Apple Pay、Reddit、Hulu、DoorDash、PlayStation Networkがオフラインになった。これはネットワークの外向き通信とピアリングの層で発生した障害である。
3つのインシデントが、インフラを構成する3つの異なる層で発生した。企業の信頼性担当チームにとって、この違いは単なる障害回数以上に重要である。同じソフトウェアのバグを3回経験したプロバイダなら、そのバグを修正できる可能性がある。一方、ハードウェア、サードパーティーとのネットワーク接続、リージョンのインターネット接続がそれぞれ独立して障害を起こしている場合、解決すべきエンジニアリング上の問題はより難しくなる。
参考までに、DynamoDBのDNS競合状態を原因とする2025年10月のUS-East-1の障害は約15時間続いた。当時報じられたDowndetectorのデータによると、2,500社を超える企業に関して1,100万件以上の障害報告が寄せられた。今回の障害は、深刻度も継続時間もその一部にすぎない。比較の目的は規模ではなく、それぞれの事象がインフラのどの部分に脆弱性が残っているかを示している点にある。
■オレゴンリージョンへの集中の背景
過去10年間に発生したAWSの重大なインシデントは、バージニア北部のUS-East-1とオレゴンのUS-West-2という2つのリージョンに集中している。これには理由がある。
US-East-1は、AWSが2006年にサービスを開始した際の最初のリージョンであり、ほかの場所へ移行されないまま長年稼働しているワークロードが蓄積されている。また、Route 53、IAM、CloudFrontのコントロールプレーンなど、ほかのリージョンが依存する複数のAWSコントロールプレーン機能も目立たない形で置かれている。このため、US-East-1の障害はほかのリージョンへ大きく連鎖しやすい。
US-West-2は、西海岸で同様に重要な役割を担っている。AWSで最大規模かつ利用の多いリージョンの一つであり、アジア太平洋地域の顧客に対する通信遅延を抑えたい企業から選ばれている。また、何年も前に同リージョンをプライマリまたはセカンダリとして選び、その後も使い続けているエンジニアリングチームが多い。
この集中の問題は構造的であり、集中をさらに強める性質がある。2つ以上のAWSリージョンで本格的なアクティブ・アクティブ構成を運用すると、多くのワークロードではデータ転送コストと運用負担がほぼ倍増する可能性がある。このコスト計算の結果、年間売上高が数十億ドルに上る企業を含め、多くの組織が単一リージョンでミッションクリティカルなサービスを運用し続けている。今回のような障害により判断が多少変化する可能性はあるが、大規模な移行につながる可能性は低い。
■決算を控えたAWSの市場ポジション
2026年に発生した一連のインシデントが、AWSの市場シェアを目に見える形で動かした様子はない。Synergy Research Groupによると、2026年第1四半期の世界のクラウドインフラ市場でAWSのシェアは28%となり、Microsoft Azureの21%、Google Cloudの14%を上回った。同四半期の法人向けクラウド支出は1,290億ドル(約21兆1,560億円、1ドル=164円換算)に達した。前年同期比35%の増加で、主にAIワークロードへの需要に支えられ、成長率の加速は9四半期連続となった。
成長率を見ると、絶対的な市場シェアとは異なる状況が見える。2026年第1四半期には、Google Cloudが前年同期比63%増、Azureが40%増、AWSが19%増となった。競合2社はAWSより小さい売上基盤から、成長率の差を縮めている。法人向けクラウド契約は通常、複数年にわたり、乗り換えコストも高い。このため、80分間の障害が大半の顧客にとって移行の直接的なきっかけになることはない。
インシデント後の数日間に公開の場で交わされた、信頼性やプラットフォームエンジニアリングに関する議論を見ると、変化しているのは企業のIT部門における内部計画である。11週間で3回のインシデントが発生したことは、災害復旧テスト、マルチリージョンのフェイルオーバー訓練、少なくとも単一リージョンが障害点となっている本番ワークロードの再点検に、予算を割り当てる根拠になる。
Amazonは、米東部時間7月30日午後5時(日本時間7月31日午前6時)に2026年第2四半期決算を発表する予定だ。ウォール街のアナリストは、売上高を約1,960億ドル(約32兆1,440億円、1ドル=164円換算)と予想している。また、AWSの成長率が第1四半期の前年同期比28%を維持するか、それを上回ると見込んでいる。アナリストは、一連の信頼性問題や、US-West-2に特化したインフラ投資に関して経営陣が言及するかどうかに注目するとみられる。
■AWS顧客が取るべき対策
単一リージョンの接続障害に対応するためのエンジニアリング上の定石は変わっていない。AWS内でマルチリージョン構成を採用し、自動フェイルオーバーを備えた少なくとも2つのリージョンで本番ワークロードを稼働させていれば、7月24日の接続障害による影響から大半のアプリケーションを保護できたはずだ。AWS自身が提供するアクティブ・アクティブ構成のガイダンスや、フェイルオーバールーティングを設定したRoute 53のヘルスチェックなどは、まさにこのような状況に備えるためのものである。
AWSと、Microsoft AzureやGoogle Cloudなど別のプロバイダにワークロードを分散するマルチクラウド構成は、さらに踏み込んだ対策となる。ただし、運用は現実に複雑化する。チームは、プロバイダ固有のサービスを避けるか、クラウドごとに異なるコード経路を維持しなければならない。監視しなければならない対象も増える。マルチクラウドを採用する組織の多くは、システム全体ではなく、決済処理や顧客向けAPIなど、特に重要なワークロードに限定している。
多くのプラットフォームチームにとって現実的な中間策となるのは、AWS内の自動フェイルオーバーを強化し、リージョン障害用の運用手順書を定期的にテストすることだ。完全なマルチクラウド構成よりも低コストで、今回の障害に見られた特定の障害パターンへ対処できる。ただし、この方法でも、一連の3件のインシデントが提起する、より難しい疑問には答えられない。AWSの冷却システム、外部ネットワークとの接続、リージョンのインターネット接続が一つの四半期内にそれぞれ独立して故障し得るなら、次はどの層で障害が発生するのか、という疑問である。
■AWSが次に顧客へ示すべきこと
AWSは、7月24日の事象に関する詳細な根本原因分析をまだ公開していない。同社の過去の対応を見ると、2025年10月の事象では約3日後にDynamoDBのDNS障害に関するレポートが公開され、その後数週間にわたって追加の分析が示された。こうした実績を踏まえると、7月24日の事象に関する完全な事後レポートは2〜4週間以内に公開される可能性がある。AWSはこれまで、重大なインシデントの事後分析をおおむねこの期間内に公開してきた。
そのレポートでは、接続障害がAWS自身のネットワークインフラ内で発生したのか、サードパーティーのトランジットプロバイダとのピアリング接続で発生したのか、あるいは別のネットワーク境界で発生したのかを説明する必要がある。この違いによって、AWSが自社インフラへの投資を必要とするのか、上位トランジット事業者との関係を見直して接続先を多様化する必要があるのかが変わる。企業の顧客が、現在のシステム構成によって同様の障害の再発から実際に保護されるのかを評価するためにも必要な情報である。
■注目ポイントQ&A
●2026年7月24日のAWS障害の原因は何ですか?
AWSは、オレゴンのUS-West-2リージョンに影響する「リージョンのインターネット接続に関する問題」と説明していますが、本稿執筆時点では詳しい根本原因を公表していません。AWSは、内部のコンピューティングやストレージを含むリージョン内の接続には影響がなかったと説明しています。このため、障害はAWSのオレゴンにあるデータセンターとパブリックインターネットとの境界で発生したとみられます。AWSの過去の対応を踏まえると、詳しい事後レポートが今後数週間以内に公開される可能性があります。
●今回の障害は、2026年5月や6月のAWSのインシデントとどう違うのですか?
3つのインシデントは、クラウドインフラの異なる3つの層で発生しました。2026年5月の事象は、物理的なハードウェアと冷却設備の障害です。バージニア北部のデータセンター内で複数のチラー設備が過熱して故障し、サーバーの停止につながりました。2026年6月の障害は、報道ではサードパーティーのネットワークプロバイダとの関連が指摘されていますが、AWS内部の障害とは確認されていません。7月24日の障害はネットワーク境界の接続問題で、内部システムが稼働を続ける一方、AWSのオレゴンのインフラとパブリックインターネットとの接続に障害が発生しました。原因が異なる3つのインシデントであるため、一つの修正だけで解決できる問題ではありません。
●企業は今回の障害を受けてAWSからワークロードを移行すべきですか?
大半の組織にとって、その必要はありません。クラウドの移行には多額の費用と時間がかかり、AWSの市場での地位や顧客基盤が2026年のインシデントによって大きな影響を受けた様子もありません。エンジニアリングの観点からは、重要なワークロードにマルチリージョンのフェイルオーバーが設定され、実際にテストされているかを点検する方が合理的です。単一のAWSリージョンで決済、金融取引、顧客向けAPIなどのミッションクリティカルなサービスを運用する企業は、既知の集中リスクを受け入れていることになります。AWS内でクロスリージョンのフェイルオーバーを追加する方が移行よりも低コストであり、今回の障害パターンへの対策になります。
●クラウドプロバイダの集中リスクについて、EUはどのような対応をしていますか?
欧州委員会は2025年11月、AWSとAzureを対象とするデジタル市場法(DMA)のゲートキーパー調査を正式に開始しました。調査開始の背景には、2025年10月に発生した15時間に及ぶAWSの障害や、航空会社のチェックインシステムとヒースロー空港に混乱をもたらしたAzure Front Doorの障害もあったとされています。2026年6月には、AWSとAzureをDMAに基づくゲートキーパーに指定すべきだとする予備的な判断が示されました。最終的な指定は2026年末までに行われると見込まれています。指定後の義務に違反した場合は、多額の制裁金が科される可能性があります。7月24日のインシデントは、重要なデジタルインフラが少数のプロバイダへ集中すると、市場競争だけでは解消できないシステム上の脆弱性が生じるという欧州委員会の主張を補強する材料になります。
元記事: AWS Knocks Out Apple Pay, Reddit, Hulu for 80 Minutes in Third Outage Since May
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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