収益急回復&市場環境良好も、中国塗料の株価反応は「いまいち」

2023年9月1日 08:24

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 中国塗料(東証プライム)。塗料業界3位だが、船舶用ではシェア6割を有し世界首位。1917年(大正6年)に広島市で船底塗料の製造を開始、1949年に広島証券取引所(後に東証に合併)上場という文字通り斯界の老舗企業。1973年には香港現法を設立、海外事業にも乗り出している。

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 そんな中国塗料の収益が、立ち直りの傾向を顕著にしている。2022年3月期の「2.2%増収、89.4%営業減益、91.2%最終減益」という大幅減益を経て、前23年3月期は「18.0%増収、465.1%営業増益、439.17%最終増益、2円増配37円配」と回復への狼煙をあげた。今3月期も「5.5%増収、77.5%営業増益、16.9%最終増益、2円増配37円配」計画で立ち上がっている。

 そして第1四半期開示と同時に「通期計画&通期配当」の上方修正に踏み切った。具体的には収益計画は5.5%増収(1050億円)を据え置きながら「116.1%の営業増益(84億円)、118.2%の最終増益(84億円)」に、配当は「33円配増の68円配」とした。発信された「何故」をかいつまむとこんな具合。

 「製造工ストに見合った価格引き上げ、高付加製品の想定を上回る好調。海外での原材料価格の軟化傾向」。

 「至26年3月期の5カ年中計で掲げた、40%以上の配当性向/配当額下限35円を収益動向の見極めから実践」。

 こうした流れは、第1四半期により具体的に見て取れる。

 『日本』: 建築用塗料の落ち込みがあったが、新造船・修繕船向け需要が好調。前年同期比9.9%増収、営業利益2億7800万円(4億7900万円の損失から黒転)。

 『韓国』: 前期の新造船工程遅延の回復や修繕船向け販売量増・価格値上げ効果で、56.2%増収・1100万円営業利益(2億2900万円損失)。

 『中国』: 新造船・修繕船向け需要好調に加え円安効果。コンテナ用塗料の競争激化に対し低採算案件の受注抑制効果。37.8%増収、3億9700万円の営業利益(3億6400万円損失)。

 『東南アジア&欧米』: 前者:23.8%増収、84.5%営業増益。後者:修繕船向けや重防食中心に需要増、円安効果で23.8%増収/84.5%営業増益。

 回復過程に身を置いた中国塗料の今後を占うのは、世界の船舶市場動向にある。フォーチュン ビジネス インサイツは、こんな動向見通しを示している。「世界の貿易量の約80%は海上で行われている・・・2017年から19年にかけての年平均成長率に対し、20年は新型コロナパンデミックで世界市場は17.2%減少した・・・それが21年の1707億5000万米ドルから28年には1885億7000万米ドルに成長すると予想されている」。

 身を置く環境は良好予想。対して至2026年3月期5カ年中計では「船舶用塗料:21年3月期比9%増750億円、工業用塗料:32%増150億円、5年間の設備投資120億円程度」と、しっかりの推移を見込んでいる。

 しっかりを株式市場が好まない、とは言わない。が株式市場はサプライズが好み。本稿作成中の時価は1300円台半ば。上下動と言うより「常に適宜な押し目を入れつつ」の推移。予想PER8倍強にそれは象徴的!?(記事:千葉明・記事一覧を見る

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