ミネソタ州の蛇紋岩から火星大気生成機構を解明へ カルガリー大らの研究

2023年2月16日 08:18

印刷

火星とNASAの探査機「マーズ・リコネッサンス・オービター」のイメージ。(c) 123rf

火星とNASAの探査機「マーズ・リコネッサンス・オービター」のイメージ。(c) 123rf[写真拡大]

 蛇紋岩とは、ウィキペディアによれば「蛇紋石を主要構成鉱物とする超塩基性岩でかんらん岩などが水と反応し、蛇紋岩化作用(もしくは蛇紋石化作用)を受けることで生成する」と説明される。

【こちらも】かつて存在した火星の磁場の詳細を明らかに ブリティッシュコロンビア大の研究

 つまり水が存在しなければ、形成されない存在だ。したがって火星の蛇紋岩形成プロセスを研究すれば、かつて液体の水が存在していた火星の大気形成の歴史を紐解くカギになる。

 地球にも蛇紋岩は存在しているが、その組成が微妙に異なることが知られている。その違いを一言でいえば、地球の蛇紋岩に比べて火星の蛇紋岩は鉄分の含有量が2倍近い。したがって地球における蛇紋岩の形成プロセスを研究しても、火星の歴史を推測するのには無理があると考えられてきた。

 ところが、火星の蛇紋岩に近いものが米国ミネソタ州ダルースで発見され、それについてカルガリー大学とケンブリッジ大学の科学者らによって分析研究された。これによれば、鉄を多く含有する蛇紋岩が形成されるのは地球上ではまれで、マントルから噴き出した溶岩が直接水に触れることで形成され、地球で一般的な蛇紋岩と比べて5倍の水素量増加を伴っていたという。

 つまりかつての火星では蛇紋岩が形成される際に大量の水素放出があり、それが気候温暖化につながった可能性があるのだ。今回の研究によって、火星の蛇紋岩化プロセスでどのくらいの水素が放出されたのか推定が可能になった。火星のジェゼロクレーターで採取されたサンプルが地球にもたらされるのは、早くても2033年とされ、厳密には火星の岩石サンプルを地球で直接分析することはそれまでできない。

 現時点では、地球で得られる火星の岩石とよく似た組成のサンプル分析データを蓄積し、その形成プロセスを考察しておくことだ。そうすることで2033年以降に直接分析が可能になる火星の岩石サンプルの解析を、円滑に進めることに役立つのではないだろうか。

 火星での生命誕生の可能性については、現在は確固たる情報はないが、その可能性を類推するために本研究は貴重なデータを提供することになるかもしれない。

 なお研究の詳細は、ジャーナル「Science Advances」に掲載されている。(記事:cedar3・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事