広範な計測機器で国内首位級:東亜ディーケーケー高橋社長の置き土産は営業利益率10%のステップ

2025年6月8日 19:40

印刷

 5月末、投資雑誌主催のWebIRに参加。東亜ディーケーケー(6848、東証スタンダード市場)の高橋俊夫社長に話を聞く機会を得た。計測機器メーカー。その使途は広い。

【こちらも】リハビリ型デイサービスのインターネットインフィニティーが、セントワークスをM&Aの理由

 「食品・化学メーカーなどの工場:生産・品質管理や排水処理で生かされる」「浄水場・下水場:水処理管理」「医療:人工透析原液の安定供給」「発電所:ボイラー水の水質管理」「自治体の水質汚染や大気汚染監視用:具体的にはPM2.5監視等」etc。

 そしてPH・PM2.5測定装置や人工透析治療用(透析製剤の粉末剤を一定濃度に溶解)等々では、国内シェアトップを占めている。

 東亜ディーケーケーは2005年の米国:ハック・カンパニー(33.5%の筆頭大株主でもある)との業務・資本提携が大きな転機になった。水(液体)の管理用分析機器・試薬で60年余の歴史・実績を有するグローバル企業だ。「ハックからの提案が契機だった」(高橋氏)という。

 収益動向は企業や自治体の投融資に左右される面は否定できないが、一口に言えば順調。前3月期まで5期間は「2.2%減収、1.0%営業増益/2.7%増収、3.1%増益/0.7%減収、13.6%減益/5.5%増収、7.2%増益/3.5%増収、24.3%減益」、そして今3月期は「2.4%増収(185億円)、13.3%営業増益(15億1600万円)」計画。厚い利益剰余金を背景に配当等の株主還元策にも、前向きな姿勢(配当性向30%水準を維持)を示している。

 私が問うた質問は3点。「業績の安定化、拡幅に海外事業とりわけ中国との取り組み」。「売上の半分を占めるアフタービジネスへの認識」。「置き土産(高橋氏は6月に社長の座を禅譲する)となる中長期計画の意義」。ちなみに中国の工場排水モニタリングとの対応が暗礁化している。

 高橋氏はこう答えてくれた。

 「中国とは半導体分野での超純水検査というカテゴリーで新しい展開が軌道に乗ってきている。復活基調を取り戻している」。

 「当社の代理店・特約店の位置づけは、いわば技術商社。この姿勢を双方が認識を高めていく」。

 「至28年3月期の売上200億円/営業利益18億円の中計の先に、250億円/25億円を目標としている。メーカーとして売上営業利益率10%は全社を挙げての目標という認識だ。後任予定の高島(一幸専務)君の捉え方も同様だ」。

 本稿作成中の株価は800円余。予想税引き後配当利回り2.2%水準。3月高値(855円)からトランプ関税誘導の下げ相場につられ760円まで水準を下げた後の戻り過程。過去9年5カ月余りの修正済み株価パフォーマンスは45%。信用取引の倍率:買い残44.9倍。後は読者諸氏にお任せ・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事