アース製薬、手のひらサイズの虫ケアデバイス発売 30秒で直径3mの忌避効果

2023年4月24日 16:25

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コンフォートゾナーのイメージ(画像:アース製薬の発表資料より)

コンフォートゾナーのイメージ(画像:アース製薬の発表資料より)[写真拡大]

  • 薬剤セット方法のイメージ(画像:アース製薬の発表資料より)

 アース製薬は20日、手のひらに収まるサイズの虫ケアデバイス「コンフォートゾナー(COMFORT ZONER)」を、クラウドファンディングサイト「Makuake」で発売した。目標金額50万円に対して既に680万円以上の資金が集まっている。

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 コンフォートゾナーは、約30秒で直径3メートルの範囲に虫の忌避効果を発揮するモバイルデバイスだ。デバイスにタブレット上の薬剤をセットし、ヒーターで加熱して有効成分を揮散する方式で、火を使わずに虫を忌避できる。

 アース製薬が持つ害虫の生体研究の知見と、蚊取線香やノーマットの薬剤揮散技術を応用して開発された。ユスリカを用いて行った忌避効力の計測では、同社の線香よりも効果が発揮されるタイミングが早く、忌避率も上回ったという。

 虫の忌避効果は、屋外では直径3メートルの範囲で1~2時間保持。屋内(4.5~8畳あたり)では、窓を閉めた状態で6時間効果が持続するという。

 サイズは110×40×16mmで、重さは約60グラム。コンパクトで持ち運びしやすい仕様となっている。使い切りではなく、リチウムイオンバッテリーの充電式で繰り返し使用可能。主にキャンプなどのアウトドアや野外音楽イベントなどでの使用を想定している。

 価格は1万1,800円。当初500個限定で発売された10~25%割引きの商品は発売当日に完売しており、現在は5%割引きで販売中だ。商品は8月上旬以降に順次発送される。

 コンフォートゾナーの開発は、アース製薬とMakuake Incubation Studio(MIS)で実施。「アウトドアシーンで使いたくなる虫ケア製品を作りたい」として、開発を始めたという。

 MISは、企業の新製品の企画から販売・分析をサポートするインキュベーション支援事業で、2016年よりマクアケが展開。企業内の研究開発技術を活用した新しい製品・サービスの開発を支援し、出口としてMakuakeでテストマーケティングを行っている。

 主に大手メーカーをメインに展開しており、これまでもNECやキングジム、シャープなどを支援。19年には「研究・開発手法」のカテゴリでグッドデザイン賞を受賞している。

 アース製薬がMISと組んで新製品を開発した背景には、高価格帯の虫ケア製品を拡充したい意向が伺える。同社の22年12月決算は、対前年では増収減益も対計画ではいずれも未達。その要因の1つとして、虫ケア用品市場の低迷を挙げている。

 一方で、高機能・高価格帯の虫ケア用品の売上が好調で、高価格帯が受け入れられる土壌を形成したとしており、23年も取組む方針を掲げている。

 コンフォートゾナーは、現時点ではMakuakeのみで販売を予定。販売状況によっては、今後一般販売も期待される。(記事:三部朗・記事一覧を見る

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