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無人決済システム店舗は、企業内店舗にも足跡を残し始めている
日本橋三越本店の従業員休憩所内に導入されたクイーンズ伊勢丹の無人決済店舗(画像: TTGの発表資料より)[写真拡大]
無人店舗が拡がりを見せている。また「企業内無人店舗の増加」が指摘され始めている。最近も不動産関連専門紙の若手記者から、「三越伊勢丹ホールディングス(3099、東証プライム市場)の日本橋三越本店の従業員休息所の中に、無人売店が出来た」と聞かされた。正確には三越伊勢丹グループのクィーンズ伊勢丹が設営した無人店舗。
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そんな話を聞いているうちに、ある企業を思い出した。TOCU TO GO(以下TTG、阿久津智紀代表)。
無人店舗が世の注目を集める契機となったのは、2020年11月のTTGとファミリーマートの業務提携だった。無人決済システムを導入したコンビニの登場だった。昨年9月時点で同様のファミリーマートは、44店舗に達している。
私は新型ファミリーマートの拡充を知り、TTGに取材をした。阿久津氏に話を聞いた。阿久津氏はJR東日本の出身。「駅ナカコンビニ」「青森シールド工房:A-factory(りんご酒醸造所)」「JRE POINNT(JRグループの共通ポイント)」「JRスタートアップ(ベンチャーキャピタル)」の設立等を手掛けてきた。「携わってきた仕事でいつも痛感させられてきたのが、人手不足という課題だった」とした。
そうした流れの中で2019年にJR東日本にサインポスト(3996、東証スタンダード市場)から、JR東日本スタートアップが主催していたオープンイノベーションプログラムにプログラムジョイントベンチャーの提案が持ち込まれた。
サインポストでは、レジ待ちのない店舗システムの開発を進め『スーパーワンダーレジ』を実現していた。「人手不足」を痛感し続けてきた阿久津氏は、「これだ」と飛びついた。合弁企業:TTGの代表の座に就いた。
20年には早々に高輪ゲートウェイで「無人AI決済」店舗を開業。ファミリーマートやANA FESTAに無人決済システムの導入を進めた。
そうした言わば実証実験を経て、20年11月の「無人決済システムのファミリーマート」の設立・拡充化の歩みを進めたのだった。
阿久津氏はこんな展望も語った。
「無人決済システム店舗の社会インフラ化を目指す。自販機に次ぐインフラ化だ。規模が小さく有人ではコストがかさむだけで、運営が成り立たない。成功などおぼつかない。そんな店舗でも無人決済システムの導入で、実質的に店舗の拡大が可能になる。人手不足のカバーで道が開けてくる」。
無人化店舗の潮流を見定めたい。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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