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循環取引がAIバブル崩壊を予感させる!? ハイテク株急騰の裏で起きていることは
昨今のAI相場の熱狂は、NVIDIA、オープンAI、オラクルといった企業の存在によって象徴されている。半導体、クラウド、AIサービスが三位一体となって巨大な成長ストーリーを描き、ナスダック指数は過去最高値を連日更新している。
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しかしその表舞台とは裏腹に、「AIバブル崩壊の予兆」と囁かれる出来事がある。それが、主要AI企業間で指摘されている循環取引だ。
問題視されているのは、これらの企業間で密接な形で資金やサービスが循環し、それが業績を押し上げているように見える構造である。
NVIDIAはオープンAIに対し、最大1,000億ドルもの戦略的投資を行うパートナーシップを発表し、オープンAIは、データセンター建設とクラウドサービス利用のためオラクルと3,000億ドル規模の契約を締結。オラクルも自社クラウド強化のためにNVIDIA製GPUを莫大な規模で購入する見込みだ。
こうした相互依存の状態は、実需による成長というよりも、企業間で取引が循環して数字を押し上げているのではないか、という疑念が広がっている。
この構図は、2000年前後のインターネットバブルを思い出させる。当時も「ネット革命」というテーマ性が独り歩きし、利益を伴わないまま株価だけが先行した。
今回も同様に、「AI革命」という物語が投資家を惹きつけ、成長ストーリーさえあれば評価される風潮が強い。AI企業、クラウド企業、半導体企業が互いのサービスを買い合い、循環的に売上を押し上げる姿は、バブル特有の「期待」や「自己増殖」の構造を彷彿とさせる。
さらに、ハイテク成長株の代表指数であるナスダック指数は、過熱感が否めない。株価の割高感を測る指標であるPERは、歴史的な高水準にあり、株価が実際のキャッシュフローを大きく上回る形で評価されている。
またクラウド企業も、AI関連投資を材料に急伸し、実体経済の成長を大きく超える勢いで株価が上昇している。
最も重要なのは、AIが莫大な投資に見合う収益をまだ生み出せていないという現実だ。生成AIの開発・運用には莫大なコストが必要になる一方で、収益源は、API課金や広告、サブスクなどに限られ、投資額を回収できるほどの利益が上がっているとは言い難い。
もしこの収益性が改善しないまま投資だけが膨らめば、企業価値が期待によって膨らんだ「バブル」である可能性は否定できない。
今回の循環取引問題は、AIバブル崩壊を決定づける要因ではないが、「成長が持続可能なのか」という市場の不安を浮き彫りにした。
AIというテーマは世界を変える可能性を秘めているものの、その未来の利益を過剰に先取りしすぎれば、バブルはいつか調整を迎える。投資家に求められるのは、華麗なAIストーリーよりも、実際に収益を生み出せるのかという地に足のついた視点である。(記事:Osaka Okay・記事一覧を見る)
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