JAXA、月着陸船「SLIM」の月周回軌道投入に成功

2023年12月30日 11:27

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月周回軌道の模式図。水色の線が現在のSLIMの月周回軌道。今後は、高度約600kmとなる、緑色、黄色、赤色の軌道に入る。(画像: JAXAの発表資料より)

月周回軌道の模式図。水色の線が現在のSLIMの月周回軌道。今後は、高度約600kmとなる、緑色、黄色、赤色の軌道に入る。(画像: JAXAの発表資料より)[写真拡大]

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は25日、小型月着陸実証機(SLIM)の、月周回軌道投入に成功したと発表した。25日16:51(時間はいずれも日本時間)にSLIMが月周回軌道に入り、周期約6.4時間、近月点で高度約600km、遠月点で高度約4,000kmにて、月の北極点と南極点を結ぶ楕円軌道をとり、探査機は正常に稼働しているという。

【こちらも】JAXAの小型月着陸実証機「SLIM」、2024年1月20日に月着陸へ

 SLIMは悪天候による3度の延期を経て、9月7日にH-IIAロケットに搭載され、種子島から打ち上げられた。着陸船の月への降下は、2024年1月20日午前0時頃に開始され、着陸は20分後に予定されている。

 SLIMの特徴は、第1に着陸時点での重量がわずか210kgしかない点だ。それを実現するための技術は数多くあるが、最もわかりやすいのは、燃料を最小限とするためのものだ。9月に打ち上げ、月面到達は4カ月後の1月という飛行計画は、月への距離を考えれば異常に長い。これは燃料消費を抑えるための飛行計画を綿密に検討した結果なのだ。

 SLIMの第2の特徴は、月面の目標とする場所に精度100m以内で着陸できる点だ。従来の着陸しやすい場所に着陸する、あるいは目標から数km以内の場所に着陸する、といったアバウトな制御とは一線を画する画期的な存在なのだ。これを可能にするため月周回軌道上で月面撮影を行い、クレーターなどのデータから現在位置を精度良く特定し、着陸したい場所に確実に降り立つための制御を行う。

 またSLIMには、小型プローブLEV-1や、玩具会社と共同開発したテニスボールより少し大きな球形探査機LEV-2が搭載されている。これらはSLIMが月面着陸する直前に月面に投下される。

 LEV-1は2.1kgと小型ながら、跳躍による移動能力を持ち、SLIM着陸条件に関わるデータを取得し、地球に送信する任務を担う。LEV-2は0.25kgと更に小型で、形を変えて月面移動ができ、月面撮影データをLEV-1経由で地球へ送信する。

 SLIMは月のマントル成分を含むカンラン石の付近に着陸し、成分調査を実施するが、月マントル成分と地球マントル成分の比較で、月の起源が地球由来なのか否かを探る予定だ。その結果が、ジャイアントインパクト説の確実性を高めるのか、それとも修正を余儀なくされるのかも興味深い。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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