関連記事
7月の米雇用統計で、利上げの行方は?
(c) 123rf[写真拡大]
●評価別れる7月雇用統計
7月7日に米労働省が発表した6月の雇用統計は、評価が分かれている。
【こちらも】米学費ローン免除無効判決がもたらす、景気への影響は
非農業者部門雇用者数は20万9000人増と底固さを示していたものの、予想以上に伸びが鈍化していることが明白になった。過去2カ月分の非農業者部門雇用者数も下方修正された。
一方で、堅調さを示す指標もあり、昨年3月から10会合連続で利上げをしてきたFRBが、7月の利上げを再開するのか、6月に引き続き見送るのかが注目される。
●その他の指標の結果は?ADPと米労働省の発表の違いは?
前日に発表されたADP雇用統計は前月比49.7万人となり、予想を大きく上回る伸びとなった。
失業率も0.1ポイント改善。労働者の平均受給も予想を上回り、4.4%の上昇となった。
ADP雇用統計は、米給与計算代行サービス会社のADP社が民間企業のみを対象とした雇用者数を独自に計算し、米労働省雇用統計の発表前に公表される。
非農業部門雇用者数は、農業部門を除いた産業の雇用者数で、民間企業と政府部門が対象となり、米労働省から発表される。
民間部門のみの数字をとって比較しても、両者の数字には大きく隔たりがあることがしばしばあり、市場をかく乱しているという批判も度々ある。
市場は米労働省のデータに重きを置いている。
●利上げに影響を与えるのか?
FRBは、6月の利上げは見送ったものの、7月の利上げ実施は既定路線という見方が多い。
米ドル=円で見ると、ADP雇用統計の発表を受けて一瞬円安が進んだが、すぐに円高となった。翌日の雇用統計の発表でさらに下げて、週明けには140円を割り込みそうなところまでドル売りが進んだ。
今回の非農業者部門の雇用者数については鈍化が明らかであったものの、今月の利上げを止めるほどのインパクトは無かったと言える。
SVB破たんなどの一連の金融危機がなければ、雇用部門の鈍化に加え、インフレにも頭打ちが明らかとなって初めて、利上げの停止が意識されることになっただろう。
7月12日に発表されるCPIの結果にも、注目したい。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
スポンサードリンク