原油価格、2023年の見通しは?

2022年12月20日 08:20

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●2022年は波乱の原油価格

 2022年の年初は70ドル前半で始まったWTI原油先物だが、2月には一時120ドルを突破、年末には年初の70ドル前半(2022年12月19日現在)に戻った。

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 2月のロシアによるウクライナ侵攻、OPECプラスの減産、中国の新型コロナ政策などで、原油価格は大きく変動した。

 インフレ対策として、米国をはじめとする各国の利上げも大きく影響し、景気後退も懸念される。原油価格を大きく動かした様々な要因は2023年も引き継がれ燻り続けるが、どうなるだろうか?

●年末に慌ただしい動き

 12月に入り、中国がゼロコロナから急激な転換を図り、期待感から原油価格が上昇する場面もあった。

 12月5日からはロシア産原油の輸出上限価格を1バレル=60ドルとすることで、G7及びEU(欧州連合)が合意し、ロシア産原油の輸入もほぼ停止している。

 14日には米国の原油在庫が予想より増加したことで、先物が下落する場面もあった。

 9日にはカナダ産原油を米国精製施設に輸送する「キーストーン・パイプライン」が稼働停止する事故が起き、一時上昇したが、閉鎖は短期間で終わり、需要への先行き懸念もあって大きな混乱にはならなかった。

●2023年はどうなる

 年末にかけて、原油価格にとっては上昇要因と下落要因のニュースが入り混じったが、100ドルを越えたり、60ドルを下回るほどの乱高下には至らなかった。

 供給面が上昇しようが下落しようが、やはり需要面の回復が無ければ、原油価格が100ドルを超えるような局面は、無いかもしれない。

 需要面では中国のゼロコロナ緩和が期待されるが、急激な転換の反動で他国が経験したようなパンデミックに陥る懸念も高まっている。国民も警戒感が強く、本当の意味でのゼロコロナ脱却には時間がかかるかもしれない。

 ウクライナ問題が完全収束となれば、さらなる原油価格の下落になるが、他国を巻き込むなど戦況が悪化すれば、上昇要因となる。

 OPECプラスも減産傾向は変わらないと思われ、大きな騒乱が無ければ、2023年末までインフレ・景気後退局面の長期化、米国の政策金利の利上げが大きな要因となるだろう。(記事:森泰隆・記事一覧を見る

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