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迷走する日本のコロナ対策 トップ達の優柔不断で、コロナからの脱却は視界不良!
日本のコロナ対策は、まるで司令塔が存在しないかのような状態で、迷走を続けている。政府は自ら判断することを回避し、新型コロナウイルス感染症対策分科会に下駄を預けているような姿勢だ。岸田首相が就任時に「人の話を聞くのが得意」という趣旨の話をしていたが、色んな意見を聞くだけで済む立場ではない。国家にとって今何をしなければならないかを、決断して適切に指示する立場なのである。
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新型コロナが感染症の2類相当という扱いになっているため、体力のない保健所に求められる役割が過大で、廻り廻って医療体制の問題にもなっていることは、以前から指摘されている。ところが分科会の尾身茂会長はその件を議論する予定はないとして、政府内でも目立った動きにはなっていない。基本的な立ち位置を変えないまま今後の対応を検討し、分科会では4つの選択肢を挙げて「今後議論を深め、最終的に国に判断してもらう」という姿勢だ。
国によってスタンスに違いはあるが、欧米諸国は概ね規制緩和に踏み出している。マスク着用も、入国規制も、行動制限も撤廃や大幅な緩和が進む中で、日本では選択肢を絞り込んだだけで決定する時期すら明確ではない。しかもその内容も医療の特別対応を維持するかどうかということと、行動制限を設けるか呼び掛けだけにするかということを、組み合わせただけだから工夫も何もない。
新型コロナが変異するたびに、厚労省や専門家はソーシャルディスタンスの確保と、マスクの着用や手洗いうがいの徹底を呼び掛けている。今までも、季節性インフルエンザの流行が懸念される時期になると、厚労省は感染を防止するための3つの基本として、(1)身体的距離の確保(2)マスクの着用(3)手洗いの徹底を呼び掛けていた。
新型コロナが猛威を振るって2年以上が経過し、相当の知見が積み重なっている筈だが、感染症の予防に取り立てて目新しいものはない。敢えて言えば、新型コロナもインフルエンザも同じようなものだから、同じような扱いで構わないと暗示しながら、感染症2類相当として大仰な扱いを求める矛盾が露呈している。
新型コロナは、変異を繰り返すたびに感染力が強化される一方で重症化リスクが低減して、最近では感染者の8割が無症状だと言うから、何らかの症状がある人は感染者の5人に1人ということになる。普通は身体に起きている異変を自覚して、「病気」と受け止めることが基本だ。自覚することなしに他の人を感染させてしまうリスクはあるが、従来の感覚からすると無症状の人は病気ですらないことになる。
3回目のワクチン接種は伸び悩んで、接種率はようやく50%を超えた。厚労省では接種率向上に腐心しているようだが、接種の必要性が切実に認識されていないからこそ、伸びていないという視点も必要だろう。ワクチンの効能が症状の軽減にあるのだから、ウイルスの重症化リスクが低減している時期に敢えて接種はしないという判断は間違いではない。
危機感を煽るマスコミや乗せられている政策当局の意識と、社会の一部の意識にミスマッチが生じているということだ。それどころか、ワクチンの接種に拘る当局の姿勢が、国民を新型コロナへの過剰な恐れに縛り付ける大きな要素になっている。
決断できるリーダーを持たない日本が、各国の状況を見詰めながら、世論の反発が少ない手法を探るような姿勢でいる限りは、早期に通常の生活に戻ることは期待できない。なし崩しで規定と実態に乖離を生じさせる状態は、早急に解消すべきだ。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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