上場後の平均営業増益率51%、株価パフォーマンス2倍余:日本ホスピスHDとはこんな会社

2023年7月6日 08:29

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2023年7月にオープンした「ファミリー・ホスピス大泉学園ハウス」のイメージ。(画像: 日本ホスピスホールディングスの発表資料より)

2023年7月にオープンした「ファミリー・ホスピス大泉学園ハウス」のイメージ。(画像: 日本ホスピスホールディングスの発表資料より)[写真拡大]

 ホスピス。終末期患者の痛みや症状に焦点を当て、患者の感情的および精神的要求に対する医療。日本ホスピスホールディングス(東証グロース市場。以下、日本ホスピスHD)は2017年以降、そんなホスピス患者の終末期ケアを担う住宅を運営している。2019年3月に上場。

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 現代表取締役の高橋正氏に設立された。医療・福祉施設や公共施設の建築設計に携わったのが、斯界に歩みを踏み出すそもそもの契機。その後2000年から高齢者住宅の運営に関わり08年に、現、学研ココファンの社長に就任。「湘南CCRC(継続したケアの提供)構想」を掲げ、27棟の高齢者住宅を展開。2011年にホスピス住宅を軸にする現ファミリー・ホスピスを創業。17に日本ホスピスHDを設立した。

 日本ホスピスHDの上場を株式市場は、好感している。本稿作成中の時価は3000円トビ台。4月の年初来高値3830円の調整場面に身を置いている。が時価水準でも19年の上場初値に対し、(修正済み)株価パフォーマンスは2倍強。背景には好収益動向がある。

 前2022年12月期は「31.2%増収、60.4%営業増益、88.8%最終増益」。前期に至る上場来4期間の平均営業増益率は、51.3%。そして今12月期も「26.7%の増収(100億円)、56.4%の営業増益(15億円)、56.1%の最終増益(7億1000万円)」計画。第1四半期は前年同期比「38.6%増収、233.6%営業増益、130.9%最終増益」で通過している。

 前期の決算資料から、足元の状況を覗き込んでみた。

★社会保障費抑制を目的に病院を中心とした施設から在宅を中心とした医療へのシフトが進み、医療と介護の連携や地域単位でのケア体制の整備等が促進されると予想する。

★新設・子会社化で8カ所のホスピス施設が増加。全31施設979室体制(21年期末比264室増)となった。

★施設損益に関しては、新規開設に先立ち看護婦等の従業員の採用(ホスピスチーム確立)を確認し施設を開設。一定の稼働率に至るまでは人件費などの費用が先行して発生する。施設開設後、約1年をかけて満室の目安としている85%の稼働率計画で展開を進める。

★23年12月期は緩和ケアの品質を軸とした「成長拡大の期」と位置づける。具体的には9施設・321室の新規開設計画。結果、ホスピス住宅は合計40施設・1300室となる見通し。各施設が黒字化するまでに一定期間を要するが、期初時点で安定稼働・利益化・満床に至る過程にある施設の損益が改善することで十分補完できると見通している。

 「老い」でわが身がどんな状況に置かれるのかは、事前に予想できない。そんな不安をホスピス住宅の存在は、ケアしてくれる。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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