積極的M&A駆使で成長段階へ、メディカル一光Gの中計をどう捉えるか

2025年10月12日 18:14

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 メディカル一光グループ(3353、東証スタンダード市場)。三重県地盤の調剤薬局チェーン。介護付き有料老人ホームや後発医薬品卸も。M&A戦略に成長の道を求めている。

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 1985年に現社長:南野利久氏により、三重県で調剤薬局事業がスタート。現状でも「コスモ」「フラワー」「平安」ブランドの店舗を、1道2府9県で89店舗展開している。

 南野氏とは久しく会っていないが事業環境に関し、こんな発信を耳にした。「2025年には団塊の世代の方々が全て75歳以上になり、総人口の約18%となる。2040年には65歳以上の人口が約35%になると推計されている・・・こうした状況下、当社グループは2023年9月に九州を地盤とする西部沢井薬品の医薬品卸事業と当社子会社と事業統合を実現。調剤薬局、ヘルスケア事業と規模の面で劣らない3極体制を確立した」。

 M&A戦略を事業の拡充施策として活かしていくことを、改めて示した。医薬品卸事業では指摘した案件の以降も、24年に2件/今年1件をM&Aでグループ化している。ちなみに調剤薬局事業でも24年に2件/ヘルスケア事業でも24年に介護事業の譲受を果たしている。

 足元の収益動向をフォローすると、「M&A戦略効果の継続的な発現で、立ち位置を一段上げた様相」と捉えることができる。24年2月期「17.7%増収、66.7%営業増益、5円増配45円配」-25年2月期「21.3%増収、8.5%増益、65円配」-26年2月期計画「8.5%増収(525億円)、15.2%増益(19億5000万円)、120円配」。

 M&Aによる成長加速は、至28年2月期の中計にも見て取れる。「3事業の積極的なM&Aによるトップライン引上げ」を謳い「売上高600億円(25年2月期484億円)、営業利益25億円(17億円)」を掲げているが、3事業部門の計画は「調剤薬局事業247億円⇒300億円」「医薬品卸事業154億円⇒200億円」「介護事業85億円⇒100億円」としている。

 ヘルスケア・キャピタルという専門子会社が稼働している。上場株式投資、M&Aの専門子会社。前記の西部沢井製薬との一件(後発医薬品卸部門の譲受)も、その手による。

 本稿作成中のメディカル一光Gの株価は、2900円台、予想税引き後配当利回り3%余。年初来安値(1月2050円)以降、右肩上がり。7月16日の4410円以降の押し目場面。今期第1四半期決算直後に上ヒゲの長い陽線を実現。PER8.86倍と過熱感はなし。中計を買う姿勢で対応するのが献策か・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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