DeNA流の社内起業創出の枠組みが拡がることを、切に望む

2025年9月12日 09:09

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 ディー・エヌ・エー(2432、東証プライム市場、DeNA)。四季報:特色欄は「ゲームSNSからスマホアプリに転換。任天堂と提携。ヘルスケア・医療も、傘下にプロ野球球団」としている。がいま、「社内起業創出に積極対応」を付け加えて欲しいと痛感している。スマート修繕という、社内起業出身のスタートアップ企業を取材したからだ。

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 DeNAでは社内起業に備え、社内ベンチャーを支援するインキュベーション組織:デライト・ベンチャーズを設けている。南場智子氏(DeNA会長)が作ったベンチャーキャピタルである。社内起業路線は大場氏が産み落とした、とされる。

 その実態を6月中旬に日経新聞Web版は、こんな見出しで発信している。<6月16日:DeNA、「南場学校」が生む連続起業 資金・ノウハウ・仲間を支える><6月18日:DeNA南場智子会長、社員の起業推す 「人の固定化は最大の悪」>。是非ご一読頂きたい。

 取材したスマート修繕は、そんなDeNAの土壌から創出された。代表の豊田賢治郎氏は居住する分譲マンションで、住人組合の理事長だった。

 「あみだクジで押し出されましてね。ちょうどそのタイミングでマンションの修繕工事について、管理会社から提案が出された。しかし提案書をみても、そもそも工事が必要なのかにはじまって、提案されている工事が本当に必要なのかも分からなかったし・・・ましてや、正しい予算金額などかなど、ピンとこないものばかり。

 適切に対応したいと思ってはみても、他社からの見積もりが必要だとは分かってもどうやればいいのか、誰に相談すればよいのか・・・確かにマンションの共用部分の修繕工事は必ず起こる問題だが、立往生を余儀なくされ、適切に住民側として適切な発注管理ができないという状況・課題を痛感させられた。この原体験がスマート修繕を立ち上げた、大きな背景となった」とした。

 スマート修繕は2022年の設立。事業内容は要するに豊田氏の原体験:マンションの修繕工事の課題を、ひとつひとつつぶす事業。

 着実に実績を積み重ねている。例えば東京・豊島区のタワーマンションでは改善修繕費を管理会社の見積もり:5億5000万円に対し4億5000/名古屋市のマンションでは8100万円に対し6700万円の工事金額を実現している。

 豊田氏は現状では資金の100%をDeNAが拠出しているが、「更なる事業拡大に備え、外部資金の導入を視野に入れている」とした。DeNA型起業創出の、拡がりを望みたい・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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