火星の自転が速くなっていることが判明 NASA

2023年8月11日 16:01

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火星探査機インサイトに搭載されたRISEシステムの想像図 (c) NASA/JPL-カリフォルニア工科大学

火星探査機インサイトに搭載されたRISEシステムの想像図 (c) NASA/JPL-カリフォルニア工科大学[写真拡大]

 NASAは8日、火星探査機インサイトに搭載されたRISEシステムによって地球に送信されてきた電波信号の測定を通じて、火星の自転速度が年間4ミリ秒程加速されていることを発見したと発表した。

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 ここでいう秒は時間ではなく角度の単位で、1秒は1/3600度を意味する。つまり1年に4度の1000分の1のさらに3600分の1(つまり4÷36万=9万分の1度)の角度だけ、自転速度が速くなっているという意味だ。

 ところで今回の成果をもたらしたRISEシステムは、ごく簡単に表現すれば、探査機に取り付けられた反射板のような仕組みだ。地球から探査機に向けて送信した電波を。RISEシステムが反射して地球に送り返してくるもので、この反射電波の周波数は火星の自転に伴なうドップラー効果によって微妙に変化するため、この変化を捉えることによって火星の自転の状態を観察しようというものだ。

 RISEシステムによる火星の自転観測原理は上述のようにごく簡単なものだが、実はRISEからの信号には、大気中の水蒸気の影響や、他の宇宙線や太陽からの放射線など、様々なノイズ源がある。これらの効果を慎重に取り除いていく必要があるため、実際にはかなりの苦労があったという。

 インサイトは2022年12月の延長ミッション中に電源が切れるまで約4年間火星で稼働し、RISEによるデータ集積は火星の900日分にも及んだ。RISEデータは火星の自転速度の変化を追跡するだけでなく、火星内部に存在している溶融金属の挙動(スロッシングと呼ばれる溶融金属の揺動運動)をはかり知る上では、非常に重要なデータとなる。

 火星の自転速度がなぜこのように微妙に速くなっているのか、原因はまだ究明できていないというが、スロッシングに関しては、RISEデータに基づく火星のコア半径の推定値は約1,835kmで、従来測定された地震波測定による推定値に近い結果が得られている。また火星の自転のぐらつきから、コアの形状の詳細も判明したという。

 なお、今回の研究の詳細は、科学論文サイトNatureに2023年6月14日付で公開されている。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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