店舗メンテ専業:シンメンテHDの上場来株価パフォーマンスが4倍超の理由

2023年7月11日 08:31

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 シンメンテホールディングス(東証グロース。以下、シンメンテHD)。店舗のメンテナンス専業。飲食店主軸にドラッグストアや介護施設など、業務拡充に意欲的な姿勢を示している。

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 シンメンテHDに興味を抱いた発端は「専業」という点だった。設計・施工の段階から携わったほうがビジネスとして効率的ではないか、と考えたからだ。

 がそれにしては、好業績。前2023年2月期は「18.1%増収、16.5%営業増益、20.5%最終増益、上場10周年記念配3円を乗せた23円配」。そして今2月期も「7.4%増収(208億3600万円)、5.5%営業増益(11億1100万円)、3.9%最終増益(7億1400万円)、23円配継続」計画。

 着実な収益動向は、株価の推移にも見て取れる。2013年12月上場だが翌年14年の初値に対し、本稿作成中の修正済み株価に対するパフォーマンスは4.2倍強。

 何故か。問い合わせに返ってきた答えは、こうだった。

 「設計・施工を行わない点が、当社の特徴であり強みだと認識している。メンテに関しては自社社員でなく教育・育成を行った全国の業者(メンテキーパーネットワーク/全国1万社超)が、対応している。また取引店舗に対してはWeb等を活用したメンテナンス道場で、顧客のスタッフの育成をしている」。

 では実際に、どんな顧客との間で取引が行われているのか。

 詳細はHP等で確認してもらうとして、主軸の飲食業界ではこんな企業名が飛び込んでくる。王将フード、幸楽苑、サイゼリア、スカイラーク、ゼンショーHD、マグドナルド、ハイデイ日高、物語コーポレーション、吉野家etc・・・。

 店舗メンテナンスの現状の市場規模は、5000億円超。今後の動向については「5000億円余の大方が外食。業種の横への拡充施策が執れるかどうか次第で広がりの余地は十分」、とされる。

 シンメンテHDでは「M&A戦略も駆使し新市場開拓を」とし、既にこんな展開を見せている。「小売り・物販」ではニトリ、ワークマン、ダイソー等と、「介護施設」ではSOMPOケア、ツクイなどとの取引を行っている。

 ちなみにメンテナンスというと対象として「不可欠な設備機器」「水回り」「内外装・外溝」「清掃」などが容易に想像できるが、「グリストラップ清掃浄化槽(下水道に直接食用油や食べ物の脂肪、残飯や野菜くずなどが流出するのを防ぐ阻集器)の保守」「廃棄物の処理・管理」「害虫駆除」等々幅広い。シンメンテHDが1万社超の多様なメンテが可能なメンテキーパーネットワークを有しているのは「強さ」といえよう。

 本稿作成中の時価は1300円台半ば。予想税引き後配当利回り1.36%。年初来高値1597円(2月)から同安値1194円(5月)まで日柄・値頃整理を済ませた状況。IFIS目標平均株価1740円。前記の通り中長期保有が報われる株。押し目狙い姿勢・中長期構えが賢明か。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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