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日経平均史上最高値の不思議
●日経平均が史上最高値を更新
8月12日の日経平均は続伸し、2024年7月11日につけた4万2224円を上回り、史上最高値を更新した。翌13日も続伸して2日連続で最高値を更新すると、14日は下げたものの、15日には大幅に反発し、4万3,378円と再び史上最高値をつけている。
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米関税の楽観的な見方や、企業業績改善への期待などが背景にあると見られる。
例年この時期は海外投資家、日本の機関投資家が夏休みに入り、市場参加者が減る「夏枯れ相場」であるが、なぜこの時期に日経平均が最高値を更新したのだろうか?
●トランプ関税への懸念が後退?
8月7日に米国が日本に15%の関税を課したが、これが既存の関税に一律で15%上乗せであったことが発覚し、先の日米合意とは大きく食い違っていた。
その後、トランプ政権が是正措置に向けて最終調整を進めているとの報道があり、これが楽観的な見方につながったと見られる。
対中関税も90日間延長する大統領令が出され、12日に発表された7月の米国CPIからFRBの利下げへの期待も高まっており、世界的にリスクオンとなりやすくなっている。
●死角はないのか?
トランプ関税は輸出依存度の高い企業にとっては、仮に15%であっても減益要因である。
トヨタやホンダなど自動車大手7社の2026年3月期の業績予想は、関税の影響により大幅な減益を見込んでいる。
米国市場への依存が高いマツダとSUBARUは、26年3月期の純利益に関して、それぞれ82%減と53%減の予想だ。
企業業績の悪化は避けられない状況にも関わらず、自動車株も上昇している。“不思議な上昇”を指摘する声も少なくない。
上昇の一つの要因として、円安が挙げられる。1ドル=148円付近での、円安傾向が続いている。
一方で日銀の利上げが可能性として残されており、9月のFRBの利下げも有力視されている。これらは円高要因ではあり、また米国が円安をどこまで容認できるかも、未知数である。円高に進む局面があれば、一気に売られることも考えられる。
8月8日に行われた自民党両院議員総会で、石破首相が改めて続投を表明したが、自民党総裁選が前倒しで行われる可能性が浮上している。
7月20日の参院選では、積極財政を主張した政党の躍進が目立ったことで、与党も積極財政へと転換せざるを得なくなるという期待感もあったと見られる。
今回の史上最高値更新は、複数の期待感が交錯しての上昇と見られている。それぞれの要因を見ると、先行きの不安感も漂う。
トランプ関税にまた新たな悪材料や期待を裏切るようなニュースがあると、大きく売られる可能性もあり、警戒が必要である。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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