塗料大手:関西ペイントはBCP計画商品まで世に送り出した

2023年12月1日 08:45

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抗菌・抗ウイルス段ボール製簡易トイレ(画像: 関西ペイントの発表資料より)

抗菌・抗ウイルス段ボール製簡易トイレ(画像: 関西ペイントの発表資料より)[写真拡大]

 関西ペイント(東証プライム)。国内塗料業界では、日本ペイントと最大規模を競い合う立ち位置にある。自動車用塗料では、国内首位。海外展開にも積極姿勢を示している。

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 前23年3月期の「21.4%増収、6.9%経常増益、5.0%最終減益」に続き今3月期は、「8.0%増収、11.9%経常増益、118.3%最終増益(2016年3月期以来の過去最高益更新)、6円増配36円配」計画で立ち上がったが、第2四半期開示(11月9日)と同時に上方修正。「9.0%の増収(5550億円)、21.8%の経常増益(490億円)、126.2%の最終増益(570億円)」が新たな通期予想。

 上方修正の主因が「自動車生産台数の回復や円安による為替換算の影響による売上高増」にあることは、容易に想像がつく。

 海外分野の現状(前期末)を記しておくと・・・

x★主軸のインド: 22年3月期比31.3%増収(1275億4400万円)、49.1%経常増益(107億9900万円)。

★欧州: トルコを筆頭に全域で増収(32.9%)も、トルコの超インフレ会計の適用に象徴的に原材料・エネルギー価格高騰で72.1%の減益。

x★アジア: 中国の売上高減も、インドネシア・タイ・マレーシアの自動車生産台数の回復を受け18.1%の増収(680億7000万円)/原材料高もこなして3.3%の増益(74億9700万円)。

★アフリカ: 南アフリカは低調も東アフリカ地域で、建築分野向け拡販が奏功。15.8%増収(418億3100万円)/53.5%増益(20億9900万円)。

 着実に根を張り続けている。

 今回、久方ぶりに関西ペイントを覗いてみようと思ったキッカケは某週刊紙の下3段の広告だった。『発災時、仮設トイレはすぐ来ません! すぐ使える緊急トイレセット 5年備蓄可能 100回分 抗菌・抗ウイルス加工で消毒作業低減可能』の活字が躍っていた。問い合わせ先は、建設塗料統括部とあった。どうして一見畑違いとも思える商品を・・・広報担当者から、こんな答えが返ってきた。

 『・・・2016年に紙や不織布にも塗装可能な高柔軟性の漆喰塗料を開発した。漆喰には抗菌・抗ウイルス機能もあり、20年に長崎大学の協力を得て、新型コロナウイルスを5分で99.9%以上不活化させる効果があることも確認した。その後、漆喰塗料を塗布した各種2次加工製品を開発しており、簡易段ボールトイレもその一つ』。

 2024年から「自治体や介護施設にはBCP(災害や感染症などの緊急事態が起こった際の事業継続)計画」が義務付けられる。

 関西ペイントを知るアナリストは「創業者のDNAが生き続けている証し」とする。同社は1918年に、岩井勝次郎氏によって設立された。アナリスト達は「関西ペイントの本当の価値は製品や技術力だけにあるのではない。生み続けてきた見えない眼に見えない力がある。岩井氏以来生き続けてきた力だ」と口を揃える。

 時価は2300円台前半。予想税引き後配当利回り1.23%。PER(9.33倍)に割高感は覚えない。過去10年間の修正済み株価動向は約50%のパフォーマンス。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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