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ピーター・ティール、エヌビディア株を全売却 バブルに沸くAIマーケットの行き先は?

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ピーター・ティール氏のヘッジ・ファンド「ティール・マクロ」が、第三四半期(7-9月)に保有していたエヌビディア株を全て売却した。米証券取引委員会に提出された保有銘柄一覧によって判明した。
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ティール氏が売却した株数は53万7742株におよび、9月末の終値基準ではおよそ1億ドルに相当する。
直近では、ソフトバンクも58億ドル相当のエヌビディア株を全売却するなど、一部の大手機関投資家や世界的ヘッジファンドのテック株離れが顕著になっている。
エヌビディアは、AIチップ開発に不可欠な高性能半導体市場で圧倒的な地位を確立し、2023年以降には株価が数倍に高騰した。
しかし、エヌビディアの主要顧客であったグーグルやアマゾン、マイクロソフトなどは、AI開発におけるコストおよび工数削減、最適化を目的として、インハウスでのAIチップ開発および改良に注力するなど、エヌビディアにとっては困難な局面が続いている。
これらに代表されるエヌビディアにとってネガティブな背景から、ティール・マクロによる株式全売却につながったと見られる。
AI関連株への投資に積極的だったティール氏のエヌビディア株全売却により、近年、マーケットを席巻していたAIバブルの縮小および終結が、一部で予想されている。
しかしながらティール氏は、保有株式数を低減したもののアップルやマイクロソフト、 テスラ株を保有しており、AIテクノロジーそのものに見切りをつけたわけではないと見られる。
またソフトバンクグループCFOの後藤光氏は、エヌビディア株全売却によって得られた資金をOpen AIなどに振り向けることを示唆している。
これらの情報から、AIバブルそのものが終結するのではなく、大手テック企業において脱エヌビディアの潮流が生じていると見られる。
またメタやアマゾンは、AIインフラ投資に向けて社債発行などによって積極的な投資スタンスを示しており、今後はエヌビディアが中心的な役割の一部を担っていたAI開発マーケットの状況が、大きく変わりつつあることが示唆されている。
エヌビディアは、第4四半期(10-12月)において、再びポジティブな材料を提示し、投資家らが抱える不安を払拭できるかどうか、重大な局面を迎える。(記事:庭田 學・記事一覧を見る)
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