老化しにくいハダカデバネズミ、老化細胞を除去する仕組み解明 熊大ら

2023年7月15日 15:19

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今回の研究の概要(画像:熊本大学の報道発表資料より引用)

今回の研究の概要(画像:熊本大学の報道発表資料より引用)[写真拡大]

 熊本大学、科学技術振興機構などは11日、ねずみの仲間で、非常に老化しにくいハダカデバネズミについて、その体内で老化細胞を除去する仕組みを解明したと発表した。モノアミン酸化酵素と呼ばれる酵素の働きによって、老化細胞が細胞死するという。

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 さらに研究を進めていくことで、現在盛んに開発が進められているヒトの老化細胞除去薬の安全性について、有益な知見を提供できる可能性があるという。

■老化細胞とは?

 私達の細胞は、ストレスなどでDNAが修復不能な程度に損傷を受けると分裂を停止することがある。がん化を防ぐためだ。こうして分裂を停止した細胞を、老化細胞という。

 老化細胞は、細胞死しにくく、蓄積していく。蓄積した老化細胞は、炎症物質を分泌し、老化やがんなどのさまざまな加齢性疾患を促進する。

 そこで現在、ヒトの老化細胞除去薬の開発が盛んに進められている。しかし老化細胞の中には、組織修復への寄与など私達の体に有益な働きをするものもあり、その安全性については、議論が続いている。

 マウスの10倍もの長寿命を誇るハダカデバネズミが、進化の過程で自然に身に付けた安全性が高い老化細胞除去の仕組みを研究することで、ヒトの老化細胞除去薬の安全性について有益な知見が得られる可能性がある。

■ハダカデバネズミの体内で老化細胞が除去される仕組みを解明

 研究グループは、ハダカデバネズミとマウスの線維芽細胞に関して薬剤を使い細胞老化を誘導し、時間を追って解析、比較した。

 その結果、ハダカデバネズミにおいては、老化細胞化前から蓄積していたセロトニンを老化細胞化後に増加したモノアミン酸化酵素が代謝。このとき発生した活性酸素によって、アポトーシスなどの細胞死が引き起こされることを突き止めた。

 なおハダカデバネズミの線維芽細胞は、マウスの線維芽細胞に比べ、活性酸素に対して著しく脆弱であることが知られている。

 研究グループではさらに研究を進め、どのような老化細胞をいつ、どのように除去すべきかなど解明していくことで、より安全な老化細胞除去薬の開発に貢献することができるとしている。(記事:飯銅重幸・記事一覧を見る

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